この記事の要点
コンクリートの配合設計とは、必要な強度・耐久性・施工性(ワーカビリティー)を満たすコンクリートを得るために、水・セメント・細骨材・粗骨材の配合割合を決める作業です。
水セメント比(W/C)は小さいほど強度・耐久性が高くなります。単位水量は乾燥収縮やブリーディングを抑えるためできるだけ少なく設定します。試験対策では185kg/m3という数値もあわせて押さえておきましょう。細骨材率はワーカビリティーと強度を両立するよう決定します。
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コンクリートの配合設計(はいごうせっけい)とは、必要な強度・耐久性・施工性を満たすコンクリートを得るために、水・セメント・細骨材・粗骨材・混和材料の配合割合を決める作業です。
配合設計では、水セメント比(W/C)・単位水量(W)・細骨材率(s/a)が主要な設計変数となります。今回はこれらの意味と決め方、配合設計の全体的な手順について説明します。
コンクリートの基本用語は、下記が参考になります。
配合設計を理解するために、主要な用語を整理します。
| 用語 | 記号 | 意味 |
|---|---|---|
| 水セメント比 | W/C | 水の質量÷セメントの質量(百分率)。小さいほど高強度・高耐久 |
| 単位水量 | W | コンクリート1 m3中の水の質量(kg/m3) |
| 単位セメント量 | C | コンクリート1 m3中のセメントの質量(kg/m3) |
| 細骨材率 | s/a | 全骨材容積中の細骨材容積の割合(百分率) |
| スランプ | — | フレッシュコンクリートの流動性を表す指標(cm単位) |
| 配合強度 | F | 設計基準強度に割増係数を掛けた目標圧縮強度(N/mm2) |
水セメント比(W/C)は配合設計の最重要変数です。W/Cを小さくすると強度・水密性・耐久性が向上しますが、ワーカビリティーが低下します。W/Cを大きくするとワーカビリティーは向上しますが、強度・耐久性が低下します。
コンクリートの配合設計は、おおむね以下の手順で行います。
Step 1: 配合強度の決定
設計基準強度(Fc)に、品質のばらつきを見越した割増係数を掛けて配合強度(F)を設定します。一般に F > Fc となるよう割り増します。
Step 2: 水セメント比(W/C)の決定
配合強度と水セメント比の関係式(フォーミュラ)から、必要なW/Cを求めます。同時に耐久性の観点から、コンクリートの種類に応じた水セメント比の上限を超えないよう確認します。
Step 3: 粗骨材の最大寸法・スランプの設定
構造部材の断面寸法・鉄筋間隔・施工方法を考慮して、粗骨材の最大寸法とスランプ(目標値)を決めます。
Step 4: 単位水量(W)の決定
スランプと粗骨材の最大寸法をもとに、実験式や標準値から単位水量を決めます。単位水量は、乾燥収縮やブリーディングを抑えるためできるだけ少なく設定します。
Step 5: 単位セメント量(C)の計算
Step 2で決めたW/CとStep 4で決めたWから、C = W ÷ (W/C) を計算します。
Step 6: 細骨材率・骨材量の決定と試し練り
細骨材率(s/a)を設定し、絶対容積法などでセメント・水・細骨材・粗骨材の各配合量を算出します。試し練りを行い、スランプ・空気量・圧縮強度を確認して最終配合を決定します。
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水セメント比は、強度と耐久性の両面から上限が定まります。
強度による決定:配合強度と水セメント比の関係は次の式(Abrams則の変形)で表されます。
Fc = k1 / (k2)W/C (k1・k2は実験定数)
つまり、必要な配合強度が大きいほどW/Cを小さくする必要があります。
耐久性による制限:耐久性の観点から、コンクリートの種類に応じて水セメント比の上限が設定されています(仕様・条件によって異なります)。
| コンクリートの種類 | 水セメント比の上限 |
|---|---|
| 普通コンクリート | 65%以下 |
| 軽量コンクリート | 65%以下 |
| 高強度コンクリート | 設計基準強度に応じて設定(概ね40%以下) |
