この記事の要点
D値法とは、剛節フレーム(ラーメン構造)に作用する層せん断力を各柱に分配するための略算法です。武藤清(むとうきよし)が提案したことから「武藤式」とも呼ばれます。
各柱のD値(水平剛性に関する係数)の比をもとに、層せん断力を分配します。試験対策では「D値が大きい柱ほど水平力を多く負担する」という原則を押さえましょう。また、D値(水平力分担係数)とDs値(構造特性係数)は全く別の概念です。
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D値法とは、剛節フレーム(ラーメン構造)に作用する水平力を各柱に分配するための略算法です。
層に作用する水平力(層せん断力)を、各柱がどれだけ分担するかを計算します。完全な骨組み解析をせずに柱の水平力分担を求められるため、設計の初期段階や試験対策でよく登場します。今回は、D値法の意味、D値の求め方の考え方、剛比との関係について説明します。
構造計算の基礎については、下記が参考になります。
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ある層に作用する層せん断力Qを各柱に分配するとき、各柱の分担せん断力Qᵢは次のように求めます。
Qᵢ = (Dᵢ ÷ ΣD) × Q
Dᵢは柱iのD値、ΣDはその層のD値の合計、Qはその層の層せん断力です。つまり、D値が大きい柱ほど多くの水平力を負担するという考え方です。これは直感的に理解できるでしょう。剛性の高い柱に力が集まる、というイメージです。
D値は、柱の曲げ剛性と周辺の梁の剛比(梁の剛度÷柱の剛度)に基づいて算出されます。梁が剛(梁の剛比が大きい)であるほど、柱の両端が梁によって拘束され、反曲点が柱中央に近づきます。逆に、梁が柔(剛比が小さい)であると、柱端部が回転しやすくなり、D値は小さくなります。
簡単に整理すると、以下のようになります。
| 梁の剛比が大きい場合 | 梁の剛比が小さい場合 |
|---|---|
| 柱端部が拘束される | 柱端部が回転しやすい |
| D値は大きくなる傾向 | D値は小さくなる傾向 |
| 水平力を多く負担する | 水平力の負担が小さい |
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D値法は略算法であるため、以下の前提条件のもとで適用します。
複雑な不整形フレームや超高層建物の設計には、マトリックス法などの厳密な骨組み解析を使います。D値法は、一般的な多層ラーメン構造の概略設計や試験問題で力を発揮する手法です。
混同しやすい用語
D値(D値法) と Ds値(構造特性係数)
D値(D値法)は、ラーメン構造の各柱が水平力を分担する割合を示す係数です。剛比から算出され、水平力の分配計算に使います。
Ds値(構造特性係数)は、保有水平耐力計算(ルート3)で使われる係数で、建物のエネルギー吸収能力を表します。
両者はアルファベットも似ており混同しやすいですが、全く別の概念です。「D値法のD=水平力分担、Ds=構造特性」として整理しましょう。
D値法 と 保有水平耐力計算
D値法は、水平力を各柱にどう分配するかの略算法です。設計の初期段階・試験問題でよく使います。
保有水平耐力計算(ルート3)は、建物全体の崩壊メカニズムを想定した詳細な耐震計算です。
D値法は略算・初期検討用、保有水平耐力は詳細設計用、という位置づけで覚えましょう。
今回はD値法について説明しました。D値法は剛節フレームに作用する水平力を各柱のD値の比で分配する略算法です。
D値が大きい柱ほど水平力を多く負担すること、梁の剛比が柱のD値に影響すること、そしてDs値(構造特性係数)とは別概念であることを確認しておきましょう。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。
試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では、「D値が大きい柱ほど水平力を多く負担する」という命題が正誤問題でよく出ます。また、梁の剛比が柱のD値に影響することも問われます。「梁が剛→柱端部が拘束→D値が大きくなる」という流れで覚えておきましょう。
D値とDs値の混同に注意してください。試験で「Ds値が大きいほど必要保有水平耐力が大きくなる」という問題と、「D値が大きい柱が水平力を多く負担する」という問題は全く別の文脈です。文字が似ているだけに間違えやすいところです。