この記事の要点
H形断面の断面二次モーメントの差は、2断面の異なる部分(穴に相当する長方形)だけをbh3/12で計算して引き算すれば求められる。
「全体を計算してから差を求める」より「違いだけを計算する」という着眼点が、試験時間を節約する実践的な解法。
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断面二次モーメントはI=bh3/12(長方形断面)で求め、H形断面は大きい長方形から小さい長方形を差し引いて計算します。下図は二級建築士試験に出題された断面二次モーメントに関する問題です。下図に示す断面の断面二次モーメントの絶対差がいくつになるか計算しましょう。
この問題は、わざわざH形の断面二次モーメントを求める必要はありません。もちろん求めても良いのですが、意味がないことに気づけば問題を解くスピードが速くなります。
まず、上図に示す2つのH形断面を比較すると、断面Aと断面Bは『真ん中付近に穴が開いている以外、全く同じ』です。
つまり本問題ではH形の断面二次モーメントを算定して差を求めるのではなく、穴が開いている部分のIを求めればよいのです。
さて、孔が開いている部分のIは、長方形の断面二次モーメントの公式を用いて下図のイメージで計算します。

つまり、大きい長方形から小さい長方形の断面二次モーメントを引き算すれば良いですね。大きい長方形の断面二次モーメントは下式です。

上記の値から小さい長方形のIを引けば、断面AとBのIの差が算定できますので、今算定した値よりも必ず小さくなります。
よって、4、5は不適切な選択肢だと分かります。また、1は小さくなり過ぎていますから不適切です。
大きい長方形から小さい長方形の断面二次モーメントを引き算すると

になります。
よって、3番が正解です。断面二次モーメントの詳細、長方形の断面二次モーメントの求め方、足し算、引き算のやり方は下記が参考になります。
断面二次モーメントとは?1分でわかる意味、計算式、h形鋼、公式、たわみとの関係
長方形の断面二次モーメントは?1分でわかる求め方と計算式、向きと方向、幅の関係
断面二次モーメントの足し算とは?1分でわかる意味、引き算、図心を通らない断面の断面二次モーメントは?
混同しやすい用語
断面二次モーメント(I)
断面の曲げに対する抵抗の大きさを表す指標で、長方形断面はI=bh3/12で求める。
断面係数(Z=I/y)と混同されやすいが、Iは「曲げ剛性」の基本量であり、Zは「曲げ応力度の計算」に使う量という用途の違いがある。
断面係数(Z)
断面二次モーメントを中立軸からの最外縁距離で割った値(Z=I/y)で、曲げ応力度σ=M/Zの計算に使う。
断面二次モーメントが「剛性・たわみ」の計算に用いられるのに対して、断面係数は「強度・応力度」の計算に用いられる点が異なる。
| 断面形状 | 公式 | 備考 |
|---|---|---|
| 長方形 | I=bh3/12 | 図心軸まわり |
| H形・I形(差し引き) | I=I(外)-I(内) | 対称断面は共通部分を省略して差分のみ計算 |
| 円形 | I=πd?/64 | 図心軸まわり |
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験のH形断面問題では2断面の差を求めるパターンが多く、共通部分を省いて差分の長方形だけを計算する着眼点が正答への近道。
I=bh3/12の公式を確実に使いこなし、断面を「大きい長方形-小さい長方形」に分解する習慣をつけておくことが試験対策の基本。