建築学生が学ぶ構造力学

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変形とひずみの式

この記事の要点

物体が外力を受けると回転・変形・移動が生じ、任意の2点間の距離変化を微小量で表現することでひずみ(歪)が定義され、変位勾配のマトリクス(ヤコビ行列)としてまとめることができる。

ヤコビ行列は変位の偏微分から構成される3×3の行列で、これを対称・反対称成分に分解するとひずみテンソルと剛体回転テンソルが得られ、弾性力学・有限要素法の基礎となる。

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弾性力学で重要な式の一つとして、変形とひずみの関係があります。この関係式を導くためには、変形と歪をそれぞれ考えてみる必要があります。

変形

物体が外力を受けると、その物体は回転、変形、移動を起こします。このような物理現象を、力学的に考えてみましょう。


下の図は任意の物体が外力を受け、t=0の時の物体(左側)が右側の物体へと変化したとします。


この物体の任意の点の変化を考えてみると、


物体の任意の点の変化


さて、以上の図で任意でとった点QおよびTの距離u'、P~Rの距離uが全く等しいとするならば、物体は変形をしていないことになります。


また、変化した後の物体でとった任意点の方向が異なれば、それは剛体回転していることになります。さらに、図から明らかなように、物体は移動をしています。

変形

さて、ひずみについて考えてみましょう。点Q、点Pは近い位置にあると考えます。


よって、この位置の差は以下のように示されます。微小の長さですので、


微小の長さ


と考えます。


微小の長さ2


このとき、移動した物体における微小長さも以下のように示します。


移動した物体における微小長さ


さらに、次の式を定義します。


移動した物体における微小長さ2


以上の式について微小長さを考えると、


微小長さ3


すね。よって、これをマトリクス表示すると、


ヤコビ行列


となり、このときに示される3×3のマトリクスを「ヤコビ行列」といいます。

混同しやすい用語

変形(ひずみ)と剛体変位(剛体回転・移動)

変形(ひずみ)とは物体内の任意の2点間の距離が変化することで、これが材料の力学応答として応力と対応する。

剛体変位(剛体回転・移動)は物体全体が変形せずに移動・回転するだけの状態であり、内部の点間距離は変化せずひずみは生じないため、弾性力学ではひずみから剛体変位成分を除く必要がある。

ヤコビ行列とひずみテンソル

ヤコビ行列(変位勾配テンソル)は変位の偏微分成分で構成される3×3行列で、変形・回転・移動の全情報を含む。

ヤコビ行列の対称成分がひずみテンソル(物体の変形を表す)、反対称成分が剛体回転テンソルであり、FEMや弾性力学ではこの分解を使って純粋な変形(ひずみ)を取り出す。

試験での問われ方|管理人の一言

建築士試験ではヤコビ行列の具体的な計算よりも「変形とひずみの関係」「ひずみの定義(変位の偏微分で表される)」が概念として問われることがある。

ひずみテンソルは変位勾配の対称成分であり、剛体変位(移動・回転)はひずみを生じないという基本原則を覚えておくと、弾性力学・FEMの問題に対応しやすくなる。

変形とひずみ 計算例

条件
部材長 L1,000 mm
x方向変位 u(x)u = 0.002x(線形変位場)
y方向変位 v(x)v = 0(y方向変位なし)

x方向の垂直ひずみ:εxx = ∂u/∂x = 0.002(一定)

y方向の垂直ひずみ:εyy = ∂v/∂y = 0

せん断ひずみ:γxy = ∂u/∂y + ∂v/∂x = 0 + 0 = 0

部材の伸び:δ = εxx × L = 0.002 × 1,000 = 2.0 mm

ひずみの種類と定義 比較表

ひずみの種類定義(変位の偏微分)意味
垂直ひずみ εxx∂u/∂xx方向の伸び(縮み)の割合
垂直ひずみ εyy∂v/∂yy方向の伸び(縮み)の割合
工学せん断ひずみ γxy∂u/∂y + ∂v/∂x直角の変形(ひずみテンソルの2倍)
ひずみテンソル εxy(∂u/∂y + ∂v/∂x)/2γxyの半分。テンソル演算に整合

よくある誤解

一問一答

Q. 変位場 u=0.003x、v=0.001y のときの εxx・εyy・γxy は?

A. εxx=∂u/∂x=0.003、εyy=∂v/∂y=0.001、γxy=∂u/∂y+∂v/∂x=0+0=0

Q. ひずみテンソルが対称行列になる理由は?

A. ひずみテンソルはεij=(∂ui/∂xj+∂uj/∂xi)/2 と定義され、iとjを入れ替えてもεij=εjiが成立するため対称行列。反対称成分(回転)は別途定義される

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