建築学生が学ぶ構造力学

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令和元年度 一級建築士 構造 No.9を解説、木造の壁量計算に関する誤りを見抜くポイント

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令和元年度 一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)No.9は、木造軸組工法による地上2階建ての建築物の壁量の計算に関する問題です。4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。

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この問題のポイント

必要壁量が何に比例するか、見付面積の取り方、存在壁量の計算、壁倍率の合算が問われます。決め手は、地震力で決まる必要壁量が方向によって変わるかどうかです。

引っかけの核心は、地震力で必要壁量が決まる場合に「張り間方向と桁行方向の必要壁量は異なる値になる」としているところです。地震用は床面積に比例するので、両方向で同じ値になります。

※ 問題文そのものは建築技術教育普及センターの公式PDFで確認できます。

正解:選択肢1(これが最も不適当な記述)

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各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ×(最も不適当) 地震力で必要壁量が決まる場合、その値は床面積に比例し、張り間方向と桁行方向で同じ値になります。異なる値になる、とする点が誤りです。
2 ○(正しい) 風圧力に対する2階の必要壁量は、2階床面からの高さ1.35mを超える部分の見付面積に所定の数値を乗じて求めます。正しい記述です。
3 ○(正しい) 存在壁量=壁の長さ×壁倍率です。倍率2で長さ9m(=18)と、倍率3で長さ6m(=18)は同じ値になります。正しい記述です。
4 ○(正しい) 筋かい(倍率1.5)と構造用合板(倍率2.5)を同じ軸組に併用すると、壁倍率は合算して4.0です(上限5.0以内)。正しい記述です。

選択肢1は、地震用の必要壁量が方向で異なるとした点が誤りで、床面積に比例するため両方向で同じ値になります。

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選択肢1のポイント

木造の壁量計算では、地震力に対する必要壁量と、風圧力に対する必要壁量を、別々の考え方で求めます。この2つは比例するものが違います。

地震力に対する必要壁量は、その階の床面積に、階数や屋根の重さで決まる数値を掛けて求めます。床面積は建物全体で1つの値なので、張り間方向を計算しても桁行方向を計算しても、必要壁量は同じ値になります。

一方、風圧力に対する必要壁量は、風を受ける見付面積に比例します。見付面積は、風を受ける向きで大きさが変わるため、張り間方向と桁行方向で値が異なります。

選択肢1は、地震力の必要壁量が方向で異なるとしていますが、地震用は床面積基準なので両方向で同じです。方向で変わるのは風圧力のほうで、この取り違えが誤りです。「地震=床面積(方向で同じ)、風=見付面積(方向で違う)」と押さえます。

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覚え方

  • 地震用の必要壁量は床面積に比例=張り間・桁行で同じ。風用は見付面積に比例=方向で異なる
  • 風圧力の見付面積は、その階の床面から高さ1.35mを超える部分をとる
  • 存在壁量=壁の長さ×壁倍率(倍率2×9m=倍率3×6m=18)
  • 壁倍率は合算できるが、合計の上限は5.0

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理解度チェック

Q.

地震力で必要壁量が決まる場合、張り間方向と桁行方向の必要壁量は異なる値になる。〇か×か。

×。地震用は床面積に比例するため、両方向で同じ値になります。方向で変わるのは風圧力(見付面積)です。

Q.

壁倍率1.5と2.5を同じ軸組に併用したときの壁倍率は。

合算して4.0です。ただし合計の上限は5.0です。

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出典

  • 建築技術教育普及センター「令和元年度 一級建築士試験 学科の試験 学科Ⅳ(構造)問題」
  • 壁量計算(地震力の必要壁量は床面積に比例、風圧力の必要壁量は床面から1.35mを超える見付面積に比例、存在壁量=長さ×壁倍率、壁倍率の合計上限5.0):建築基準法施行令第46条第4項。
ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

建築士 過去問(構造)

プロフィール

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