建築学生が学ぶ構造力学

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平成30年度 一級建築士 構造 No.25を解説、耐震設計に関する誤りを見抜くポイント

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平成30年度 一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)No.25は、建築物の耐震設計に関する問題です。4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。

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この問題のポイント

方向別の耐震計算ルート、せん断補強筋の材料強度、保有水平耐力の定義、偏心率が大きい場合の割増しが問われます。決め手は、偏心率が所定値を上回る場合に、どの階の必要保有水平耐力を割り増すかです。

引っかけの核心は、ある階の偏心率が所定の数値を上回る場合に「全ての階について必要保有水平耐力の割増しをしなければならない」としているところです。割増しは、偏心率が大きい当該階について行います。

※ 問題文そのものは建築技術教育普及センターの公式PDFで確認できます。

正解:選択肢4(これが最も不適当な記述)

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各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ○(正しい) 張り間方向を純ラーメン、桁行方向をブレース架構とする場合、方向別に異なる耐震計算ルートを採用してよいです。正しい記述です。
2 ○(正しい) せん断補強筋の材料強度は、JIS規格品でも、せん断破壊への余裕度を確保するため基準強度の割増しはしません。正しい記述です。
3 ○(正しい) 保有水平耐力は、崩壊形を形成するときの各階の柱・耐力壁・筋かいが負担する水平せん断力の和としてよいです。正しい記述です。
4 ×(最も不適当) 偏心率が所定の数値を上回る場合の割増しは、その当該階について行います。全ての階について割増しをしなければならない、とする点が誤りです。

選択肢4は、偏心率が所定値を上回る場合に全ての階で割増しをするとした点が誤りで、割増しは偏心率が大きい当該階について行います。

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選択肢4のポイント

偏心率は、その階の重心と剛心のずれの大きさを表す指標で、大きいほどねじれて壊れやすくなります。偏心率が所定の値(0.15)を上回ると、その階は必要保有水平耐力を割り増して、ねじれに対して余裕をもたせます。

このとき割増しをするのは、偏心率が大きい当該階です。形状特性係数Fesは各階ごとに算定するので、偏心率が小さい階まで一律に割り増す必要はありません。建物全体の全ての階で割り増すわけではない、という点がポイントです。

選択肢4は、全ての階について割増しをしなければならないとしていますが、割増しは当該階についてで誤りです。「偏心率が大きい階だけ、その階の必要保有水平耐力を割り増す」と押さえます。

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覚え方

  • 偏心率が所定値を上回る場合、必要保有水平耐力を割り増すのは当該階(全ての階ではない)
  • 形状特性係数Fesは各階ごとに算定
  • 方向別に異なる耐震計算ルートを採用してよい
  • せん断補強筋の材料強度は、余裕度確保のため基準強度を割増ししない

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理解度チェック

Q.

ある階の偏心率が所定の数値を上回る場合、全ての階について必要保有水平耐力を割り増さなければならない。〇か×か。

×。割増しは偏心率が大きい当該階について行います。Fesは各階ごとに算定します。

Q.

せん断補強筋の材料強度は、JIS規格品なら基準強度を割り増してよいか。

×(割増ししない)。せん断破壊への余裕度を確保するため、基準強度の割増しはしません。

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出典

  • 建築技術教育普及センター「平成30年度 一級建築士試験 学科の試験 学科Ⅳ(構造)問題」
  • 耐震設計(偏心率超過時の割増しは当該階・Fesは各階ごと、方向別ルート、せん断補強筋の材料強度、保有水平耐力の定義):建築基準法施行令第82条の3・昭和55年建設省告示第1792号ほか。
ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

建築士 過去問(構造)

プロフィール

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