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トラス構造の圧縮と引張の向きが分からない人が多いようです。
トラス構造に生じる軸力として適切な値を選択する問題は、一級建築士試験でもよく出題されます。
軸力の値が正しくても、圧縮と引張の向きを間違えると「プラスとマイナスの符号が反対になる」ので、悔しいですが誤りになります。
よく建築士試験の指南書や解説本には、節点法や断面法の計算解説が書いてありますが、
実は、トラス部材の圧縮、引張は「計算しなくても、節点に作用する外力と部材軸力の向き」だけで判断できます。
今回は、トラス構造の圧縮と引張の向きの見分け方を図解でわかりやすく解説します。
まずはトラス構造の引張材、圧縮材の考え方を解説します。引張材、圧縮材の意味はそれぞれ下記です。
引張材、圧縮材の違いは、計算結果のプラスとマイナスで無理やり覚えるよりも、上記に示した「部材の伸び、縮み」をイメージする方がわかりやすいでしょう。
なぜなら力は目に見えませんが、伸び縮みなどの変形は、身の回りの物からも視認できるからです。人は視認できる事柄の方が記憶に残しやすいです。
なぜ伸びる部材は引張材で、縮む部材は圧縮材なのか理由は簡単です。伸びる部材には「引張力(引っ張る外力)」が作用し、縮む部材には「圧縮力(押す外力)」が作用するからです。
もし手元にボールペンがあるなら、分解してバネを取り出してください。バネを指で押したり、伸ばすことで、力と変形の関係を理解できるはずです。
引張力とは?計算、読み、単位、圧縮力との関係、引張応力の公式は?
トラス構造は下図に示すように部材同士をピン接合します。このピン接合した部分を「節点」といい、白丸の図で表します。
トラス部材に生じる軸力を考える場合「節点を基準」に考えます。これにより、その部材に作用する力が外力か応力(内力)か明確になります。
引張、圧縮に関わらず節点の内側に生じる力は「応力(内力)」で、節点の外側に作用する力は「外力」です。
節点を基準に外力と応力の違いを明確にしないと、力の矢印の向きだけで考えては「圧縮と引張の関係が逆になる」可能性があるため注意が必要です。
前述した力と伸び・縮みの例で示した部材を線材にしたうえで節点を描いて、引張と圧縮の関係を示します。
外力は節点の外側に作用します。応力は節点の内側に生じます。
さらに、部材が静止する場合、部材に生じる外力と応力はつり合います。つまり、外力と応力の合計はゼロになるということです。
上記を節点を基準に考えると「節点に作用する各方向の力の合計はゼロ(0)になる」ので
以上より
です。
トラス構造の引張と圧縮の見分けがつかない、何度も建築士試験の問題で躓く人は、外力と応力の違いが理解できていない可能性があります。
上図のように外力と応力は相反する向きなので、力の矢印の向きだけで判断すると、その部材を押す力なのか引張る力なのかわかりません。
必ず節点を基準に力の向きを考えましょう。
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下図のトラス構造の各部材に生じる軸力の圧縮と引張の向きを見分けましょう。
圧縮と引張の向きの見分け方は、下記の考え方を利用します。
上図の場合、左右の端部の節点は繋がる部材本数が2本だけなので簡単そうです。
節点には鉛直下向きの外力のみ作用しています。節点に作用する力の合計がつりあうためには
になる必要があります。
よって、鉛直下向きの外力とつりあうためには、斜め部材に斜め上向きの力が作用する必要があります。
さらに斜め上向きの力を鉛直、水平方向に分解すると、水平方向の軸力は右向きですから、この軸力とつりあうために水平部材には左向きの軸力が作用します。
以上より、斜め部材には引張力(応力)、水平部材には圧縮力(応力)が作用します。
次に下図に示す節点まわりの部材に生じる軸力の向きを考えます。トラス全体に下向きの外力が作用するので、支点に作用する反力は鉛直上向きになります。
なお、節点に繋がる部材数が少ない順に軸力の向きを考えることがポイントです。
さきほど水平部材の軸力の向きは圧縮だと分かっています。
鉛直上向きの外力(反力)とつりあう軸力は鉛直下向きに作用します。節点を押す力なので圧縮力です。
次に下図に示す節点まわりの部材に生じる軸力の向きを考えます。鉛直下向きの外力に対して軸力が釣り合うためには、鉛直部材には、鉛直上向きの軸力が作用する必要があります。
節点を押す方向に作用する軸力なので「圧縮力」だとわかります。
次に下図に示す節点まわりの部材に生じる軸力の向きを考えます。これまでの計算より、鉛直部材には圧縮力が作用しています。
この圧縮力(応力)と他部材の軸力がつりあうためには、斜め部材には斜め上向きの軸力が生じる必要があります。
これは節点を引張る力なので引張り力ですね。
最後に下図の節点まわりの部材に生じる軸力の向きを考えます。
既にこれまでの計算で全部材の軸力の向きは分かっており、下図となります。
以上の考え方で全ての節点につながる軸力の向きがわかりましたね。
トラス構造全体で軸力の向きを整理すると下図となります。
建築士試験では問題を解くスピードが重要で、以上に示した方法であれば面倒な計算をする必要はなく、鉛直と水平の力のつりあいを考えるだけです。
トラス構造の問題を解く指南書、参考書では節点法、断面法の計算方法ばかり書いてありますが、力の矢印の向きと力のつりあいを考えれば、軸力の向きが簡単にわかるのです。
なお、考える順番に注意しましょう。最初に多くの部材が繋がる節点まわりの力のつりあいを考えると、未知数が多いために軸力の向きが判断できません。
余談ですがトラス構造の圧縮材と引張材の設計の違いに少しふれておきます。
引張力が作用する部材と圧縮が作用する部材で、何が異なってくるのでしょうか?まず、圧縮力が作用する部材で考えなければならないのは、「座屈」についてです。
座屈という不安定現象は、部材の強度に関係なく、弾性係数や部材断面等に依存します。
つまり、強度が大丈夫だからと言って、あまりにも細い部材を使うと、座屈が起きて崩壊します。
一方、引張力が作用する部材についてはどうでしょうか?引張材は、最大耐力まで線形的に耐力が上昇、弾塑性材料なら降伏してから破断します。
つまり、引張材には不安定な現象は起きることがありません。よって、引張力が作用する部材に関しては、強度の分だけ細い部材を設計することができます。
一般的な構造物では、部材ごとに断面を変えると言うことがあまり無いのですが、合理的に設計しようと思えば、圧縮材は太く、引張材は細くすることが可能なのです。
例えば、重量規定が求められるブリッジコンテスト等では橋のどの部材を細くして良いのか?太くした方がいいか?などの情報はとても重要なのです。
こんな構造物だとしたら、
圧縮材を太くして、引張材は細くしてみます。
すると、こんな構造物になりました。圧縮材は座屈してほしくないので太く。引張材は強度の分だけ設計できるので細くしました。
部材断面がここまで違うと、接合部をどのようにおさめるのかという問題点が発生しますが、こんなことも可能なのです。
今回は、トラス構造の圧縮と引張の向きの見分け方を解説しました。
よく建築士試験の指南書や解説本には、節点法や断面法の計算解説が書いてありますが、
実は、トラス部材の圧縮、引張は「計算しなくても、節点に作用する外力と部材軸力の向き」だけで判断できます。
建築士試験では問題を解くスピードも重要です。
今回の解説を是非マスターして圧縮、引張の向きを短時間で解いてみましょう。
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