この記事の要点
免震装置とは、建物と地盤の間(または中間階)に設置して、地震力を建物に伝わりにくくする装置です。アイソレータ(支承)とダンパーの2種類に大別されます。
代表的なアイソレータは積層ゴム(天然ゴム系・鉛プラグ入り・高減衰ゴム)、すべり支承、転がり支承です。建築士試験では各装置の役割の違いが問われます。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
免震装置(めんしんそうち)とは、建物と地盤の間または中間階に設置し、地震の揺れを建物に伝わりにくくする装置の総称です。
免震装置を設けることで建物の固有周期を長くし、地震入力を大幅に低減できます。今回は免震装置の種類(積層ゴム・鉛プラグ入り積層ゴム・高減衰ゴム・オイルダンパー・すべり支承)の違いを説明します。
免震構造・制振構造の基礎は下記も参考になります。
耐震等級とは?1分でわかる意味、建築基準法との関係、マンションの等級
免震装置は役割によってアイソレータとダンパーの2種類に分けられます。
実際の免震建物では、アイソレータとダンパーを組み合わせて使います。ただし、鉛プラグ入り積層ゴム(LRB)や高減衰ゴム(HDR)はアイソレータとダンパーの両方の機能を持ちます。
天然ゴム系積層ゴム(NRB:Natural Rubber Bearing)は、薄い鋼板とゴムを交互に積み重ねた支承です。鉛直方向には剛性が高く建物荷重を支え、水平方向には柔らかく変形します。
減衰性能が小さいため、別途オイルダンパー等のダンパーを組み合わせて使用します。変形性能が高く、大地震時の大変位にも対応できます。
鉛プラグ入り積層ゴム(LRB:Lead Rubber Bearing)は、天然ゴム系積層ゴムの中心に鉛プラグを挿入したものです。鉛プラグの塑性変形によってエネルギーを吸収するため、アイソレータとダンパーを兼ねます。
NRBと比べて減衰性能が高く、ダンパーなしでも一定の揺れ抑制効果があります。繰り返し変形に対して安定した性能を発揮します。
高減衰ゴム系積層ゴム(HDR:High Damping Rubber)は、ゴムの配合を工夫して高い減衰性能を持たせた積層ゴムです。LRB同様にアイソレータとダンパーの機能を兼ね備えます。
温度や変形速度の影響を受けやすい点が課題ですが、鉛を使わないため環境負荷が低い利点があります。
すべり支承は、摩擦によって地震エネルギーを吸収しながら水平移動する支承です。転がり支承はボールやローラーを使って非常に低い摩擦で水平移動します。どちらも積層ゴムと組み合わせて使うことが多いです。
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
オイルダンパーは、オイル(粘性流体)の抵抗を使って振動エネルギーを吸収します。速度に比例した減衰力を発生させ、小さな振幅から大きな振幅まで安定して機能します。
温度変化の影響が少なく、長期耐久性が高いことから免震建物のダンパーとして広く採用されています。
鋼材ダンパーは、鋼材の塑性変形によってエネルギーを吸収します。構造が単純でコストが低い反面、繰り返し変形後の残留変形が問題になることがあります。鉛ダンパーは鉛の塑性変形を利用し、初期剛性が高い特徴があります。
実際の免震建物では、複数の装置を組み合わせて使います。まず代表的な組み合わせパターンを押さえておきましょう。
| 組み合わせ | 特徴 |
|---|---|
| NRB + オイルダンパー | NRBで周期を長くし、ダンパーで減衰。最もオーソドックスな構成。 |
| LRB のみ | アイソレータとダンパーを兼ねる。機器点数が少なくシンプル。 |
| HDR のみ | 高減衰ゴムで単体完結。鉛フリーの環境配慮型。 |
| すべり支承 + 積層ゴム + ダンパー | 大変位対応が必要な建物で採用されることが多い。 |
混同しやすい用語
アイソレータ と ダンパー
アイソレータは「地震動の周期を長くして入力を低減する装置」です。積層ゴム(NRB・LRB・HDR)やすべり支承がこれにあたります。
ダンパーは「振動エネルギーを吸収・消費する装置」です。オイルダンパー・鉛ダンパー・鋼材ダンパーなどがあります。
ただし、鉛プラグ入り積層ゴム(LRB)と高減衰ゴム(HDR)はアイソレータとダンパーを兼ねます。この点が試験での引っかけポイントです。
免震構造 と 制振構造
免震構造は建物と地盤の間にアイソレータを設けて、地震動そのものを建物に伝わりにくくする構造です。
制振構造は建物内部にダンパーを設置して、建物に伝わった地震エネルギーを吸収・消費する構造です。
「免震=地震を受け流す」「制振=エネルギーを消費する」と覚えておきましょう。
今回は免震装置の種類について説明しました。免震装置はアイソレータとダンパーに大別されます。
積層ゴム(NRB・LRB・HDR)、すべり支承、オイルダンパーのそれぞれの役割と特徴を整理しましょう。建築士試験では各装置の働きと組み合わせの考え方が問われます。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では各積層ゴムの特性と役割分担がよく出題されます。整理すると次のようになります。
・NRB(天然ゴム系):アイソレータのみ。減衰性能が低いため別途ダンパーが必要。
・LRB(鉛プラグ入り):アイソレータ+ダンパーを兼ねる。
・HDR(高減衰ゴム):アイソレータ+ダンパーを兼ねる(ゴム材料自体が高い減衰性能を持つ)。
「LRBはアイソレータとダンパーを兼ねる」という点が頻出です。表で種類・役割・特徴を整理して覚えると効果的です。試験では、免震は地震動を建物に伝えにくくする方式、制振は建物内でエネルギーを吸収する方式、と役割を分けて整理すると覚えやすいです。