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せん断補強筋とは?わかりやすい意味【図解】

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せん断補強筋とは、部材に生じるせん断力に抵抗する鉄筋です。せん断補強筋は、せん断耐力を高める役割、主筋を拘束する役割があります。

せん断補強筋

また、柱に配置するせん断補強筋を「帯筋またはフープ」、梁に配置するせん断補強筋を「あばら筋、または、スターラップ」といいます。


鉄筋コンクリート部材には様々な鉄筋が配置されるので混乱する方も多いでしょう。


今回はせん断補強筋の意味をわかりやすく図解します。あばら筋、帯筋の詳細は、下記が参考になります。

あばら筋とは?1分でわかる役割、間隔、表記方法、あばら筋比の計算

帯筋とは?1分でわかる帯筋の意味、読み方、役割、間隔、帯筋比との関係

せん断補強筋とは?

せん断補強筋は、せん断力に抵抗する鉄筋です。せん断補強筋を入れることで、せん断耐力を高めることが可能です。


また、主筋の拘束(主筋の座屈防止)もせん断補強筋の役割の1つです。

せん断補強筋

せん断補強筋の役割を理解するために、まずは「コンクリートとせん断力」について考えます。


コンクリートは引張強度がほぼゼロのため鉄筋を入れて補強するのですが、


実は、「コンクリートのせん断強度もかなり小さい」ため、せん断力に対する補強をしなければ、せん断力による破壊(せん断破壊)が起きやすい材料です。


「せん断力」は部材をずらす力です。たとえば、コンクリートの柱にせん断力が作用し、せん断破壊に至るとコンクリート柱は下図のように斜めに「ズレて」割れます。


コンクリートに作用するせん断力

そこで、せん断補強筋を配置します。上図のように、せん断補強筋が無ければズレて割れるコンクリートも、せん断補強筋を入れることでズレが防止(せん断破壊を防止)されます。


以上のように、せん断補強筋の役割は、せん断力によるズレ防止すなわち


です。せん断補強筋は少ないよりも沢山いれる方が、せん断耐力を高く(ズレにくく)できますが、


ある程度せん断補強筋を入れると、それ以上せん断耐力は増えません。せん断耐力の詳細は下記をご覧ください。


せん断耐力とは?1分でわかる意味、求め方、コンクリートの式、単位

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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せん断補強筋と主筋の関係

せん断補強筋の2つめの役割が

です。下図に示す柱の主筋とせん断補強筋の関係を見てください。せん断補強筋は主筋に巻き付けて等間隔に配置します。

せん断補強筋

通常時、主筋の周囲にはコンクリートがあるので、主筋の変形はコンクリートにより拘束されています。


しかし地震時に柱は水平方向にも作用し、主筋の周囲にあるコンクリートが剥落する恐れがあることが、過去の地震被害で明らかになっています。


主筋の径は大きくても50mm程度、普通は20~30mm程度ですが、柱の長さは最低でも3000mmあります。


コンクリートが無ければ主筋は「圧縮力により座屈しやすい」ので、主筋の座屈防止の観点から、主筋の変形を拘束するせん断補強筋が必要になるのです。

せん断補強筋が無いと主筋が座屈しやすい

また、RC柱の主筋は、過去の地震被害から「帯筋間隔が粗い場合」に座屈の恐れがあることが分かっています。そのため、帯筋間隔を密にすることで主筋の座屈が防止できます。


構造設計の実務では、通しで帯筋間隔100mmとする方が一般的です。


なお、スパンが短い部材や剛性が高く力が集まりやすい部材は、せん断力も大きくなるのでせん断補強筋の数を増やして対応します。

短柱とせん断破壊の関係は?1分でわかる意味、スリット、鉄筋コンクリート造との関係

せん断力と柱の長さ

せん断補強筋の数を増やせない場合は、より強度の高いせん断補強筋(高強度せん断補強筋)を用いて対応可能です。


高強度せん断補強筋ってなに?1分でわかる特徴と強度

高強度せん断補強筋ってなに?1分でわかる特徴と強度

せん断補強筋の種類

せん断補強筋の種類は下記があります。せん断補強筋を入れる目的は同じですが、柱と梁で名称が変わります。


・梁のせん断補強筋 ⇒ あばら筋(スターラップ)

・柱のせん断補強筋 ⇒ 帯筋(フープ)


柱は鉛直方向に建つ構造部材、梁は水平方向に架ける構造部材です。よって、あばら筋は鉛直向きに配置、帯筋は水平向きに配置します。

帯筋とあばら筋の向き

あばら筋、帯筋の詳細は下記が参考になります。

あばら筋とは?1分でわかる役割、間隔、表記方法、あばら筋比の計算

帯筋とは?1分でわかる帯筋の意味、読み方、役割、間隔、帯筋比との関係

せん断補強筋とフック形状

せん断補強筋のフック形状は、135°が普通です。異なる形状にする場合、鉄筋コンクリート造配筋指針を参考にしてください。


施工業者の中には、「認められていないせん断補強筋の形状」に変更したい、という人たちもいます。※フック形状の詳細は、下記の書籍が参考になります。

鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説〈2010〉

せん断補強筋の配置方法

せん断補強筋は、普通、主筋を取り囲むように配置します。主筋の周りをグルッと囲んだような鉄筋です。また、せん断補強筋は一定の間隔ごとに配置します。


せん断補強筋の間隔は、100~200ピッチ程度が一般的で、計算又は建築基準法の規定により決めます。一般的に、


梁幅350以下 D10@200

梁幅400以上 D13@200


程度で、梁幅に応じてせん断補強筋比0.2%を満足するよう間隔を決めます。詳細は下記をご覧ください。

せん断補強筋比とは?1分でわかる意味、計算式と求め方、記号とpw、柱と壁の値


また、外側のせん断補強筋の中に配置したせん断補強筋を、中子筋といいます。中子筋は、下記が参考になります。

中子筋とは?1分でわかる意味、読み方、副帯筋との違い、柱、梁

まとめ

今回はせん断補強筋について説明しました。せん断補強筋は、せん断力に抵抗する鉄筋です。


せん断補強筋を入れることで、せん断耐力を高めることが可能です。また、主筋の拘束(主筋の座屈防止)もせん断補強筋の役割の1つです。


コンクリートはせん断破壊しやすい材料のため、せん断補強筋を入れて補強します。各せん断補強筋の特徴、間隔など覚えてくださいね。

せん断補強筋比とは?1分でわかる意味、計算式と求め方、記号とpw、柱と壁の値

高強度せん断補強筋ってなに?1分でわかる特徴と強度

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