この記事の要点
平板の曲げモーメントは単位幅あたりのモーメントとして定義され、キルヒホッフの仮説から導かれる3つの応力度(σx, σy, τxy)を板厚方向に積分することで曲げモーメントMx・My・ねじりモーメントMxyが求まる。
曲げ剛性D=Eh3/[12(1-ν2)](E:ヤング係数、h:板厚、ν:ポアソン比)は板の曲げに対する抵抗性を表し、たわみwの2階偏微分と組み合わせて各モーメント成分が表現される。
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さて、キルヒホッフの仮説により平板に鉛直力が作用した場合には、3つの応力度が発生することがわかりました。
その応力度はx,y軸でそれぞれ曲げモーメントとねじりモーメントを生みます。それらを合モーメントと呼びます。
また、合モーメントは単位幅あたりのモーメントと定義するので、合モーメントの単位は「モーメント÷長さ」
で示され、これは力の単位と同様のものです。さて、平板の微小要素を取り出して考えると、Mxは
という積分で表すことができます。上式を確認しましょう。
まず、合モーメントとは、誤解を恐れずに言えば、力を求めることと変わりません(もちろん、意味合いは全く異なりますが)。
まず、曲げモーメントMxは図に示すようにσxが作用することで発生します。
また、平板から微小要素を取り出しているので、応力度とz軸の変数である微小長さdzを掛けてσxdzとなります。
さらに本当に対象としたいのは、元の平板ですよね。最終的に積分をして求めたいので、変数で表した平板の厚さzをかけて z (σxdz)と表現したわけです。
あとは、その式を平板の厚さで積分すればいいわけです。さて、式を解くと
となります。また、
とし、これを板の曲げ剛性と呼びます。
と表します。同様に、
です。
ねじりモーメントも同様の計算過程で求めます。
が得られます。また、先ほどD(曲げ剛性)を定義しましたので、これを用いて表現すると、
となります。また、応力の平衡方程式を求めたとき、せん断応力度の共役性を確認しました。よって、ねじりモーメントも、それに従い
です。さて、曲げモーメントから、曲げ応力度とせん断応力度は、それぞれ
となります。
混同しやすい用語
曲げモーメントMx vs ねじりモーメントMxy(平板)
Mxはx軸まわりの曲げモーメントでσxの積分から得られる(板をx方向に曲げる)。Mxyはxy面内のねじりモーメントでτxyの積分から得られる。梁の曲げモーメントとは異なり、平板には2軸の曲げとねじりが同時に存在する。
合モーメント vs 応力度
応力度(σ、τ)は単位面積あたりの力(N/mm2)。合モーメントは板厚方向に応力度を積分して得られる単位幅あたりのモーメント(N・mm/mm = N)。合モーメントの単位は「力」と同次元になる点に注意。
曲げ剛性D vs ヤング係数E
ヤング係数Eは材料の固有定数(Pa)。曲げ剛性D=Eh3/[12(1-ν2)]は板厚hとポアソン比νを含む断面性能との複合量。Dが大きいほど板は曲げに強くなる。板厚が2倍になるとDは8倍になる(h3に比例)。
板の曲げ剛性 D = Eh3/[12(1-ν2)] を使って計算してみましょう。
曲げモーメントを整理した表を示します。
| 材料・寸法 | 値 |
|---|---|
| ヤング係数 E(鋼) | 2.06×10? N/mm2 |
| 板厚 h | 10 mm |
| ポアソン比 ν | 0.3(鋼の一般値) |
D = 2.06×10? × 103 / [12×(1-0.32)] = 2.06×10? / (12×0.91) = 2.06×10? / 10.92 ≒ 1.89×10? N・mm
板厚が2倍(20mm)になると D は 23 = 8倍(h3に比例)になります。
曲げモーメントを整理した表を示します。
| 項目 | 梁 | 平板(板要素) |
|---|---|---|
| 曲げモーメント | M(N・mm) | Mx, My(N・mm/mm = N)単位幅あたり |
| ねじりモーメント | なし(純曲げ理論では無視) | Mxy(ねじり成分)が発生 |
| 剛性 | EI(曲げ剛性) | D=Eh3/[12(1-ν2)](板曲げ剛性) |
Q1:平板の曲げ剛性Dを表す式は?
A1:D = Eh3 / [12(1-ν2)]
Q2:梁の曲げモーメントと板の合モーメントMxの単位の違いは?
A2:梁はN・mm(全幅分)。平板はN・mm/mm = N(単位幅あたり)で、力の次元を持ちます
