この記事の要点
弾性材料は荷重を除荷すると元の形状に戻る材料で、応力-ひずみ関係が線形である線形弾性材料と非線形である非線形弾性材料に分類される。
線形弾性材料(フックの法則が成立)を仮定した理論が通常の弾性力学・構造力学の基礎であるのに対し、大変形や材料の塑性化を扱う場合は非線形理論(材料的非線形・幾何学的非線形)が必要となる。
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建築学科にいる人ならば、弾性、塑性という言葉は聞いたことがあると思います。この概念は、構造設計や耐震設計において重要ですから、理解しておきましょう。
さて、弾性の定義として
「ある一定の範囲内で力を加えると変形するが、力を取り除くと元の形に戻る。このような現象を弾性と呼ぶ」です。また、このような性質を持つ材料を弾性体と呼んでいます。
例えば、ゴムをイメージしてください。輪ゴムに力を入れると変形はしますが、力を抜くと元の形に戻りますよね?この性質が弾性なのです。
さて、ゴムなどのような高分子材料等は図のように、応力ひずみ曲線が非線形性であっても応力とひずみの関係が1対1で、外力を除くとひずみも0に戻ります。
このような性質を材料的非線形といい、この性質を持つ材料を非線形弾性材料といいます。
また、ひずみと変位の関係で変形が大きく非線形項が無視できない性質を、「幾何学的非線形」と言います。
混同しやすい用語
線形弾性材料 vs 非線形弾性材料
線形弾性材料は応力-ひずみ関係が直線(フックの法則が成立)であり、除荷すると変形が完全に回復する。
非線形弾性材料に対して線形弾性材料は計算が大幅に簡略化でき、通常の建築構造設計や弾性力学で仮定される。
材料的非線形 vs 幾何学的非線形
材料的非線形は応力-ひずみ関係が非線形(塑性域や超弾性材料など)であり、構成則自体が非線形となる現象である。
幾何学的非線形に対して材料的非線形は材料特性の問題であり、変位が大きく変形後の形状を考慮しなければならない幾何学的非線形(座屈など)とは原因が異なる。
| 材料 | 縦弾性係数 E | ひずみ ε | 応力度 σ = Eε |
|---|---|---|---|
| 鋼材 | 2.0×10? N/mm2 | 0.001(0.1%) | 200 N/mm2(200 MPa) |
| アルミニウム | 0.70×10? N/mm2 | 0.001 | 70 N/mm2 |
| コンクリート | 約0.25×10? N/mm2 | 0.001 | 25 N/mm2 |
計算例:断面積A=100mm2の鋼材に引張力N=15kNが作用する場合
応力度:σ = N/A = 15,000/100 = 150 N/mm2
ひずみ:ε = σ/E = 150/(2.0×10?) = 7.5×10??(0.075%)
部材長L=2,000mmの場合の伸び:δ = ε×L = 7.5×10??×2,000 = 1.5 mm
| 分類 | σ-ε関係 | 除荷後 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 線形弾性 | 直線(σ=Eε) | 完全回復 | 弾性域の鋼材 |
| 非線形弾性 | 曲線だが弾性(除荷で元に戻る) | 完全回復 | ゴム、超弾性材料 |
| 弾塑性(弾性限界超え) | 弾性域+塑性域 | 永久変形残留 | 鋼材(降伏点以上) |
Q. 断面積200mm2、部材長3,000mmの鋼材(E=2.0×10?N/mm2)に30kNの引張力が作用。伸びδは?
A. σ=30,000/200=150N/mm2。ε=150/(2.0×10?)=7.5×10??。δ=ε×L=7.5×10??×3,000=2.25mm
Q. 線形弾性と弾塑性の違いを σ-ε 曲線で説明せよ
A. 線形弾性は荷重・除荷で同じ直線をたどりひずみが完全回復する。弾塑性は降伏点を超えると塑性ひずみが発生し、除荷後も永久変形が残る(残留ひずみ)
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では弾性・塑性の基本的な違いが問われることが多く、線形弾性の仮定がどのような場合に成立するかを理解しておくことが重要だ。
非線形解析(材料的・幾何学的)はFEM解析の中でも難しい分野であり、まずは線形弾性理論を完全に習得してから非線形の概念へ進むことを勧める。