W/Cの決定は、強度から算出した値と耐久性の上限値を比較して、小さい方を採用します。
単位水量(W)は、スランプと粗骨材の最大寸法によって変わります。スランプが大きいほど・粗骨材の最大寸法が小さいほど、単位水量は多くなります。少し複雑に見えますが、「水が多いほど柔らかくなるが収縮しやすい」というイメージで整理すると覚えやすいです。
単位水量が多いと乾燥収縮・ブリーディングが増えます。単位水量はできるだけ少なくなるよう設定し、AE剤や高性能AE減水剤を活用します。試験対策では185kg/m3という数値もあわせて押さえておきましょう。実務ではコンクリートの種類・使用材料・施工条件によって扱いが変わります。
なお、単位水量とW/Cが決まれば、単位セメント量Cは自動的に決まります。
C = W ÷ (W/C)
例えば W = 175 kg/m3、W/C = 55% のとき、C = 175 ÷ 0.55 ≒ 318 kg/m3 となります。
細骨材率(s/a)は、全骨材(細骨材+粗骨材)の絶対容積に対する細骨材の絶対容積の割合です。
細骨材率が大きすぎるとセメントペーストの必要量が増えてコスト・収縮が増加します。小さすぎるとワーカビリティーが低下して施工性が悪くなります。一般的な普通コンクリートでは40〜50%程度が目安です。
細骨材率は、水セメント比・単位水量・粗骨材の最大寸法・AE剤の使用量などを考慮して、試し練りで最適値を見つけます。
細骨材率の詳細は、下記が参考になります。
配合設計で最初に決める配合強度(F)は、設計基準強度(Fc)より大きく設定します。
理由は、実際のコンクリートには品質のばらつきがあるため、すべてのコンクリートが設計基準強度を上回るよう、あらかじめ余裕を持たせる必要があるからです。
配合強度の設定式の例(品質管理の目安として参考にしてください):
F = Fc + 1.73σ(σ:標準偏差、通常3〜5 N/mm2程度)
例えば Fc = 24 N/mm2、σ = 3 N/mm2 のとき、F = 24 + 1.73 × 3 ≒ 29 N/mm2 となります。
混同しやすい用語
設計基準強度(Fc)と 配合強度(F)
設計基準強度(Fc)は、構造設計において必要とされる圧縮強度の基準値です。構造計算の根拠となる数値で、通常21〜36 N/mm2程度が使われます。
配合強度(F)は、品質のばらつきを見越してFcに割増した配合設計上の目標強度です。必ずF>Fcとなります。試し練りで確認し、圧縮試験で検証します。
「設計基準強度=要求値、配合強度=目標値(割増後)」と整理しましょう。
水セメント比(W/C)と 水結合材比(W/B)
水セメント比(W/C)は水の質量をセメント質量で割った値で、一般的なコンクリートに用います。
水結合材比(W/B)は水の質量を結合材全体(セメント+フライアッシュ・高炉スラグなど混和材)の質量で割った値です。混和材を使用するコンクリートではW/Bで耐久性を評価します。
「混和材を使う場合はW/CではなくW/Bで管理する」という点を覚えておきましょう。
今回はコンクリートの配合設計について説明しました。配合設計とは、必要な強度・耐久性・施工性を満たすコンクリートの配合割合を決める作業です。
水セメント比(W/C)は強度・耐久性の観点から上限が定まり、単位水量(W)は乾燥収縮やブリーディングを抑えるためできるだけ少なく設定します。これらを組み合わせて単位セメント量を算出し、試し練りで最終配合を確定します。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では「W/C(水セメント比)が小さいほど強度・耐久性が高い」という関係性と、単位水量185kg/m3という数値が問われることがあります。ただし、実務ではコンクリートの種類・使用材料・施工条件などによって扱いが変わります。試験用の暗記値と実務で確認すべき条件は分けて考えましょう。
W/Cの決め方については、「強度から求めたW/C」と「耐久性から求めたW/C」の2つを計算して、小さい方を採用するという手順が問われることがあります。両方の条件を満たす必要があるためです。
また、配合強度F>設計基準強度Fcという関係は「余裕を持った配合にするため」と理解しておくと、なぜF>Fcなのかが自然に理解できます。試し練りでFが確認できれば配合確定です。