この記事の要点
力の伝達システムは「圧縮力・引張力・せん断力」の3つが基本で、曲げや捩じりはこれらの連成として理解できます。ラーメン構造は内部空間の自由度が高く、ブレース構造は鉄骨量を節約できる代わりにブレースが空間を制約するため、用途に応じた使い分けが重要です。
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構造物を設計するうえで重要な能力の1つとして、『力の流れを理解すること』が言えるでしょう。私たちの身の回りにある物は、普段は静止した状態ですが、この物体には絶えず力が作用しています。例えば、机をイメージします。机の上には本を置いています。本には重さがあるので、その重さ分の荷重が机に作用します。
本による荷重は机の天盤に伝わり、そして、四方の足へ、さらに、足から地面へと、力は伝達されます。この一連を「力の流れ」と言ったりします。
ここで、やっかいなのは物体に作用する力というのは、目には見えないことです。だから、私たちは、力や物体を模式化、工夫して考えます。構造力学とは、この力の流れを明らかにするための学問と言っても過言ではありません。
※力の流れは下記も参考になります。
力の流れとは?1分でわかる意味、構造力学、建物の構造部材との関係
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また、力を伝達するシステムは大まかに分けて3つあるとされています。全ての構造物が、この3つの伝達システムで説明がつきます。
1.圧縮力で伝達する
2.引張力で伝達する
3.せん断力で伝達する
この他にも、曲げや捩じりという概念が存在しますが、実はその構造システムは、以上の構造システムを連成したものです。
当サイトでは、以上の概念をそれぞれページ別に説明していますので、そちらをご覧になってください。
引張応力とは?1分でわかる意味、公式と求め方、記号、引張応力度との違い
せん断応力とは?1分でわかる意味、公式と計算法、記号、平均せん断応力
混同しやすい用語
ラーメン構造
柱・梁の接合部を剛接合し、フレーム全体で水平力に抵抗する構造システム。
ブレース構造
斜材(ブレース)を設けて水平力に対抗する構造システム。
6階建て鉄骨造のオフィスビルを設計する。各フロアに大きな会議室を設けたい。ラーメン構造とブレース構造、どちらが適切か。

| ラーメン構造 | ブレース構造 | |
|---|---|---|
| 水平力の抵抗 | 柱・梁の剛接合でフレームが抵抗 | 斜材(ブレース)が抵抗 |
| 内部空間 | ブレース不要 → 空間を自由にとれる | ブレースが室内に出る → 邪魔になりやすい |
| 鉄骨量 | やや多い | やや少ない |
会議室のような大空間・間仕切り変更の可能性がある用途にはラーメン構造が適切。ブレースがフロア中央に出てしまうと、レイアウト変更のたびに問題になる。
平屋・柱間隔12mの大型倉庫を設計する。内部は荷物の搬入路と保管棚のみ。コストを抑えたい。
倉庫は間仕切りの自由度が低くてよい。この場合、ブレース構造を選ぶとフレームが軽くなり鉄骨量を節約できる。ただし、出入り口・搬入口の位置とブレースの位置が干渉しないよう、平面計画と構造計画を同時に検討する必要がある。
コスト優先かつ内部レイアウトが固定的な用途にはブレース構造が経済的。ブレース配置は建築計画と連携して決める。
「ラーメン構造は鉄筋コンクリートのもの」は間違い。ラーメン(Rahmen)はドイツ語で「枠」の意味。接合部を剛接合したフレーム構造の総称であり、RC造・鉄骨造どちらにも使われる。
「ブレース構造は弱い」は間違い。ブレースは軸力(引張・圧縮)で水平力に抵抗するため、適切に設計すれば十分な耐震性を持つ。弱点は「ブレースが座屈したとき急激に剛性が低下する」点であり、座屈拘束ブレースなどの対応策も普及している。
Q. ラーメン構造の水平抵抗メカニズムを一言で説明せよ。
A. 柱・梁の接合部を剛接合し、フレーム全体の曲げ剛性で水平力に抵抗する。
Q. ブレース構造でブレースが取り付く接合部の接合方式は何か。
A. ピン接合(回転自由)。ブレースは軸力(引張・圧縮)のみで力を伝達する。

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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
構造システムの選定は建物の安全性・経済性・使い勝手に大きく影響します。ラーメン構造は内部空間の自由度が高く、ブレース構造は鉄骨量を節約できる一方でブレースが内部空間を制約します。