この記事の要点
総和規約(アインシュタインの縮約記法)は、同じ添字が2度現れる項について自動的に和をとる記法であり、繁雑な総和記号(Σ)を省略してテンソル式を簡潔に書くための数学的規約だ。
クロネッカーのδ(対角成分が1、非対角成分が0の単位テンソル)と交代記号(偶置換・奇置換・0)は弾性力学・FEMの基礎方程式で繰り返し登場するため、定義とその性質を正確に把握することが重要だ。
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総和規約について勉強しましょう。いちいち総和記号をつけるは面倒ですよね?よって、以下のように省略した形で表現します。
さて、直角座標系x,y,zにおいて微小線素の長さdsは、そのx,y,z方向成分をそれぞれdx,dy,dzとすると、
ですね。
さきほどの添字で表すと
です。以上のような計算で、いちいち総和記号をつけるは面倒ですよね?よって、以下のように省略した形で表現します。
これを総和規約と言います。また、和をとる指標のことを擬標と呼び、dx1, dx2, dx3のそれぞれを表すdxiにおける指標を自由標と呼びます。
さらに、擬標は必要に応じて適当に文字を変えることもできます。
直角座標系(交わる座標系の角度が直角のもの)x,y,zをそれぞれx1, x2, x3と表現してみます。
また、i=1,2,3とすればxiとすることができますね。このとき、iを添字と呼びます。
クロネッカーのδを以下のように定義する。
交代記号を以下のように定義する。
例えば123を基準にして考え、231を再び123へ変換するためには1と2を入れ替え、次に2と3を入れ替えます。この入れ替える回数が2回(偶数回)なので、偶置換となります。
例えば123を基準にして考え、213を再び123へ変換するためには1と2を入れ替えます。この入れ替える回数が1回(奇数回)なので、奇置換となります。
以上の内容の理解を深めるために次の等式を証明してみましょう。
この手の問題のコツはガリガリと代入して計算することです。
まず最初の問題についてですが、δijは擬標ですので、添字であるiにそれぞれ1,2,3を代入し、和をとります。よって、
ですね。
次の問題では、擬標がi,jとなっています。よって以下のように代入して整理すると
です。
続きはクロネッカーのδ-演習問題-で。
混同しやすい用語
総和規約の擬標 vs 自由標
擬標(ダミー指標)は同じ式中に2度現れる添字で、それについて和をとることを意味する(例:a?b? = Σa?b?)。自由標は1度だけ現れる添字で、方程式の各成分に対応する。擬標は任意の文字に置き換えられる。
クロネッカーのδ vs 交代記号(レビ=チビタ記号)
クロネッカーのδ:δ?? = i=jのとき1、i≠jのとき0。行列でいう単位行列の成分。交代記号(ε???):指標が偶置換のとき1、奇置換のとき-1、繰り返しのとき0。ベクトルの外積を表す際に使う。
偶置換 vs 奇置換
123を基準として、ある配列に変換するのに必要な隣接要素の入れ替え回数が偶数なら偶置換(ε=+1)、奇数なら奇置換(ε=?1)。231, 312は偶置換。213, 132, 321は奇置換。
| 表記 | 意味 | 展開した形 |
|---|---|---|
| a?b?(総和規約) | i=1,2,3 について和をとる | a?b? + a?b? + a?b? |
| δ?? | クロネッカーのδ(i=iで和をとる) | δ??+δ??+δ?? = 1+1+1 = 3 |
| δ??a? | δとaのベクトル積(j について和) | a?(単位行列との積はa?自身) |
具体例①:ベクトル a=(2, -1, 3)、b=(1, 4, -2) の内積を総和規約で表す
a?b? = a?b?+a?b?+a?b? = 2×1 + (-1)×4 + 3×(-2) = 2?4?6 = ?8
具体例②:δ??(i=1,2,3)= δ??+δ??+δ?? = 1+1+1 = 3
| 表記法 | 内積の書き方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 通常の総和記号 | Σ?a?b? | 分かりやすいが冗長 |
| 総和規約(アインシュタイン記法) | a?b? | 重複添字で和を省略。コンパクト |
| 行列・ベクトル記法 | a?b | 転置を使う。高次元計算向き |
Q. a?b? を総和規約を使わずに展開するとどうなるか(3次元の場合)?
A. a?b? = a?b? + a?b? + a?b? = Σ?a?b?。ベクトルの内積そのもの
Q. δ??a? を展開するとどうなるか?
A. δ??a? = δ??a?+δ??a?+δ??a?。δ?? は i=j のとき1なので結果は a?(元のベクトル成分が得られる)
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