建築学生が学ぶ構造力学

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効率が良い断面形状

この記事の要点

曲げに対する断面効率は重心から離れた位置に材料を配置するほど高くなり、H形鋼がフランジを上下に分離した形状である理由もここにある。同じ断面積でも正方形断面よりH形断面の方が断面二次モーメントが大きく、曲げ剛性・強度が高い点が設計上の重要なポイントです。

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棒に引張力が作用した場合を考えます。このとき、棒には軸力が全断面に作用するので、応力は切断面に等分布の力が作用していることがわかります。

軸方向に作用する応力の式は、


σ=P/A


です。つまり、外力に対して部材の全断面で力を伝えることが出来ています。よって、トラスなどの軸力しか作用しない構造は、とても効率が良く力を伝達することができるため、部材を細くすることが可能です。


一方、梁のような曲げモーメントで力を伝達する構造をみると、


以上のように、部材の上端、下端に最大の応力が作用し、後の部分は遊んでいる状態になっています。半分以上は断面の性能が十分に発揮できていないことがわかります。このままの断面を梁として利用することは、とても効率が悪いですね。よって、構造部材は一般的にI型やH型の断面形状が用いられます。


さて、断面形状についてはI型やH型を利用した方が効率が良いということが確認できました。次に、梁は等断面で良いのか?ということについて考察していきます。例えば、片持ち梁について考えます。

このときのモーメント図を考えると固定端に最大のモーメントが作用し、外力が作用している点では自由に移動できるので、モーメントは発生しません。とういことは、等断面の材料を用いることは効率が悪いということになります。では、次の断面だとどうでしょうか?

等断面の部材よりも随分、経済的になりそうです。このような先細りの梁などを変断面と呼びます。建築や土木の世界では、等断面長尺の材料が多く、なかなか変断面の部材自体が使われることがありませんが、こんなキャンチレバ―を利用した建築も面白そうです。

混同しやすい用語

断面二次モーメント

部材の曲げ剛性(変形しにくさ)を表す値。中立軸からの距離の2乗に比例する。

断面係数

部材の曲げ強度(最大応力度)を求めるために用いる値。断面二次モーメント÷中立軸距離。

試験での問われ方|管理人の一言

H形鋼やI形鋼は曲げに対して効率の良い断面形状の代表例です。中立軸から離れた位置に材料を集中させることで、同じ重量でより高い曲げ剛性・強度を実現できます。

断面形状の効率 計算例

断面形状幅・高さ・寸法断面積 A断面二次モーメント II/A(断面効率)
正方形断面100×100mm10,000 mm2bh3/12=8.33×10? mm?833 mm2
I形断面(相当)フランジ100×20mm×2+ウェブ5×60mm4,300 mm2≒2.54×10? mm?591 mm2
H形鋼(200×200)JIS H200×200×8×126,353 mm2≒4,720×10? mm?7,430 mm2

ポイント:曲げ応力度 σ=M/Z(Z=断面係数=I/ymax)。H形鋼は同じ断面積でも中立軸から遠い位置にフランジを集中させるため、Iが大きくZも大きい → 曲げ効率が高い

断面形状別 曲げ効率 比較表

断面形状曲げ効率特徴・用途
軸力材(丸棒・角棒)◎(軸力)全断面一様応力。トラス部材に適する
矩形断面△(曲げ)中立軸付近の材料が無駄になりやすい。木材・コンクリート断面
I形・H形断面◎(曲げ)フランジに材料集中。鉄骨梁・柱の代表断面
箱形断面(□形)○(曲げ+ねじり)ねじりにも対応できる。橋梁主桁など

よくある誤解

一問一答

Q. 正方形断面(一辺h)と等断面積の矩形断面(幅h/2・高さ2h)ではどちらの曲げ剛性EIが大きいか?

A. 正方形:I=h?/12。矩形:I=(h/2)×(2h)3/12=h?/3。矩形断面の方がI=h?/3で3倍大きい。高さを大きくすることが曲げ剛性向上に効果的(I∝h3)

Q. 「効率の良い断面」とは何を意味するか?

A. 同じ断面積(同じ材料量)で最大の断面二次モーメントI(または断面係数Z)を得られる断面形状。中立軸から離れた位置に材料を配置するほど効率が高い

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