この記事の要点
2つの力が異なる方向に働くとき、その合力を求めるには平行四辺形を描く。
これが「力の合成」の基本で、構造力学の出発点になる。
合力の計算手順と、建築での応用を整理する。
力には大きさと方向があるため、単純な足し算ではなく、平行四辺形の法則や三角関数を使って合力の大きさと角度を求める必要がある。
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力の合成とは、二つ以上の力を「それらと等しい効果をもつ1つの力にまとめること」です。"それらの等しい効果を持つ"という点が重要です。
力には大きさと方向があります。よって、二つ以上の力の大きさを単純に足し算しても、それらと同じ力の効果が得られるわけでは無いのです。
力の合成を行う場合、必ず、力の大きさ、方向を考慮して1つにまとめます。
今回は
について説明します。また下記も併せて参考にしてください。
力の分解とは|計算方法・ピタゴラスの定理による求め方と合力との関係
力の合成とは
です。さらに、まとめられた力を合力といいます。
合力 リンク力は目に見えません。イメージするのが難しいかもしれませんが、力は「合成」できます。
綱引きを思い出してください。1人よりも2人、2人よりも3人の方が引張る力が強くなりますよね。
たとえば1人で引張る力が6kgだとすると、3人で引張る力は、
です。
ただし注意したいのは
ことです。
上図のように、力は矢印で表しており
のです。
なお、建築の構造力学では、力の作用点は矢印の先端で表すことが多いです。本記事でも、この方法に習って表します。
力を合成するときは"方向を考慮"する必要があります。上図の例では縄を引張る方向が同じなので単純に「引っ張る力を3倍」すればよいですが、方向が異なれば考え方も変わります。
前述したように、力の合成を行うときは
ように"1つの力にまとめる"のです。
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簡単のため2つの力を1つの力に合成することを考えます。
力の合成を考える場合、初学者の方は下記の3パターンに整理すると理解しやすいです。
なお、慣れるとパターン分けは不要になるはずです。3パターンの考え方は同じで、要するに"ベクトルの計算"をしているだけです。
それでは各パターンの計算を解説します。
同じ方向に複数の力が作用する場合、力の合成は
です。作用する方向が同じであれば、単なる大きさの足し算をするだけです。
たとえば、上図のように10kN、20kNの2つの力を合成すると
になります。
同じ方向に作用する10kN、20kNは、1つの力である30kNと等しい効果を持つということです。
2つの力が真逆(反対)方向に作用する場合、力の合成は
です。力の作用する方向が真反対(真逆)の場合、1つの力の大きさからもう一方の力の大きさを引き算すれば、力の合成が算定できます。
なお、一般に右方向を正の値、左方向を負の値と定義します。
力の合成の計算式は
です。
上記は、反対方向に作用する10kN、20kNは、1つの力である10kNと等しい効果を持つことを意味します。
例えば、下図のように2つの力が作用したときを考えます。
この2組の力を合成し、P3をP1とP2の形で表してみましょう。αは作用する合力の角度を表し、また、P1とP2の間をなす角度はθです。
結論から言えば、力の合力とは図のように平行四辺形を作ったときの対角線です。
なぜなら、力は大きさと方向を持っているので(難しく言えばベクトル)、単純に大きさを足し算するだけではダメです。
よって、2つの力が作用しているときと等しい効果を表した単一の力を求めるために、以下のような計算を行います。
P23 = (P1cos(θ)+P2)2+ (P1 sin(θ))2
つまり、対角線の長さを求めれば良いわけですから図のように、点線と矢印で三角形を作ります。
底辺の長さはP2とP1 cos(θ)を足したものです。
また高さは、三角関数の関係からP1sin(θ)ですね。
よって、ピタゴラスの定理から、それぞれの長さを二乗し足し合わせたものが対角線の長さです。
※ピタゴラスの定理は下記が参考になります。
ピタゴラスの定理とは?建築・構造計算でよく使う3:4:5の関係と証明
さらに、合力の向きを求めるためには三角形の高さ/底辺の値を求めて、アークタンジェントをとれば角度がわかります。よって、式は以下のように
となり、さらに
で求めることが出来ます。
図に示す力の合力を求めよ。2組の力が作用する間の角度は45°である。
先ほど一般的な問題を解いているので、それぞれ式に必要な数値を代入すれば合力を求めることが出来ます。よって合力及びその角度は
P23 = (20cos(45)+50)2+ (20sin(45))2
※sin45= cos45=1/√2
となります。
2つの力が任意方向に作用するときの力の合成は「作図」で比較的簡単に合力が得られます。※ただし、厳密解は前述した計算式によります。
力の合成を求める作図の考え方は簡単で
となります。よって、まずは2つの力を辺とする平行四辺形を作図します。
2つの力の矢印を平行移動させて平行四辺形をつくります。
作用点から2つの点線が、交わるところまで矢印を伸ばします。これが、2つの力と同じ効果を持もつ合力です。すなわち、上図の平行四辺形の対角線が合力となります。
混同しやすい用語
力の合成(合力)
力の合成とは、2つ以上の力を「等しい効果をもつ1つの力」にまとめることで、まとめた力を合力という。
平行四辺形の対角線が合力の方向と大きさを表す。
力の分解は逆に1つの力を指定の方向の2つの分力に分けることであり、合成(複数→1つ)と分解(1つ→複数)は逆の操作である。
力の分解(分力)
力の分解とは、1つの力(合力)を指定された方向の2つの力(分力)に分けることで、分力と合力の関係も平行四辺形で表現される。
力の合成は複数の力を1つにまとめる操作であり、力の分解は1つの力を複数に分ける操作で、操作の向きが逆である。
力の合成を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 力の合成の定義 | 二つ以上の力を等価な1つの力(合力)にまとめること | 大きさの算術和ではなくベクトル和 |
| 平行四辺形の法則 | 合力の大きさは平行四辺形の対角線で求める | 2力のなす角が0°のとき合力は最大 |
| 直交する2力の合力 | R=√(P12+P22)(ピタゴラスの定理) | tanθ=P2/P1 で合力の方向も求まる |
今回は力の合成について解説しました。力の合成とは、二つ以上の力を「それらと等しい効果をもつ1つの力にまとめること」です。
力の合成を勉強したあとは、力の分解や反力の計算、モーメントについて勉強しましょう。下記が参考になります。
力の分解とは|計算方法・ピタゴラスの定理による求め方と合力との関係
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