建築学生が学ぶ構造力学

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二級建築士H28 座屈耐力の大小を解く|細長比と座屈長さの比較ポイント

この記事の要点

座屈耐力の大小を比較する問題は、オイラーの座屈荷重公式 Pcr = π²EI / (lk)² を使います。断面二次モーメントIと座屈長さlkの組み合わせで大小が決まります。

試験でよく出るのは、端部条件の違いによる座屈長さの比較です。両端ピン・一端固定他端ピン・両端固定など、条件によってlkがLの1.0倍・0.7倍・0.5倍と変わります。この係数を正確に覚えておくと、計算なしで大小判断できる問題も多いです。

H28年問題では複数の柱の端部条件と断面を比較し、それぞれのPcrを計算または定性的に比較して大小を判定する。

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No.6から応力や反力を求める問題から解放されました。今までとはタイプの違う問題ですから、気を引き締めて取り組みましょう。

座屈荷重の大小関係として正しいものを選ぶ問題です。座屈荷重とは、座屈耐力と言い換えると理解が早いと思います。


座屈に関する耐力が大きいものから順に並び替えれば良いのです。


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この問題は直観的に解くのは、やや難しいかもしれません。普通なら柱の長さが長い方が、座屈(つまり圧縮力)に弱い気がします。しかし、良く見ると境界条件が、A,B,Cで異なっています。


これらの違いを、どう評価すれば良いでしょうか。


さて、座屈耐力は部材の剛性と、座屈長さが関係していました。座屈長さは、部材長さLをそのまま適用できるわけでもなく、部材長さに換算係数を掛けた値となります。

もう一度、問題を眺めてみるとA,B,Cの柱は、剛性は同じようです。違うのは境界条件だけ。つまり、座屈長さの小さい順に座屈耐力が大きくなるのです。


Aは両端固定と書いてあります。両端固定の場合、座屈長さ=部材長さ×0.5倍です。よって、

Bは両端ピンです。両端ピンのとき、座屈長さ=部材長さ×1.0倍なので、そのままLです。

Cは、片持ち柱です。片持ちのとき、座屈長さ=部材長さ×2.0倍なので、

となります。


座屈長さが短い方が座屈耐力としては大きくなりますから、


C>A=B


が答え。5番が正解です。


混同しやすい用語

座屈耐力(座屈荷重 Pcr)

Pcr=π2EI/lk2。

lkが小さい(端部が固定に近い)ほど、またIが大きいほどPcrは大きくなる(座屈しにくい)。

許容圧縮応力度

座屈を考慮した実用的な圧縮許容値。

細長比λが大きいほど低下する。

Pcrは理論値、許容圧縮応力度は設計に使う実用値。

弱軸方向

断面二次モーメントIが小さい方向。

座屈は弱軸方向に先に発生する。

H形鋼などで弱軸方向のIを確認することが重要。

強軸方向

断面二次モーメントIが大きい方向。

同じ断面でも方向によりIが異なり、座屈耐力も変わる。

大小比較問題では弱軸と強軸を区別する。

試験での問われ方|管理人の一言

座屈耐力の大小比較問題はPcr=π2EI/lk2の比で考えると楽。

数値を全部計算しなくても、分子(EI)と分母(lk2)の大小関係を見れば順番がわかる。

H28年問題では端部条件とIの両方が変化するので丁寧に整理しよう。(二級建築士 平成28年:端部条件と断面二次モーメントが変化する座屈耐力の大小比較問題が出題)

座屈耐力の大小比較の計算例

部材EI端部条件座屈長さlkPcr比
柱AEI両端ピンL1
柱BEI一端固定・他端自由2L1/4
柱C2EI両端ピンL2
柱DEI両端固定L/24

Pcr = π2EI/lk2 の公式で比較する。

EIが大きいほど・lkが小さいほど耐力が大きい。

大小関係は D>C>A>B の順。

答え:Pcr比 = 4:2:1:1/4(D:C:A:B)

端部条件と座屈長さの比較表

端部条件座屈長さlkPcr比(両端ピン=1)
両端ピンL1
一端固定・他端ピン0.7L約2
両端固定0.5L4
一端固定・他端自由(片持ち)2L1/4

よくある誤解

一問一答

Q. 両端固定の柱の座屈長さlkはスパンLの何倍か?

A. lk=L/2。

両端固定は座屈長さが最も短くなるため、最も座屈耐力が高い端部条件。

Q. 一端固定・他端自由(片持ち柱)の座屈耐力は両端ピン柱の何倍か?

A. 1/4倍(lk=2LよりPcr∝1/lk2=1/4)。

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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