ワーカビリティをご存じでしょうか。コンクリートの施工性に関する用語です。今回は、ワーカビリティの意味や、スランプとの関係を説明します。
ワーカビリティは、コンクリートを型枠に打ち込むときの施工のやり易さ、です。「ワーカビリティが良いコンクリート」とは、コンクリートの施工性が良いと同義です。
さて、ワーカビリティは、JASS5で下記のように定義されています。※JASS 5については下記の記事が参考になります。
「コンクリートのワーカビリティは、打ち込み箇所および打ち込み・締固め方法に応じて、型枠内および鉄筋周囲に密実に打ち込むことができ、かつブリーディングおよび材料分離が少ないものとする。」
と書いてあります。
つまり、ワーカビリティは単に施工がやり易いだけではダメです。過去の建築物の中には、生コンクリートに水を混ぜて、現場で施工を行いやすくしていました。
水のようにサラサラの液体と、生クリームのように原型を留める半固体で、型枠に隅々まで行き届かせるなら、断然「サラサラの液体」がやり易いですね。
しかしこれは言語道断で、コンクリートの強度が落ちるばかりか、劣化もすぐに進行します。
よってワーカビリティは、ブリーディングや材料分離が少なくすることも必要です。
ブリーディングや材料分離を判断する指標の1つがスランプ値です。※スランプ値については、下記の記事が参考になります。
スランプ試験ってなに?スランプコーンとスランプ値、Fcとの関係
スランプが大きいと、材料分離やブリーディング量が大きくなります。逆にスランプ値が少ないと、前述した問題は起きにくいですが、ワーカビリティは悪くなります。ワーカビリティとスランプ値の双方を兼ねたコンクリートが必要です。
現在、スランプ値は18cm以下が基本です。ブリーディング量に関しては、JASS5にも評価基準がまとまっていないのが現状です。
ワーカビリティはスランプ値との兼ね合いだと説明しました。昔は水量を増やして(セメント量を減らして)、ワーカビリティを良くしていました。現在では高性能AE減水剤という、水量を減らしてもワーカビリティが損なわれない混和材があります。
※高性能AE減水剤に関しては、下記の記事が参考になります。
今回はワーカビリティについて説明しました。ワーカビリティの意味自体は簡単です。しかし大切なのは、ワーカビリティとスランプの関係です。下記の記事も併せて参考にしてください。
スランプ試験ってなに?スランプコーンとスランプ値、Fcとの関係