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固有周期の基礎知識と、3分でわかる計算方法

この記事の要点

固有周期とは建物が持つ固有の揺れの周期であり、T=2π√(m/k)で表されるように重量が大きいほど長く、剛性が高いほど短くなる。

建築基準法では簡易式T=h(0.02+0.01α)で一次固有周期を推定でき、振動解析が不要な建物でも目安として活用できる。

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建物は、1棟ごとに固有の周期を持っています。これを固有周期といいます。固有周期を知ることで、建物に作用する地震力の大きさや、建物の揺れ方がわかります。


今回はそんな固有周期の意味と、固有周期の計算方法について説明します。

固有周期とは?

固有周期は、ある建物1棟ごとに持っている固有の周期です。


周期とは、「一定時間ごとに同じ現象が繰り返される場合の、一定時間のこと」です。例えば下図の構造物が、AからBへ揺れ始めます。


このとき、A⇒B⇒A(AからBまで揺れて、またAまで戻る)までにかかる時間を周期といいます。

周期の意味

前述したように、建物は1棟ごとに周期が違います。だから「固有周期」といいます。


さて、建物の揺れは本来なら複雑ですが、sinやcosなどのシンプルな揺れだと仮定します。例えば下式をグラフにしてみましょう。


縦軸がyの値、横軸がθの値とすると、下図となります。

余弦波と周期

上図を余弦波といいます。これは数学の三角関数で勉強したと思います。cosθはθ=0、2πのとき、1になります。


θ=0から揺れが始まると考えると、また同じ動作に戻るときはθ=2πのときです。よって、0⇒2πまでにかかる時間が「周期」です。


では、具体的に固有周期はどのように計算するのでしょうか。

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固有周期の計算方法

固有周期Tは、下式で計算します。


です。ω=√(k/m)となる理由は下記が参考になります。

非減衰自由振動の解


Tは固有周期、mは質量、kは剛性です。つまり、建物の固有周期は重量に比例し、剛性に反比例します。


これは、重量が大きいほど周期は長くなり(ゆっくり揺れる)、剛性が大きいほど周期が短い(小刻みに揺れる)ことを意味します。


※固有周期を求める演習問題は下記が参考になります。

耐震設計の例題


固有周期と重量、剛性の関係

また、上式の右辺に重力加速度を掛けてやると下式のように変形できます。


です。g=980cm/s2で重力加速度を意味します。Aは長さの単位です(cmまたはmなど)実務的には後者の式が使いやすくて便利です。ところでAの値は、

でした。mgは質量×重力加速度で、重量(荷重、あるいは地震力)です。とてもよく似た式をご存知ですか。

フックの法則ですね。Pは荷重、kは剛性、δは変位です。Aは、外力に対する変位を算定しているのです。


ここからは、なぜ固有周期の計算式が

になるのか説明します。これは物理でも習うので復習する気持ちで読みましょう。下図をみてください。円の角度は一周して360°=2πです。

固有周期の計算方法

A点からスタートして、円周上のB点まで移動するとき、AB間の距離をLとするなら、下式の関係があります。


さらに、AからBまで移動するときの速度を考えます。速度は「距離÷時間」で計算するので、

です。


ここでωの定義をはっきりさせておきます。ωは、1秒間に回転する角度です(角速度あるいは固有円振動数とも言います)。この言葉をそのまま数式にすると下記です。

tは時間です。ωとvの関係式に整理します。

ですね。さて、円を一周するときの距離は2πrです。では一周するときの時間Tは、距離を速度で割ればよいので、

が導けます。

建物の固有周期の計算方法

建物は沢山の構造部材からできています。前述した固有周期の計算式は、1つの部材を求めるには良いですが、建物の固有周期は難しいでしょう。


そうはいっても、何らかの方法で建物の固有周期を算定する必要があります。建築基準法では、建物の一次固有周期を下式で計算することが可能です。


Tは固有周期、hは建物の高さ、αは木造又は鉄骨造である階の高さの合計の、hに対する比です。


例えば、3階建ての鉄筋コンクリート造で各階の高さh=3.0mの固有周期Tを計算します。

です。αは木造又は鉄骨造に対する高さの比なので、鉄筋コンクリート造では0になります。


当式はあくまでも簡易式です。振動解析が必要になる建物では、前述したように部材の剛性を考えて計算します。

混同しやすい用語

固有周期

建物が外力を受けずに自由振動するときの固有の周期で、T=2π√(m/k)で求まる。

固有円振動数が「1秒あたりの角速度」であるのに対して、固有周期は「1往復にかかる時間(秒)」を表す。

固有円振動数(ω)

1秒間に回転する角度(角速度)を表し、ω=√(k/m)で表される。

固有周期Tとはω=2π/Tの関係にあり、固有周期が長いほどωは小さくなる。

試験での問われ方|管理人の一言

建築士試験では固有周期と建物の重量・剛性との関係(重量が大きいほど長周期、剛性が高いほど短周期)が定番の選択肢として頻出する。

簡易式T=h(0.02+0.01α)の各記号の意味と、RC造・S造・木造でのα値の違いをセットで押さえておくと得点につながる。

固有周期を整理した表を示します。

項目内容備考
固有周期の計算式T=2π√(m/k)m:質量、k:剛性(水平剛性)
重量と周期の関係重量(質量)が大きいほど周期が長いゆっくりとした揺れ方になる
剛性と周期の関係剛性が大きいほど周期が短い小刻みに揺れる。RC造<S造の傾向

まとめ

今回は固有周期について説明しました。建物は、1棟ごとに固有の周期を持っています。これを固有周期といいます。


理論式も重要ですが、構造設計の実務では簡易式もよく使います。併せて参考にして頂けると幸いです。

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