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ピロティ形式とは何でしょうか。建築用語ですが、一般の方や不動産業者さんでも使うことがあります。しかしピロティの意味が誤解されているケースも少なくありません。今回は、ピロティ形式の意味や、ピロティの耐震性について説明します。
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ピロティ形式とは、「1階に壁が無く、柱だけで外部に開かれた空間」です。皆さんは下図のようなマンションを見たことがあるでしょうか。
1階が駐車場になっていて、壁がありません。2階以上は部屋をつくるため壁があります。この形式をピロティといいます。
元々ピロティは建築家のル・コルビュジェが提唱した近代建築の5つのルールの1つでした。そこには、建築の地面からの解放(建物を浮いているように見せたい)がありました。コルビュジェは日本の建築家に多大な影響を及ぼしており、ピロティ形式は一気に広まったのです。
現在は、「建築を地面から切り離す」という美意識よりも、1階に開けた空間ができる実用性を意識してピロティにします。
1階が広い空間ができて良さそうなピロティですが問題もあります。ピロティ形式は耐震性が低いのです。下図をみてください。
ピロティ形式の建物は、1階と2階で地震に抵抗する部材の強さが全く違います。2階は主に耐力壁が地震力を負担します。※耐力壁については下記の記事が参考になります。
耐震壁ってなに?すぐに分かる耐震壁の意味と役割、耐力壁との違い
一方、1階は柱だけです。つまり1階と2階でとてもバランスの悪い構造形式です。専門的に剛性率が低い、などといいます。※剛性率については下記の記事が参考になります。
2階は耐力壁があるので変形は小さいですが、1階は柱だけなので大きな変形になります。さらに、1階と2階でバランスが悪い影響で、1階に変形が集中します。結果、1階の柱が先に壊れやすい構造です。
兵庫県南部地震では、ピロティ形式の崩壊が多く見られ問題視されました。そのため現在では、「各階でバランスの悪い構造にしない」というのが基本です。
ピロティ形式は、普通の建物に比べ耐震性に難があります。その分、適切な構造設計が求められます。しかし、一見ピロティ形式に見えても、「構造的にピロティでない場合」があります。後述します。
実は「ピロティ」は、2通りの意味があります。見た目はピロティだけど耐震的(構造的)にはピロティではない場合です。
では構造的なピロティとは何でしょうか。構造的なピロティは、
耐力壁、袖壁、腰壁、垂れ壁、方立壁などの量が上階と比較して急激に少なくなっていること
です。また、そのような階をピロティ階と言います。それぞれ図解します。
下図をみてください。2階は耐力壁が配置してあります。1階は駐車場で柱だけです。これは意匠的にも、構造的にもピロティです。前述したように、1階に比べて上階の壁量が急激に多いからです。
上階に地震力を集める壁やブレースがあると、より揺れやすくなります。また1階は柱しか無いので、その弱い部分が壊れやすくなります。
下図をみてください。冒頭で説明したピロティと一見同じです。しかし、2階の壁はスリットを切っています。※スリットについては下記の記事が参考になります。
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スリットを切ると、壁は地震力を負担しなくなります。耐力壁でなくなるので、1階と2階は柱と梁で地震力に耐えます。簡単に言えば、1階と2階で地震力に耐えるバランスが同じです。
これは意匠的にピロティですが、構造的にピロティではありません。1階に壁が無い建物でも、スリットを切っているならピロティによる耐震性の問題も該当しません。それらの情報は、不動産屋さんい聞いても詳しく教えてくれない(そもそも知らない)こともあります。
構造的にピロティかどうか、気になって不安な方は、不動産屋経由で設計者へ聞くこと、あるいは建築士会などに問い合わせすると良いでしょう。
今回はピロティ形式について説明しました。ピロティの意味が2通りあることは、案外知らない人も多いです。一見、ピロティに見えてもスリットを切っているから耐震性に問題ない場合も多いです。見た目だけで、一概に判断しないよう注意したいですね。
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