1. HOME > 建築構造に関する一般向け情報 > ドン・キホーテ8億円訴訟について

ドン・キホーテ8億円訴訟について

構造設計に関るものにとって衝撃的な記事が掲載された。ドン・キホーテ(施主)が設計者である(インタミン)に対して建物の振動解析ミスを指摘、8億6000万円の提訴を起こし、且つ判決では全額の支払いを裁判所から命じられたのである。まず、このような事故が発生した経緯について紹介したい。


・事故発生の経緯

 ドンキホーテは世界でも初となる既存建物(鉄骨造で地下1階、地上8階建て)の屋上にジェットコースターの設置を試みた。そこで設計を依頼したのがジェットコースター等のアトラクション設計を専門に行っているインタミンである。私としてはこの時点で先行き不安に感じる。なぜなら、インタミンはジェットコースター自体の骨組みは設計できるが、それに伴う既存建物への影響は判断できないからである。


 結果、アトラクションを試運転したところ既存建物に許容以上の振動が発生した。これにより、ドンキホーテ側は遊具の停止を命令。同社は振動解析を専門とする会社に遊具設置後の建物の解析を依頼、その結果インタミン側の解析ミスを指摘し、訴訟にいたる。


・設置された遊具について

設置されたジェットコースターは『ハーフ・パイプ』というU型の遊具で、U型の端から端までを行き来する絶叫マシンである。この行ったり来たりする運動が水平方向への外力となり建物へ作用する。

スポンサーリンク
 

・振動解析ミスについて

今回のような振動解析ミスが発生したのは2点考えられる。1点目、外力条件の整理が不十分であったこと。2点目、インタミンが建築の構造設計に対して精通していなかった可能性があること。例え、外部発注で構造設計をやらせたとしても製作された資料に対して良し悪しの判断ができないこと。

 具体的な解析方法がどうであったかは報道の域を出ないので、この記事では割愛したい。


・おわりに

 単に『振動解析ミス』と読むと、あたかも計算方法が間違えていたとか、そういったイメージをしがちである。しかし、今回の事故はそういうことではない。外力条件の設定ミスである。外力は構造設計を始める際の一番最初の重要な仮定である。よって、我々、構造設計者は荷重条件(仮定荷重)に非常に慎重にならざるを得ない。なぜなら、仮定荷重が間違えていれば再計算を行う必要がでてくるし、計算書全てに影響がでてくるからである。


現在、一貫プログラムやFEM解析ソフトを用いた構造設計の大部分を占めるので、仮定荷重の過ちがそれほど重要に感じないかもしれない(入力をちょっと変えてボタン1つなのだから)、だが全て手書きで行っていた時代は『全て書き直し』であったのだ。そういった苦労は減ったから良いではなく、慎重になるという気持ちは常に持ち続けていくべきであろう。


・参考文献、HP等

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130329/trl13032919560006-n1.htm

▼この記事を今すぐSNSでシェアする▼


▼こちらも人気の記事です▼

▼人気の記事ベスト3▼

▼いつでも構造力学の問題が解ける!▼

構造ウェブ問題集

▼同じカテゴリの記事一覧▼

▼カテゴリ一覧▼

▼他の勉強がしたい方はこちら▼

スポンサーリンク

検索

カスタム検索

プロフィール

おすすめ特集

note始めました 構造ウェブ問題集

人気の記事ベスト3

建築の本、紹介します。▼

すぐにわかる構造力学の本

同じカテゴリの記事一覧

  1. HOME > 建築構造に関する一般向け情報 > 断面係数とは