建築学生が学ぶ構造力学

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平成30年度 一級建築士 構造 No.29を解説、鋼材に関する誤りを見抜くポイント

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平成30年度 一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)No.29は、鋼材に関する問題です。4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。

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この問題のポイント

炭素含有量と伸び、低降伏点鋼と履歴型ダンパー、降伏比の計算、SN490Bの降伏点の規定が問われます。決め手は、降伏点と引張強さから降伏比をどう計算するかです。

引っかけの核心は、降伏点350N/mm2・引張強さ490N/mm2の鋼材の降伏比を「1.4である」としているところです。降伏比は降伏点÷引張強さなので、350÷490=約0.71です。

※ 問題文そのものは建築技術教育普及センターの公式PDFで確認できます。

正解:選択肢3(これが最も不適当な記述)

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各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ○(正しい) 鋼材は、一般に炭素含有量が多くなるほど、破断に至るまでの伸びが小さくなります。正しい記述です。
2 ○(正しい) 建築構造用低降伏点鋼LY225は、SS400に比べて降伏点が低く延性が高いため、履歴型制振ダンパーに用いられます。正しい記述です。
3 ×(最も不適当) 降伏比は降伏点÷引張強さで、350÷490=約0.71です。降伏比1.4とする点が誤りです(1.4は引張強さ÷降伏点で逆数)。
4 ○(正しい) SN490B(板厚12mm以上)は、「降伏点又は耐力」の上限値と下限値が規定されています。正しい記述です。

選択肢3は、降伏比を1.4とした点が誤りで、降伏点÷引張強さ=350÷490=約0.71が正しい値です。

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選択肢3のポイント

降伏比は、鋼材の粘り強さの目安で、降伏比=降伏点÷引張強さで計算します。降伏してから破断するまでにどれだけ余裕があるかを表し、降伏比が小さいほど、降伏後も大きく伸びてから壊れる(粘り強い)ことを意味します。

この問題では、降伏点が350N/mm2、引張強さが490N/mm2なので、降伏比=350÷490=約0.71です。降伏比は必ず1未満になります(降伏点は引張強さより小さいため)。選択肢の1.4は、引張強さ÷降伏点(490÷350)を計算した逆数で、割る順序を取り違えています。

選択肢3は、降伏比を1.4としていますが、正しくは約0.71で誤りです。「降伏比=降伏点÷引張強さ、必ず1未満」と押さえます。

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覚え方

  • 降伏比=降伏点÷引張強さ(350÷490≒0.71)。必ず1未満で、小さいほど粘り強い
  • 炭素含有量が多いほど、破断までの伸びは小さくなる
  • 低降伏点鋼LY225は延性が高く、履歴型制振ダンパーに用いる
  • SN490B(板厚12mm以上)は降伏点の上限・下限を規定

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理解度チェック

Q.

降伏点350N/mm2・引張強さ490N/mm2の鋼材の降伏比は1.4である。〇か×か。

×。降伏比=降伏点÷引張強さ=350÷490=約0.71です。1.4は逆数の計算です。

Q.

低降伏点鋼LY225が履歴型制振ダンパーに用いられるのはなぜか。

降伏点が低く延性が高いため、早期に降伏して安定して塑性変形し、エネルギーを吸収できるからです。

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出典

  • 建築技術教育普及センター「平成30年度 一級建築士試験 学科の試験 学科Ⅳ(構造)問題」
  • 鋼材(降伏比=降伏点÷引張強さ、炭素含有量と伸び、低降伏点鋼と履歴型ダンパー、SN490Bの降伏点の上下限):鋼構造設計規準・JIS G3136(日本建築学会・日本産業規格)。
ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

建築士 過去問(構造)

プロフィール

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