建築学生が学ぶ構造力学

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平成29年度 一級建築士 構造 No.14を解説、RC許容応力度計算に関する誤りを見抜くポイント

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平成29年度 一級建築士試験 学科Ⅳ(構造)No.14は、鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算に関する問題です。4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。

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この問題のポイント

柱の長期許容曲げモーメントとコンクリートの引張、鉄筋の鋼種変更、短期許容せん断力と主筋、開口補強筋量が問われます。決め手は、引張鉄筋をSD345からSD390に変えると長期許容曲げモーメントが大きくなるかどうかです。

引っかけの核心は、梁の長期許容曲げモーメントを大きくするために「引張鉄筋をSD345から同一径のSD390に変更した」としているところです。鉄筋の長期許容応力度には上限があり、SD390に変えても大きくならないため、長期許容曲げモーメントは増えません。

※ 問題文そのものは建築技術教育普及センターの公式PDFで確認できます。

正解:選択肢2(これが最も不適当な記述)

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各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ○(正しい) 柱の長期許容曲げモーメントの算定で、コンクリートの引張は無視し、主筋と圧縮コンクリートを考慮するのは妥当です。正しい記述です。
2 ×(最も不適当) 鉄筋の長期許容引張応力度には上限があり、SD345をSD390に変えても大きくなりません。長期許容曲げモーメントを大きくできる、とする点が誤りです。
3 ○(正しい) 柱及び梁の短期許容せん断力の算定において、主筋はせん断力を負担しないものとして計算するのは妥当です。正しい記述です。
4 ○(正しい) 開口を設けた耐力壁で、壁縦筋・壁横筋の寄与分を考慮して開口補強筋量を算定するのは妥当です。正しい記述です。

選択肢2は、SD345をSD390に変えて長期許容曲げモーメントを大きくできるとした点が誤りで、長期許容応力度は上限に達しており変わりません。

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選択肢2のポイント

長期許容曲げモーメントは、多くの場合、引張鉄筋が長期許容引張応力度に達する状態で決まります。したがって、鉄筋の長期許容引張応力度が大きくなれば、長期許容曲げモーメントも大きくできます。

ところが、鉄筋の長期許容引張応力度には上限があります。SD345でもSD390でも、この上限(径によって215または195N/mm2)に達しているため、鋼種を上げても長期許容引張応力度は変わりません。上限が同じなので、SD390に変更しても長期許容曲げモーメントは大きくなりません。強度の高い鉄筋が効いてくるのは、主に短期(地震時)や保有水平耐力の検討です。

選択肢2は、SD390に変えて長期許容曲げモーメントを大きくできるとしていますが、上限で頭打ちのため増えません。「長期許容応力度は上限あり、鋼種を上げても長期は変わらない」と押さえます。

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覚え方

  • 鉄筋の長期許容引張応力度には上限があり、SD345→SD390でも長期は変わらない(長期許容曲げモーメントは増えない)
  • 強い鉄筋が効くのは、主に短期(地震時)・保有水平耐力
  • 長期許容曲げモーメントの算定は、コンクリートの引張を無視し主筋と圧縮コンクリートで
  • 短期許容せん断力の算定で、主筋はせん断力を負担しない

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理解度チェック

Q.

梁の長期許容曲げモーメントを大きくするため、引張鉄筋をSD345からSD390に変更すると効果がある。〇か×か。

×。鉄筋の長期許容引張応力度は上限に達しており、SD390に変えても長期許容曲げモーメントは大きくなりません

Q.

柱・梁の短期許容せん断力の算定で、主筋はせん断力を負担するとして計算するか。

いいえ。主筋はせん断力を負担しないものとして計算します(せん断はあばら筋・帯筋とコンクリートが負担)。

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出典

  • 建築技術教育普及センター「平成29年度 一級建築士試験 学科の試験 学科Ⅳ(構造)問題」
  • RC許容応力度計算(鉄筋の長期許容引張応力度の上限、長期許容曲げモーメントの算定、短期許容せん断力と主筋、開口補強筋量):鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会)。
ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

建築士 過去問(構造)

プロフィール

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