この記事の要点
せん断破壊とは、部材にせん断力が作用して生じる破壊形式で、急激に耐力を失うため曲げ破壊より危険とされる。
柱や梁の設計ではせん断破壊を回避し、曲げ破壊が先行するように計画することが耐震設計の基本原則である。
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せん断破壊とは、せん断力により生じる破壊です。ハサミで紙が切られるような破壊を、せん断破壊と考えてください。
せん断破壊が起きると、部材は急激に耐力を失います。柱、梁部材は、せん断破壊を避けた設計とします。
今回は、せん断破壊の意味、特徴、計算、危険性について説明します。※せん断耐力は、下記が参考になります。
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せん断破壊とは、せん断力により生じる破壊形式です。下図をみてください。これが、せん断破壊です。
梁に、斜めのひび割れ線が入って破壊しています。せん断破壊が起きると、このまま梁がずれて崩壊します。
急激に耐力が減少するので、柱や梁部材は、せん断破壊が生じないよう設計します。
せん断破壊は、ハサミで紙をバッサリ切ったような破壊ですね。
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せん断破壊の特徴は、下記です。
・ずれ合う力(せん断力)により生じる破壊
・耐力を急激に失う
・斜めのひび割れ線が入る
なお、鉄筋コンクリート壁のせん断破壊は許容されますが、柱や梁のせん断破壊は起こしてはいけません。
せん断破壊は、下式のとき生じます。
せん断耐力とは、部材が持つ、せん断力に抵抗する耐力です。せん断耐力の大きさは、部材断面積やせん断強度に比例します。※せん断耐力は、下記が参考になります。
せん断耐力とは?1分でわかる意味、求め方、コンクリートの式、単位
せん断破壊の危険性は、下記です。
・耐力を急激に失う
・部材が鉛直力を負担できない
まず、耐力を急激に失う破壊形式です。例えば、「100」あった耐力が一気に「0」になると、避難や身を守る時間が全くありません。とても危険ですね。
また、せん断破壊が起きると部材は鉛直力を負担できません。鉛直力とは、人の重量、床や積載物の重量などです。長期荷重ともいいます。下記が参考になります。
例えば、梁にせん断破壊が生じました。鉛直荷重を負担できない梁の上を歩くことはできません。
梁が崩れるからです。建物の中にいる人々は避難できないどころか、上から梁が落ちてきて、重大な危険につながる恐れがあります。
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混同しやすい用語
曲げ破壊(まげはかい)
曲げモーメントによって鉄筋が先に降伏し、その後コンクリートが圧壊する延性的な破壊形式です。
曲げ破壊は鉄筋の降伏という前兆の後に段階的に起こる延性的な破壊であるのに対して、せん断破壊は前兆なく急激に起こる脆性的な破壊であり、耐震設計では曲げ破壊型を先行させ(強柱弱梁)、せん断破壊を避けることが原則です。
付着破壊(ふちゃくはかい)
コンクリートと鉄筋の間の付着力が失われ、鉄筋が滑り抜ける(スリップする)破壊形式です。
付着破壊は鉄筋とコンクリートの界面での付着力喪失による破壊であるのに対して、せん断破壊はコンクリート部材そのものがせん断力によって斜め方向に破断する破壊であり、破壊が生じる場所と力の種類が異なります。
せん断破壊を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| せん断破壊の定義 | せん断力により生じる破壊形式 | 斜めのひび割れが入り耐力を急激に失う |
| 発生条件 | せん断力>せん断耐力 | せん断耐力は断面積・せん断強度に比例 |
| 設計上の原則 | 柱・梁はせん断破壊を避けた設計とする | 曲げ降伏を先行させる(強柱弱梁) |
今回はせん断破壊について説明しました。せん断破壊は、せん断力により生じる破壊です。
せん断力が、せん断耐力を上回ると生じます。急激に耐力が減少するので、柱や梁はせん断破壊しないよう設計します。曲げ降伏が先に起きるよう設計するのが基本です。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
試験では「せん断破壊」と「曲げ破壊」の危険性の違いを問う問題が頻出です。せん断破壊は脆性的で前兆なく崩壊するため、設計では回避することが原則です。
RC造の柱ではせん断補強筋(帯筋)を適切に配置することで、せん断破壊を防止します。帯筋比の基準値も試験に出ます。
地震時には柱・梁接合部でもせん断破壊が生じる危険があります。接合部の設計はRC造の耐震性を確保する上で重要な検討事項です。