建築学生が学ぶ構造力学

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ケーブル構造の設計方法について

この記事の要点

ケーブル構造は引張力のみで鉛直荷重に抵抗する構造形式です。

ケーブルのたわみをサグ、支点に働く水平力をスラストといい、サグが小さいほどスラストは大きくなります。

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ケーブルとは何か?

ケーブルは、引張力のみで鉛直荷重に抵抗する構造形式です。

このケーブルを、そのまま逆さにひっくり返すと「アーチ」となり、圧縮力のみが部材に作用し、鉛直荷重に抵抗します。

ケーブルのたわみは「サグ」と呼ばれ、アーチの高さは「ライズ」と呼ばれています。


ケーブルは、二点間を支持し鉛直荷重が作用したときに引張力で抵抗する構造形式です。

このとき支持点には、張力Tの鉛直成分、水平成分がさようし、この水平成分をスラストと呼びます。

ケーブルやアーチの設計では、このスラストをどのように処理するか?ということが重要な課題となってきます。


スラストを実感するのは簡単です。

例えば、適当な紐を用意し、その中央に重りをつけて両手で持ってください。

このとき、サグ(たるみ)を小さくすれば、より大きなスラスト力が手に作用していることがわかります。

逆に、サグを大きくすると、スラスト力は小さくなり手にかかる負担は小さくなることが確認できるでしょう。

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ケーブルの解法

集中荷重を受けるケーブルのスラストや張力を求めてみましょう。図のような条件のケーブルを考えます。



支持点に作用する張力とその分解した成分で表すと、



まず、張力Tとサグの関係について考えます。このケーブルの条件では左右対称の形状をしているので、



ケーブルのモーメントについて考えると、




よって、張力Tは三平方の定理より、



が求められます。つまり、張力TはサグSの関数です。この式からケーブルの張力はサグに反比例することがわかります。すなわち、サグが半分になるとケーブルの引張応力が2倍となり、その結果、支点のスラストが2倍となります。

ケーブルの仕組み

さて、サグ(弛み)が大きくなるとケーブルの長さが増加します。

しかし、先ほどの張力TとサグSの関係式から、張力Tは減少するので、ケーブルの断面を減らすことが可能です。

逆にサグを小さくすると、ケーブルの長さは短くなるが、作用する引張力が増加するので大きな断面が必要となります。


このことから、ケーブルの断面積と長さの積であるケーブルの全体積はサグが非常に小さくても、大きくても、ともに大きくなります。

よって、サグが中間の値のときに最小の体積となります。

すなわち、「最も経済的なサグ」は張間の半分で、荷重の半分のスラストを持つ、対称の45°三角形ケーブルの形状となります。



ケーブルは作用させる鉛直荷重の位置によって形状を変えることがわかります。

この場合、スラストの値は中央荷重に作用した場合とは異なりますが、サグの逆数で変化します。

さて、作用させる荷重の数を増やすとどうなるのでしょうか?図のように2つの荷重がケーブルに作用すると、形状は四角形になり、さらに数を増やすと曲線に近づくことがわかります。



本来、物体には自重が作用しているので、紐や鎖の2点間を持ち垂らすと、自然と曲線の形状が確認できます。

この形状をカテナリーとよび、自然界によくみられるケーブルの形状です。

また、カテナリーの形状を利用したケーブルの設計も、吊り橋等でよく見られます。

混同しやすい用語

サグ

ケーブルのたわみ量(垂れ下がり)。

サグが大きいほどケーブルの引張力・スラストは小さくなる。

スラスト

ケーブルの支点に水平方向に作用する力(引張力の水平成分)。

サグが小さいほどスラストは大きくなる。

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理解度チェック

Q.

ケーブル構造とは何か説明してください。

答えを見る

ケーブル構造は、引張力のみで鉛直荷重に抵抗する構造形式です。二点間を支持し鉛直荷重が作用したときに引張力で抵抗します。逆さにひっくり返すと圧縮力のみで抵抗するアーチになります。

Q.

サグとスラストの関係を説明してください。

答えを見る

サグはケーブルのたわみ(垂れ下がり)量、スラストは支点に作用する張力の水平成分です。張力はサグに反比例し、サグが小さいほど張力・スラストは大きくなります(サグが半分になると引張応力もスラストも2倍)。

Q.

ケーブル構造で最も経済的なサグはどのような形状になりますか。

答えを見る

サグが小さくても大きくてもケーブルの全体積(断面積×長さ)は大きくなり、中間の値で最小になります。最も経済的なサグは張間の半分で、荷重の半分のスラストを持つ、対称の45°三角形ケーブルの形状となります。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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