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必要保有水平耐力の算定方法と意味がわかる、たった3つのポイント

必要保有水平耐力という言葉をご存知でしょうか。「どこかで聞いたことがある」という方も多いでしょう。あるいは、保有水平耐力と意味がごちゃごちゃになって忘れた、なんて人もいますよね。


そこで今回は、必要保有水平耐力の意味や算定方法が一発でわかるポイントを説明します。


必要保有水平耐力と保有水平耐力の関係

まず必要保有水平耐力の意味を明確にするために、保有水平耐力との関係を明らかにします。さて、建物の耐震設計は大まかに分けて2つの計算方法が存在します。


1つは強度型(計算ルート1、2)の設計で、建物の強度を高めることで地震に抵抗します。2つめは靭性型(計算ルート3)の設計で、建物の変形性能により地震エネルギーを吸収します。


必要保有水平耐力と保有水平耐力は、後者の設計法に関係します。また、強度型、靭性型の設計法は「計算ルート」といって、計算方法が明確に分類されています。靭性型はルート3に該当します。


さて、必要保有水平耐力と保有水平耐力の関係は下記の通りです。下式を見てください。

Qunが必要保有水平耐力、Quが保有水平耐力です。つまりQunは、「建物に求められる所定の(必要な)耐力」で、Quは「建物が保有している(持っている、存在している)耐力」と言えます。


必要保有水平耐力の算定方法と3つのポイント

次にQunの算定方法を勉強しましょう。Qunの算定方法はそう難しくありません。下式で算定できます。

それぞれの記号について詳細に説明します。


Dsとは何か?

最も理解しがたい要素がDsだと思います。Dsとは構造特性係数と言います。ルート3の設計法では建物の変形性能に着目し、いかに地震力を吸収するかに重きを置いています。これは言い換えれば、「建物の壊れ方」が大変重要です。


下図をみてください。

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左図は、最下層の柱がせん断破壊したケースです。ある層が部分的に崩壊する壊れ方を層崩壊と言います。またせん断破壊は、悪い壊れ方ですが、Qun以上のQuがあるのなら計算的にはOKです。


右図は各梁、柱脚と柱頭に塑性ヒンジが発生し、崩壊に至るケースです。塑性ヒンジとは、剛な部材にピンが発生することで、簡単に言えば変形しやすくなります。左図のケースと一気に「ガシャン」と壊れますが、右図は「ぐにゅ〜」と変形しすぐには崩壊しません。つまり、圧倒的に多くの地震力を吸収する壊れ方です。


さて、Dsの話に戻します。Dsとは、まさに上記の話を数値化したものです。これを構造特性係数と難しい言葉をつけています。


具体的にDsは下記の値です。

Ds値の大小は建物の壊れ方で変化します。建物がすぐに壊れてしまう(せん断破壊、座屈)場合はDs値はより大きくなります。RC造の場合は最大で0.55です。一方、建物が地震力を効率的に吸収する壊れ方(塑性ヒンジの発生による全体崩壊形)なら、Dsの値は小さくなります。鉄骨造ならDs=0.25です。


Dsが大きくなると、Qunも大きくなります。つまり、より大きなQuが必要ということです。靭性の無い壊れ方は、必要保有水平耐力が大きくなるのです。

 

Fesとは何か?

Fesとは形状特性係数と言います。建物には2つの形状特性があります。1つは平面的な形状、2つめは立面的な(高さ方向)形状です。


平面的なバランスの良し悪しを偏心率Reで表します。立面的なバランスは剛性率Rsです。これらの指標から形状特性係数を算定するのです。具体的には下記となります。

また今回は説明しませんが、上記の算定式には、算定値の上下限が設定されているので注意してください。


今回知って頂きたいことは、Fesとは「建物の平面的・立面的バランスにより考慮する係数である」ということ。


つまりバランスが良い建物ならFes=1.0、悪ければ1.0以上になりQunが大きくなるのです。


Qudとは何か?

Qudとは大地震時の地震力です。地震力の算定は下記の記事で詳細に説明しています。合わせて参考にしてください。

地震力の算定方法と、簡単にわかるZ、Rt、Ai、Coの意味


注意して頂きたいことは、大地震時の地震力は標準せん断力係数Co=1.0であること。建物重量と同等以上の重量になります。


まとめ

以上、必要保有水平耐力の算定方法や、保有水平耐力との関係を説明しました。算定式自体は簡単ですが、各記号の意味をしっかり理解しましょう。

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