この記事の要点
鉄筋重心位置(dt)とは、RC面から鉄筋の重心位置までの距離のことで、「設計かぶり厚さ+鉄筋径/2」で求められる。
2段筋になるとdtが大きくなり応力中心間距離jが小さくなるため、必要引張鉄筋量が増えて不経済になる。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
鉄筋コンクリート造は、鉄筋の位置がとても重要です。なぜなら、鉄筋の位置が変わるだけで柱や梁の断面性能が大きく変わるからです。
そのため、鉄筋の位置は「かぶり」「あき」など、様々な規定があります。かぶりに関しては下記が参考になります。
設計かぶり厚さとは?1分でわかる意味、基礎、鉄筋との関係、最小かぶり厚さとの違い
最小かぶり厚さとは?1分でわかる意味、柱、壁のかぶり厚さ、設計かぶり厚さとの違い
では、鉄筋重心位置という言葉をご存知でしょうか。これは、部材の断面算定を行うとき、とても重要な値です。今回は鉄筋重心位置について説明します。
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
RCの梁や柱の断面算定をするとき、RCの断面は単純に梁せいが重要ではなく計算に用いるのは応力中心間距離jです。
このjが何なのか?ということを突き詰めると少々面倒なので、参考書をご確認ください。
さて、jは下式により算定できます。
j=7d/8
d=D-dt
Dは梁せいですが、dtを鉄筋重心位置といいます。鉄筋重心位置とは、その名通り、RC面から鉄筋の重心位置までの距離を意味します。
つまり、鉄筋重心位置=(所定のかぶり厚さ)+(鉄筋径/2)となります。
例えば、上図のように梁せいD=800で引張鉄筋の径がD19の場合を想定します。設計かぶり厚さ=40mmとすると、
鉄筋重心位置dt=40mm + 19/2=49.5mmとなります。設計する場合は細かすぎる値なので、余裕を持ってdt=50や60とします。
では次のような、鉄筋が2段で配置された場合はどうなるのでしょうか?
このときの、鉄筋重心位置とは2段で入っている鉄筋の距離の中心が、鉄筋重心位置となります。
つまり、dt=40mm + (30+19+19)/2 =74mm
となります。
いかがでしょうか?2段筋にすると、鉄筋重心位置が大きくなりましたね。これは、何を意味するかというと、jの値が小さくなるといことです。
jの値が小さくなれば、必要とされる引張鉄筋が多くなるということで、出来れば、2段筋は好ましくないのです。
※2段筋の詳細は下記が参考になります。
とはいっても、梁幅や梁せいには意匠的な制限もありますし、コストの問題や、構造的な配筋の納まり等、
1段で必要なだけ鉄筋を並べるということはできません。そういったときは2段筋で納める必要があります。
以上のように、鉄筋の重心位置の計算はRCの設計でものすごく重要でひとたび設定を間違えると、鉄筋量が足らないことも起きます。
混同しやすい用語
鉄筋重心位置(dt)
鉄筋重心位置dtは、RC部材の面(外縁)から引張鉄筋の重心位置までの距離で、「設計かぶり+鉄筋径/2」で算定し、有効高さdの計算に使う。
設計かぶり厚さは鉄筋外面からコンクリート表面までの距離であり、鉄筋重心位置dtはかぶり厚さに鉄筋半径を加えた値で両者は意味が異なる。
設計かぶり厚さ
設計かぶり厚さとは、鉄筋の外面からコンクリートの表面までの距離のことで、耐久性・耐火性の確保や定着のために最低限必要な厚さである。
鉄筋重心位置dtはかぶり厚さに鉄筋径の半分を加えたものであり、設計かぶり厚さそのものとは異なる数値になる。
鉄筋重心位置を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 鉄筋重心位置(dt)の定義 | RC面から鉄筋の重心位置までの距離 | dt=設計かぶり厚さ+鉄筋径/2 |
| 有効高さ(d) | d=D(梁せい)-dt | dtが大きいほどdは小さくなる |
| 2段筋の影響 | dtが大きくなりjが小さくなる | 必要引張鉄筋量が増加し不経済 |
今回は鉄筋重心位置について説明しました。かぶりと同じくらい重要な値です。ぜひ理解してください。
鉄筋重心位置とは、RC面から鉄筋の重心位置までの距離を意味します。
また、鉄筋の位置に関係する項目として、かぶり、鉄筋のサイズ、ピッチなども理解しましょう。下記の記事が参考になります。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では「鉄筋重心位置が大きくなると有効高さdが小さくなり、必要鉄筋量が増加する」という増減の方向性が問われやすい。
dt=かぶり+鉄筋径/2、d=D-dt、j=7d/8 という一連の式の流れを押さえると、2段筋の影響も含めて論理的に解答できる。