この記事の要点
鉄骨の断面種別とは、幅厚比をもとに断面の塑性変形能力を分類する区分です。コンパクト断面・ノンコンパクト断面・スレンダー断面の3種類(または日本基準では4種類)に分けられます。
試験対策では「断面種別が高いほど塑性変形能力が高い(局部座屈しにくい)」という方向性を押さえましょう。幅厚比が小さいほど断面種別は有利な区分になります。
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鉄骨の断面種別とは、幅厚比をもとに断面の塑性変形能力を分類した区分のことです。
断面種別は、鉄骨部材がどの程度まで局部座屈を起こさずに変形できるかを示します。設計で使える耐力や変形能力が断面種別によって変わるため、構造設計上の重要な概念です。今回は断面種別の意味、コンパクト断面、幅厚比との関係について説明します。
鉄骨構造全般については、下記が参考になります。
鉄骨断面の板要素(ウェブやフランジ)が局部座屈を起こす前に、どれだけ塑性変形できるかを示す区分が断面種別です。
局部座屈とは、断面を構成する板要素が面外に波打つように変形する現象です。幅厚比(板の幅÷板厚)が大きいほど、局部座屈が生じやすくなります。
簡単に言うと、板が薄く幅が広いほど座屈しやすく、塑性変形能力が低い断面になります。逆に、板が厚く幅が狭いほど局部座屈しにくく、十分な塑性変形能力を持つ断面になります。
日本の鋼構造設計では、断面種別をFA・FB・FC・FDの4種類に区分することがあります(日本建築学会「鋼構造設計規準」等を参照)。試験対策ではコンパクト・ノンコンパクト・スレンダーの3区分で理解しておくと整理しやすいです。
| 断面種別(概念) | 幅厚比の傾向 | 塑性変形能力 | 局部座屈リスク |
|---|---|---|---|
| コンパクト断面(FA相当) | 小さい(板が厚い) | 高い(全塑性モーメントに達する) | 低い |
| ノンコンパクト断面(FB相当) | やや大きい | 中程度 | やや高い |
| スレンダー断面(FC・FD相当) | 大きい(板が薄い) | 低い | 高い |
ここで注意してほしいのは、断面種別はあくまで「どこまで変形できるか」を示す指標であって、断面が小さいとか弱いという意味ではないということです。
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断面種別は幅厚比(板の幅÷板厚)によって決まります。幅厚比が小さい=板が厚い=局部座屈しにくい=コンパクト断面に近い、という関係です。
幅厚比の上限値は、使用する鋼材の降伏応力度によっても異なります。高強度鋼(SN490など)は降伏応力度が高いため、同じ幅厚比でも局部座屈しやすくなる場合があります。試験対策では「幅厚比が小さいほど断面種別は有利」という方向性を押さえましょう。
断面種別は、部材の耐力計算や変形能力の評価に直接影響します。
保有水平耐力計算(ルート3)では、各部材の断面種別が塑性ヒンジを形成できるかどうかの判定に用いられます。
混同しやすい用語
断面種別 と 材料種別(鋼種)
断面種別は、板の幅厚比をもとにした塑性変形能力の分類です(FA・FB・FC・FDなど)。
材料種別は、鋼材の強度規格による区分です(SS400・SN490・SM570など)。
両者は独立した概念ですが、材料の降伏応力度が幅厚比の制限値に影響するため、組み合わせて考える場面があります。
コンパクト断面 と 全塑性モーメント
コンパクト断面とは、局部座屈が生じる前に全塑性モーメントに到達できる断面のことです。
全塑性モーメントとは、断面全体が降伏したときに生じる最大の曲げ耐力です。
コンパクト断面であることが、全塑性モーメントを設計に使う前提条件になります。
今回は鉄骨の断面種別について説明しました。断面種別は幅厚比をもとに塑性変形能力を分類する区分で、コンパクト断面・ノンコンパクト断面・スレンダー断面(またはFA〜FD)に区分されます。
幅厚比が小さいほど有利な断面種別になること、断面種別が保有水平耐力計算における塑性ヒンジの判定に影響することを合わせて確認しておきましょう。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。
試験での問われ方|管理人の一言
断面種別は、「幅厚比が小さいほど塑性変形能力が高い(コンパクト断面に近い)」という方向性で整理してください。試験では「断面種別が高い=局部座屈しにくい=コンパクト断面」という対応関係が問われることがあります。
保有水平耐力計算(ルート3)との関連でも登場します。柱・梁の断面種別が塑性ヒンジの形成可否を左右するため、耐震設計の文脈でセットで押さえておくと整理しやすいです。