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構造物の種類-アーチの仕組み-

アーチとは様々な建物に利用されている構造形式の一つです。 力学を考えると、アーチは一つ一つの材料が圧縮力によって成り立つ構造物と言えます。 よって、アーチの構造物は圧縮力に強い材料を使うことが前提です。西洋の石積みで建設されたアーチ橋 が印象的ですよね。


(ローマ橋の半円アーチ(スペイン アルカンタラ),Wikipediaから引用)


皆さんは、カテナリ―という曲線を知っていますか?カテナリ―は懸垂曲線とも呼ばれ、文字通り鎖を垂らしたときに出来る形状です。このとき、鎖の両端を持つことで、鎖自体の自重が作用し曲線ができるわけですが、他に力を作用させていませんので、当然、この鎖には引張力しか働いていないことになります。


(Wikipediaから引用)


このカテナリ―をひっくり返してみるとどうなるでしょう?気づきましたか?アーチの形になりますよね。引張力しか作用しないカテナリ―を逆さにしているのだから、このときのアーチには圧縮力しか働いていないことになります。


また、アーチは支持点に大きなスラスト(水平力)と呼ばれる、広がろうとする力が発生します(プラスチックの定規とかをアーチの形に曲げようとすると、なかなか維持できませんよね)。アーチを上手く創るためには、このスラストをどうやって処理するのか?ということが最も重要な問題といえます。


(セントルイスのゲートウェイ・アーチ,Wikipediaから引用)


さて、アーチ構造は下図のように、上からの荷重に対しては、それぞれの部材に矢印のような力が働き、 このような力に対しては有利であることがわかります。 古代でもアーチはよく利用され、石積みの橋などは皆さんも見たことがあるでしょう。構造力学でいえば、この「上からの荷重」は主に建物の自重や人間等です。


アーチ図面

では、横からの力に対してはどうでしょうか?先ほど説明したように、 アーチとは材料の圧縮力によって成り立つ構造物です。よって、アーチは横からの荷重に弱いとされています。建築で横からの荷重とは地震力や風荷重等です。


日本では、地震や台風といった短期荷重の影響が大きく、水平力からの力に抵抗する必要があるので、大規模なアーチ構造物が建設されるといった例は、少ないと言えます。