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ピロティ形式とは?目的・耐震性の課題(ソフトストーリー)とピロティ崩壊の防止策

この記事の要点

ピロティ形式(ピロティ構造)とは、建物の1階を柱だけの開放空間として使う形式です。駐車場・共用スペースとして広く使われますが、地震時にソフトストーリーになるリスクがあります。

ピロティの目的・耐震性の問題(1981年基準以前の倒壊事例)・現在の耐震設計での対策(耐力壁の増設・柱断面増大)を解説します。

元々ピロティは建築家のル・コルビュジェが提唱した近代建築の5つのルールの1つでした。

この記事では、ピロティ形式とは何か、ピロティの目的はどこにあるのか、耐震性にどう影響するのかを整理します。

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ピロティ形式とは何でしょうか。建築用語ですが、一般の方や不動産業者さんでも使うことがあります。しかしピロティの意味が誤解されているケースも少なくありません。今回は、ピロティ形式の意味や、ピロティの耐震性について説明します。

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ピロティ形式とは?

ピロティ形式とは、「1階に壁が無く、柱だけで外部に開かれた空間」です。皆さんは下図のようなマンションを見たことがあるでしょうか。

ピロティ形式


1階が駐車場になっていて、壁がありません。2階以上は部屋をつくるため壁があります。この形式をピロティといいます。


元々ピロティは建築家のル・コルビュジェが提唱した近代建築の5つのルールの1つでした。

そこには、建築の地面からの解放(建物を浮いているように見せたい)がありました。

コルビュジェは日本の建築家に多大な影響を及ぼしており、ピロティ形式は一気に広まったのです。


現在は、「建築を地面から切り離す」という美意識よりも、1階に開けた空間ができる実用性を意識してピロティにします。

ピロティ形式の耐震性

1階が広い空間ができて良さそうなピロティですが問題もあります。ピロティ形式は耐震性が低いのです。下図をみてください。

ピロティの耐震性


ピロティ形式の建物は、1階と2階で地震に抵抗する部材の強さが全く違います。2階は主に耐力壁が地震力を負担します。※耐力壁については下記の記事が参考になります。

耐震壁とは?耐力壁との違い・役割・EW記号をわかりやすく解説


一方、1階は柱だけです。つまり1階と2階でとてもバランスの悪い構造形式です。専門的に剛性率が低い、などといいます。※剛性率については下記の記事が参考になります。

剛性率ってなに?剛性率の意味と、建物の耐震性


2階は耐力壁があるので変形は小さいですが、1階は柱だけなので大きな変形になります。さらに、1階と2階でバランスが悪い影響で、1階に変形が集中します。結果、1階の柱が先に壊れやすい構造です。


兵庫県南部地震では、ピロティ形式の崩壊が多く見られ問題視されました。そのため現在では、「各階でバランスの悪い構造にしない」というのが基本です。


ピロティ形式は、普通の建物に比べ耐震性に難があります。その分、適切な構造設計が求められます。しかし、一見ピロティ形式に見えても、「構造的にピロティでない場合」があります。後述します。

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構造的なピロティと、意匠的(デザイン)なピロティは違う

実は「ピロティ」は、2通りの意味があります。見た目はピロティだけど耐震的(構造的)にはピロティではない場合です。


では構造的なピロティとは何でしょうか。構造的なピロティは、


耐力壁、袖壁、腰壁、垂れ壁、方立壁などの量が上階と比較して急激に少なくなっていること


です。また、そのような階をピロティ階と言います。それぞれ図解します。

構造的なピロティ

下図をみてください。2階は耐力壁が配置してあります。1階は駐車場で柱だけです。これは意匠的にも、構造的にもピロティです。前述したように、1階に比べて上階の壁量が急激に多いからです。

構造的なピロティ


上階に地震力を集める壁やブレースがあると、より揺れやすくなります。また1階は柱しか無いので、その弱い部分が壊れやすくなります。

意匠的なピロティ

下図をみてください。冒頭で説明したピロティと一見同じです。しかし、2階の壁はスリットを切っています。※スリットについては下記の記事が参考になります。

耐震スリットってなに?耐震スリットの意味と目的、構造スリットとの違い

意匠的なピロティ


スリットを切ると、壁は地震力を負担しなくなります。耐力壁でなくなるので、1階と2階は柱と梁で地震力に耐えます。簡単に言えば、1階と2階で地震力に耐えるバランスが同じです。


これは意匠的にピロティですが、構造的にピロティではありません。

1階に壁が無い建物でも、スリットを切っているならピロティによる耐震性の問題も該当しません。

それらの情報は、不動産屋さんい聞いても詳しく教えてくれない(そもそも知らない)こともあります。


構造的にピロティかどうか、気になって不安な方は、不動産屋経由で設計者へ聞くこと、あるいは建築士会などに問い合わせすると良いでしょう。

混同しやすい用語

構造的なピロティ vs 意匠的なピロティ

構造的なピロティは上下階で耐力壁の量が急激に変わる状態で耐震性に問題があります。

意匠的なピロティは見た目は同じでも、スリットを設けることで上下階の剛性バランスを保ち、構造的な問題を解消しています。

耐力壁 vs 非耐力壁

耐力壁は地震力や風圧力に抵抗する壁で、構造計算上重要な壁です。

非耐力壁は荷重を負担しない間仕切りなどの壁で、スリットを入れた壁も非耐力壁として扱います。

ピロティ形式を整理した表を示します。

項目内容備考
ピロティとは1階を壁なしの柱だけにした建物形式駐車場や通路に利用
耐震性の問題1階の剛性が低く地震時に変形が集中しやすいソフトストーリー現象
対策スリットや耐震壁の設置で剛性を確保構造設計で対応可能

まとめ

今回はピロティ形式について説明しました。ピロティの意味が2通りあることは、案外知らない人も多いです。一見、ピロティに見えてもスリットを切っているから耐震性に問題ない場合も多いです。見た目だけで、一概に判断しないよう注意したいですね。

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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