この記事の要点
耐震設計とは地震の力に建築物が耐えるように構造部材を設計することで、日本では中地震向けの許容応力度計算と大地震向けの保有水平耐力計算の2段階で行われる。
耐震・制震・免震は「地震力に抵抗する」「振動を制御する」「地震を伝えない」という異なるアプローチであり、それぞれ目的と設計方法が異なる。
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耐震設計とは、地震の力に対して、建築物が耐える(抵抗する)ように、構造部材を設計することです。日本の建築物のほとんどが、耐震設計を行っています。
その他は制震設計、免震設計です。日本の耐震設計では、2段階の計算を行います。今回は、耐震設計の意味、考え方、震度との関係、制震、免震との違いについて説明します。
制震、免震については、下記が参考になります。
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耐震設計とは、地震の力に対して、建築物が耐えるように、構造部材を設計することです。ほとんどの建築物は、耐震設計を行っています。
現行の建築基準法による耐震設計で建てられた建築物は、大規模な地震が起きても、倒壊するものは少ないです。
そのために、日本の耐震設計では、下記の2段階の計算を行います。
・許容応力度計算
・保有水平耐力計算
※それぞれの意味、詳細は下記が参考になります。
簡単に言うと、許容応力度計算では、地震後も元通り使用可能な状態を目指して設計されます。
保有水平耐力計算では、地震後、建物の「倒壊」が起きないことを目標に設計されます。
上記の2段階の計算を、1次設計、2次設計ともいいます。詳細は下記の記事が参考になります。
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耐震設計は「たいしんせっけい」と読みます。その他、関係する用語の読み方を下記に整理しました。
耐震 ⇒ たいしん
制震 ⇒ せいしん
免震 ⇒ めんしん
耐震設計では、2段階の計算を行います。
許容応力度計算
保有水平耐力計算
です。許容応力度計算では、中地震程度の地震の力を考慮します。これは、
概ね50年に一度起きる地震
です。この地震力に対して、損傷せず、建物が元通り使えるような構造部材を設定します。※中地震の意味は、下記の記事が参考になります。
保有水平耐力計算では、大地震程度の地震力を考慮します。大地震は、
500年に一度起きる地震
です。この地震に対して、建物が倒壊しないような構造部材を設定します。倒壊はしませんが、建築物は損傷し使えない可能性はあります。
耐震設計は、上記の考え方で計算を行います。
耐震設計を行った建築物は、震度いくつまで耐えられるのでしょうか。実は、震度とは明確に関連付けられません。ただし、大地震でも倒壊しない建築物を設計するので、
震度6でも倒壊しない
と考えてよいでしょう。震度と中地震、大地震との関係は、下記も参考になります。
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耐震、制振、免震との違いを下記に整理しました。
耐震 ⇒ 地震に抵抗(耐える)すること
制震 ⇒ 地震の揺れ(振動)を制御すること
免震 ⇒ 地震の揺れを、伝えない(免れる)こと
現在の建築物は、地震に対して上記のいずれかの対策が施されています。最も一般的な方法が、耐震設計です。
地震に抵抗するような構造部材(柱、梁)を設計します。前述したように、2段階の計算を行い、問題ないことを確認します。
制震構造は、地震の揺れを制御することです。地震力を吸収するダンパーなどを設置します。
制震構造には、アクティブ制震とパッシブ制震があります。詳細は、下記の記事が参考になります。
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免震構造は、地震の揺れを建物に伝えない構造方法です。現実的では無いですが、建築物が宙に浮いた場合、地震で地面が揺れても、その揺れは建物に伝わりませんよね。
地震の揺れが伝わらないよう、地震の周期に対して建物の周期を長くして対応します。詳細は、下記の記事が参考になります。
混同しやすい用語
耐震設計と制震設計
耐震設計は建物の構造部材(柱・梁・壁)を強化して地震力に直接抵抗させる設計法。
制震設計はダンパーなどのエネルギー吸収装置を設置して地震の振動エネルギーを吸収・制御するもので、耐震設計と組み合わせて使われることが多い。
1次設計(許容応力度計算)と2次設計(保有水平耐力計算)
1次設計は中地震(概ね50年に一度)に対して建物が損傷せず使用可能な状態を保つことを目標とする。
2次設計は大地震(500年に一度)に対して建物が倒壊しないことを目標とするもので、損傷は許容されるが崩壊を防ぐ水準の強度を確保する。
| 項目 | 耐震 | 制震 | 免震 |
|---|---|---|---|
| 設計概念 | 抵抗 | 制御 | 遮断 |
| 仕組み | 部材の強度・剛性で地震力に抵抗 | ダンパー等で振動エネルギーを吸収 | 積層ゴム等で建物と地盤を切り離す |
| 地震後の損傷 | 損傷あり | 損傷少ない | ほとんどなし |
| コスト | 低い | 中程度 | 高い |
| 主な適用 | 一般建物全般 | 中高層・重要施設 | 超高層・免震マンションなど |
今回は耐震設計について説明しました。耐震設計は、地震に抵抗するような建築物を設計することです。
耐震設計には2段階の計算があります。許容応力度計算と保有水平耐力計算です。日本の耐震設計の特徴を理解しましょう。また、下記の記事も併せて参考にしてくださいね。
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試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では「耐震・制震・免震の違い」や「1次設計と2次設計の目標の違い」が選択問題で頻出する定番テーマ。
耐震=抵抗、制震=制御、免震=遮断、という3語の意味の違いを漢字から理解すると暗記しやすく、試験本番でも迷わず答えられる。