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日本の耐震基準と設計法について

この記事の要点

日本の耐震設計は許容応力度設計法(一次設計)と保有耐力設計(二次設計)の2段階で行われ、小?中地震では損傷なし、大地震では人命確保を目標としている

現行の「新耐震基準」は1981年に施行され、大地震(震度6強以上)でも倒壊しないことを基本方針とする世界トップクラスの耐震設計水準を規定している。

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日本の耐震基準は世界トップクラスの水準を誇ります。

日本の耐震基準は世界に比べて、どの程度のレベルでしょうか?建築物はほかの工業製品と違って技術の国際化が遅れている分野です。

例えば、パソコン業界に目を向けると、日本メーカーと国外メーカーで違いがあるものの、おおまかなフレームや最低限の機能はほとんど同じです。


一方、建築物は国の文化が色濃く反映されるため、国際化することは難しいといえます。

畳の文化は日本独自のものですし、それを海外に売り出そうとしても、意味がなさそうです。

つまり、その国独自の技術が積み重なって今日の建築技術があります。

ところで、日本は世界でも稀な地震大国です。

近年発生した東日本大震災でも、津波による大きな被害が発生しましたが、一方で、地震そのものによる建物の被害はほとんどありませんでした。


これは現行の耐震基準が大きな地震に耐えられることを意味します。

日本の耐震基準は世界でもトップクラスです。

いや、トップと言っていいでしょう。

これほど、地震に悩まされている国は日本くらいです。

そして、この過酷な環境のなかで独自の技術革新が行われてきました。


現在の耐震設計は『新耐震基準』に準拠しています。今回は、日本の新耐震基準について説明したいと思います。

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地震力は2段階の計算過程でがっちりガード

おそらく世界唯一の計算手法が、許容応力度設計法と保有耐力設計の2段階による設計法です。許容応力度設計法は、国内外でも主流となっている設計手法です。つまり、荷重に対して発生する部材の応力が、許容応力度未満であることを確認することです。


ここで許容応力度とは、部材の降伏強度をさらに安全率という数字で除した値です。まずは、この計算手法で部材が個別で問題ないか確認します。


次は、建物の保有水平体力が満足しているのか確認します。

そもそも、保有水平体力とは建物がメカニズム時になったときに作用している部材の水平力のことです。

メカニズム時とは、崩壊する時と解釈しましょう。

よって、保有水平体力とは建物が倒壊するときに、部材がもっている水平力の合計ということになります。

これを保有水平体力と呼びます。

この耐力と、建物に作用する地震力を1G考慮した場合で比較して、検定比が1.00以上であれば、OKとなります。

結局、建物は震度いくつまで耐えられるの?

これ本当によく聞かれるんですよね。

構造設計者さんには、中々答えづらい質問だと思いますが、建築基準法上で言うと、日本の建物は大地震時でも人命を守ることを目的としています。

つまり、大地震時でも、梁が落ちて着たり、一部の層が抜けたりしないことです。

この大地震時が震度で言えば震度6強以上クラスを意味しています。


また、中地震時においては、すぐさま建物が利用できるように設計されています。中地震時とは、震度6弱までの地震です。

混同しやすい用語

許容応力度設計法(一次設計)

中地震(震度5弱程度)に対して部材の応力が許容応力度以下であることを確認する設計法。

部材を個別に検証し、通常の使用状態で損傷しないことを目標とする。

保有水平耐力計算(二次設計)

大地震(震度6強以上)に対して建物全体がメカニズム崩壊を起こす際の耐力が必要保有水平耐力以上であることを確認する設計法。

建物全体の崩壊安全性を検証する。

試験での問われ方|管理人の一言

建築士試験では「一次設計=許容応力度設計(中地震対応)」「二次設計=保有耐力設計(大地震対応)」という2段階の設計法の目的と対象地震規模の区別が頻出です。

また「小地震では損傷なし・大地震では人命確保」という新耐震基準の2段階目標も整理しておきましょう。

1981年の新耐震基準施行が重要な節目であることも試験で問われることがあります。

日本の耐震基準を整理した表を示します。

項目内容備考
一次設計(中地震)許容応力度設計で損傷しないこと震度5強程度の地震に対応
二次設計(大地震)保有耐力設計で倒壊しないこと震度6強?7程度の地震に対応
新耐震基準の施行1981年(昭和56年)2段階設計が導入された重要な節目

まとめ

いかがでしたか?日本の構造設計はトップクラスの技術力を誇りますが、それも地震という大自然の驚異で発展したものでした。今後も、地震がある限り、技術はますます発展していくでしょう。

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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