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断面二次モーメントは、「材料の曲げにくさ(曲げる力に対する抵抗性)」を表します。断面二次モーメントが大きいほど、曲げにくい材料です。今回は断面二次モーメントの意味、計算式、h形鋼、たわみとの関係について説明します。
断面二次モーメントと似た用語の断面係数の意味、たわみの計算は下記が参考になります。
たわみとは?1分でわかる意味、求め方、公式、単位、記号、計算法
断面二次モーメントとたわみの関係は?1分でわかる意味、計算式、剛性との関係
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断面二次モーメントは、「材料の曲げにくさ(曲げる力に対する抵抗性)」を表します。
部材の「曲げにくさ」は、材料の性質で決まります。ゴムよりも木の方が曲げにくいですし、木よりも鉄の方が曲げにくいです。また部材の形状(H型やI型など)でも曲げにくさは違います。専門的にいうと、下記の値が関係します。
・ヤング係数(材料そのものの固さ。ゴムや木、鉄ごとに値が変わる)
・断面二次モーメント(部材の形による固さの違い。正方形とH形では固さが変わる)
ヤング係数の意味は、下記が参考になります。
断面二次モーメントと近い値に、断面係数があります。断面係数については、断面係数とは何か?で説明しています。
断面二次モーメントは、曲げモーメントにどの程度耐えられるかを判断する値です。また部材の剛性を計算するとき、振動特性・座屈などあらゆる場面で活躍します。
特に、「たわみの計算」では断面二次モーメントが必要不可欠です。たわみの計算は下記が参考になります。
断面二次モーメントとたわみの関係は?1分でわかる意味、計算式、剛性との関係
たわみとは?1分でわかる意味、求め方、公式、単位、記号、計算法
剛性の意味は下記をご覧ください。
一般的に使う断面二次モーメントの公式を下記に整理しました。
長方形 ⇒ I=bh3/12
円形 ⇒ I=πd4/64
円筒形 ⇒ I=π(d4-d14)/64
bは長方形の幅、hは高さです。dは円形、円筒形の外形、d1は円筒形の内法寸法です。※外径、内法寸法の意味は、下記が参考になります。
断面二次モーメントの公式は、下記も参考にしてください。
断面二次モーメントの計算式は?1分でわかる求め方、円、パイプ、i型の計算式
まず初めに、断面二次モーメントの定義から公式を導出します。いきなり公式を覚えるのも良いですが、導出方法を理解することで公式の暗記が不要になります。
断面二次モーメントの定義は、
同様にy軸に関する断面二次モーメントは
よって、図のような長方形のx軸に関する断面二次モーメントは、
です。
次節で学ぶ曲げ応力度を計算するときなどは、部材図心軸に関する断面二次モーメントが重要ですから、図心に関するx軸の断面二次モーメントをIuとすれば、
となります。図心に関するx軸の断面二次モーメントを求めるので、積分範囲は0~b/2です。また、図心x軸に対して対称ですから半分の部材に関して断面二次モーメントを求めれば、その値に2を乗じたものが図心に関するx軸の断面二次モーメントIuです。
図心の意味、断面二次モーメントとの関係は下記をご覧ください。
断面二次モーメントと図心の関係は?3分でわかる意味と計算、図心を通らない断面二次モーメントの求め方
さて、もう少し一般的な問題について断面二次モーメントを考えてみましょう。次のような任意の物体についての断面二次モーメントを求めます。まず、原点Oとその座標軸xyを考え、さらに、その座標軸がuvだけ平行移動した場合を考えます。
このように、ある任意の物体についてのx軸に関する断面二次モーメントは、定義式から
で、元の座標軸と変化した座標軸の関係から、
と変形することができますね。同様に、y軸に関しても計算すると、
となります。さらに、新しい座標軸を図心を原点(xo,yo)にもつ座標軸とした場合、以上に示した式
となるので、
ですね。以上に示した式は、任意の座標(u,v)に関する断面二次モーメントを求める際に良く用いられる式です。この式も重要ですので、導出方法を理解し、式は暗記してもいいくらいですね。
材料力学の中で、とても重要な概念の1つが「断面二次モーメント」です。次章では、実際に断面二次モーメントの計算を行ってさらに、理解しましょう。これまでは、定義式だけの勉強を行ってきましたが、本来は簡便な計算法を用います。その方法で断面二次モーメントを計算し問題に慣れましょう。
先ほど軸から任意の位置にある図形の断面二次モーメントを求めました。この式は一体いつ使うのでしょうか?
実は、かなり使用する場面があります。例えば、H型鋼の断面二次モーメントを算定する場合を紹介します。
H形鋼、トラスの意味は下記が参考になります。
H形鋼とは?1分でわかる意味、規格、寸法、重量、断面係数、材質、用途
H型断面は下図のように、中立軸が断面の中央にあります。
このとき、オレンジ色部分(ウェブといいます)は中立軸に対して丁度真ん中に位置していますので、このIは
I=bh3/12=5.5×(92*2)3/12=2855189
次に、青部分(フランジといいます)のIを求めます。フランジは中立軸に対して離れた位置にあります。つまり、先ほど勉強した「軸から任意の位置にある図形のIの求め方」が活きてくるわけです。
もう一度、その公式をおさらいすると、
でした。つまり、フランジ部分のIを片側だけ計算すると、
これは片側のフランジのIなので、2倍します。
です。よって、ウェブとフランジ部分のIを足し合わせてH型断面のIとなります。結果は、
I=14754132+2855189=17609321 mm4
cm4の単位に直すと、
I=1760 cm4
です。
実は、このH型は構造設計の実務でも良く用いる部材の1つ。H-200x100x5.5x8というH型鋼でした。本当はR部分があって、断面がもう少し大きいことから、公称のIは1810と決まっています。
今回の計算結果とほぼ同じなので、計算結果が正しいことも確認できました。H形鋼の意味、断面二次モーメントは、下記が参考になります。
H形鋼とは?1分でわかる意味、規格、寸法、重量、断面係数、材質、用途
h形鋼断面の断面二次モーメントは?5分でわかる求め方、弱軸と強軸の違い、一覧
下図のようなトラス梁があります(断面図)。上下弦材にH型鋼を用いており、間をつなぐ部材をチャンネル材としました。このトラス材が合理的か否かはひとまず置いといて。
トラス梁のIを求める方法も、先ほどの方法を用いれば簡単です。さて、トラス梁Iは繋ぎ材は考慮しませんから、上下弦材のみのIを求めます。
なので、H型鋼 H-200x100x5.5x8単体のIは1810cm4です。Aは8x100x2+5.5x96x2=2656m㎡。yは、1000/2=500mmです。
となりました。
いかがでしょうか?いかにトラス梁の断面性能が大きいか理解して頂けたと思います。実務でもトラス梁のIは、上記の計算で求めています。
トラスの意味は、下記が参考になります。
実はRC梁のIも簡単に求めることが可能です。中立軸から離れた位置にある鉄筋のIを考慮するだけです。
詳しくは当HPの「RC梁の鉄筋を考慮した断面二次モーメントの算定方法について」をご確認ください。
今回は断面二次モーメントについて説明しました。意味が理解頂けたと思います。断面二次モーメントは材料の曲げにくさを表す値です。たわみの計算で必要不可欠です。似た用語である断面係数との違いも理解しましょうね。下記も併せて学習しましょう。
断面二次モーメントの導出方法は?式の意味と考え方、慣性モーメントとの関係
断面二次モーメントと図心の関係は?3分でわかる意味と計算、図心を通らない断面二次モーメントの求め方
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