この記事の要点
リップ溝型鋼(リップ付き溝形鋼)の断面二次モーメントは、全体矩形からくり抜きを引く方法か、各部分断面の断面二次モーメントを足し合わせる方法で算定する。
H28年問題では断面を分割して図心軸からの距離を正確に求めることが重要。平行軸の定理(I=Ig+A×d2)を活用する。
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昨年の二級建築士でこんな構造の問題が出題されています。
『図のような断面におけるX軸に関する断面二次モーメントの値として正しいものは、次の内どれか』
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パッと見、2,3,4が怪しそうです。ただ、計算してみるまで答えは分かりません。先入観を持たず、計算に進みましょう。
まず、この形状はリップ溝型鋼と呼ばれる断面です。このような中空になっている断面は長方形の求め方を応用して求めます。
まず、長方形としての断面二次モーメントを下記のように算定します。
すると1つ分かったことがありました。中身が詰まった長方形断面でも3072しかないのです。つまり、5番は消去できます。
次に中空になる部分のIを求めましょう。ざっくりと、6x12cmの大きさで算定します。
よって、中空断面のIは
に近い値です。
『近い値』というのは、ざっくりと6x12の長方形を控除しましたが、本当は向かって右側には、断面がありません。
しかし、今の値でもわかったことがありました。いま算定したIは、もう少し小さい値にはなるけど、大きくはなりません。
つまり、選択肢の4は消えます。また、3の回答は、リップ部分を考慮できていません。1は、今の値より半分以下になりますが、1000cm4以上小さくなるほど、小さくなり得ません。
よって、I=2208より少しだけ小さい2(=2144)が正解となります。
以上のように、リップ溝型鋼の形でIを求めなくても、ざっくりとIの値を算定することで、選択肢から外し、答えを導くことができます。
混同しやすい用語
断面二次モーメント(I)
断面の曲げに対する剛性を示す値。図心軸まわりに計算する。単位はcm?またはmm?。
断面係数(Z)
断面二次モーメントを中立軸から最外縁までの距離で割った値。Z=I/y。曲げ応力度σ=M/Zで使う。IとZは別物。
平行軸の定理(I=Ig+Ad2)
図心軸以外の軸まわりのIを求める公式。Igは図心軸まわりのI、Aは断面積、dは図心から移動先軸までの距離。断面を分割して計算するときに必須。
くり抜き法
外接矩形のIから内側のIを引いて断面二次モーメントを求める方法。溝型鋼やI型断面で有効。
| 板要素 | 幅 | 高さ | 重心までの距離d |
|---|---|---|---|
| 上フランジ | B | t(板厚) | H/2(全断面重心から) |
| ウェブ(両側) | t | H?2t | 0(重心位置と一致) |
| 下フランジ | B | t | H/2 |
分割法での手順: 各板要素のIx = bh3/12 を求め、平行軸の定理 I = I? + Ad2 で重心軸周りに変換し、全要素を合算する。
例: 上フランジ(Bt×1枚)のIx = Bt×(H/2)2 = BtH2/4(重心軸周りの慣性モーメント)
答え:分割法でフランジ・ウェブ・リップの各板要素のIxを平行軸の定理で重心軸周りに集計する
| 方法 | 手順 | 適用断面 |
|---|---|---|
| くり抜き法 | 外形のI ? くり抜き部のI | 溝型・I型・箱型断面 |
| 分割法 | 板要素ごとにI算定して総和 | 任意の組み合わせ断面 |
| 平行軸の定理 | I = I? + Ad2(重心ずれの補正) | 全ての断面計算に必須 |
Q. リップ溝型鋼のIxを算定する方法として適切なものは?
A. 分割法(各板要素のIxを平行軸の定理で重心軸周りに集計)またはくり抜き法(外形矩形から内側矩形を引く)のどちらでも対応できる。
Q. 平行軸の定理の式は?
A. I=I?+Ad2(I?は要素自身の重心軸周りのI、Aは面積、dは全断面重心から要素重心までの距離)。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
断面二次モーメントの問題はH28年だけでなく毎年出題される頻出テーマ。リップ溝型鋼はくり抜き法か分割法で解く。平行軸の定理を確実に使えるよう、手順を繰り返し練習しよう。