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固有値解析とは?モーダルアナリシスについて

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当サイトで固有値解析の手法を紹介しました。このとき、固有値解析には様々な方法があること、例題として「べき乗法」の解き方を導出しました。


なぜ様々な方法があるのか?それは、多質点系になると固有値を求めるために、膨大な計算を処理する必要があり、計算手法の違いで処理スピードや精度が異なるからです。


それはそれで重要です。しかしその前段階として、手計算レベルで固有値解析とは何か説明しておくと理解が早いでしょう。今回は、固有値解析とは何か?建築分野でどう活かされるのか説明しつつ、最後は2質点系の固有値解析を行います(別リンクです)。

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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固有値解析は何のために行うのか?

建築の構造設計で固有値解析とは何のために行うのでしょうか。


答えは、地震力の分布を調べるためです。


普通、構造設計をするときはAi分布といって、地震力を台形の荷重分布に置き換えて地震力を算定します。


Ai分布はある程度確からしいし、設定された基準法以降は建物の安全性が「ある程度」確認されています。しかしAi分布が本当か?という点は、まだ議論が分かれるところです。


建物は中低層の場合、1次モードが卓越しやすいことが知られています。(※1次モードとは、片持ち柱の変形のようなモード。最頂部が最も変形する。)


しかし、超高層や高層ビルになると必ずしも1次モードのみが卓越するとは限りません。もっと、ウネウネと変形し、2次モード、3次モードが卓越するかもしれないのです(頂点を1次、その下層が2次という数え方)。


つまり、Ai分布のような1次モードが卓越するだけの地震力分布じゃなくて、他のモードで分布が大きくならないか?ということを固有値解析で明らかにしたい、といえます。

普通の設計で固有値解析は必要か?

そもそも、超高層ビルや制震、免震装置を取り付ける以外の普通の建物には、振動解析は必要ありません。


ほとんどの建物が「計算ルート」と呼ばれる、決まりきった計算基準に則り行えるので、振動解析の知識を持ち合わせていない技術者も多いでしょう。


静的解析で済まされる建物が9割以上ですから、普通の建物で固有値解析は必要ないとも言えます。


それでも、構造設計者と名乗るなら持ち合わせておきたい知識です。

一般固有値問題の求め方

さて、いよいよ本題に入ります。


ある質点が振動した瞬間の方程式をたてます。今回は自由振動で、しかも非減衰の状態を考えます。まず、慣性力は外力Fと釣り合うため

のようにあらわせます。


ゆえに、

です。一方、慣性力と釣り合うのは、バネの復元力で、慣性力と逆向きに作用します。よって、何となく不思議ですが、2つの項に-の符号が付くのです(質点に作用するのは慣性力、という点に注意です。直接の外力とは微妙に違います)。

です。y"は加速度のことですが、変形の二階微分で表しています。kyは外力のことで、フックの法則より、荷重はバネと変形の掛け算した値に比例します。

非減衰自由振動では減衰がないので、地震力による力と、戻ろうとする復元力のみで方程式が求まるのです。


さて、上式は二階の微分方程式ですが、これの一般解は下のように、オイラーの式(地震動は調和振動だと考えた)で仮定してみます。(また、サインカーブやコサインカーブで考えてもOKです。)


とりあえず、答えを仮定してみた、と思ってください(まぁ、意味が分からない人はスルーしても大丈夫、そこは肝心ではありませんので)。

この関数は、時間tの関数であること、固有円振動数ωが関係しています。「e」を使った、何となく意味が分かりにくいですが、要するにこの式は振動の波形を表しています。波形は周期や振動数、時間が関係しますね。また、aは未知数(固有値)です。もし、サインカーブを解とするなら、

とします。


さて、上式をダランベールの式に代入します。tの関数の2階微分は、

となります。

は0になりません。また、a=0が分かることに興味はありません。それより、上式を満たすωが知りたいのです。そうすれば固有周期が明らかになりますから。よって、

である必要があります。


さらに、多質点系の問題では、上式を行列表示すればよいのです。

が多質点系の一般固有値問題です。普通、建物の重量と剛性は既知です。つまり、ωを求め固有周期が得られます。

次は、各固有周期時の固有値を求めればよいことになります。それは次回にしましょう。

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