建築学生が学ぶ構造力学

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PC構造と理論

この記事の要点

PC構造(プレストレスト・コンクリート)は、コンクリートにあらかじめ圧縮力(プレストレス)を与えることで引張亀裂を防ぐ構造。

プレストレスにより、荷重が加わってもコンクリートに引張力が生じにくくなり、大スパン・薄断面の部材が実現できる。

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プレストレスト・コンクリートは、PC用の鋼棒に張力を導入することでコンクリート自体に圧縮力を加えたコンクリートです。一般的にPCと略されます。また、プレキャスト・コンクリートも頭文字をとるとPCですが、この場合はプレストレストコンクリートと区別するために、PCaと略します。


コンクリートは圧縮に強く引張に弱い材料です。圧縮強度の1/10程度が引張強度なので、曲げ応力が作用すると簡単にひび割れたりします。そこで、引張側の応力が作用する箇所には鉄筋を配置したRCが構造材料として利用されています。一見すると、PCとRCは似ているようですが、力学的なメカニズムが異なります。


例えば、ある断面に曲げ応力が作用したとします。すると、



というように、中立軸から上端では圧縮の応力が作用し、下端では引張力が生じます。コンクリートは引張に弱いので、ここを鉄筋で補強した材料がRC(鉄筋コンクリート)です。PCはコンクリートにあらかじめPC鋼棒を配置し、これに張力を導入します。すると、



以上のような、応力状態となります。プレストレスを作用させるとコンクリート全体に圧縮力が作用し、荷重が作用した場合も引張場がなくなり、コンクリートの圧縮に強いという特性が十分に発揮することが出来ます。


このプレストレスを加えるという作用は、日常生活でも確かめることが出来ます。例えば、複数の本を縦に積まずに、横に並べて運ぼうとしてください。ぎゅっと抑えていないとバラバラになって運べないと思います。この「ぎゅっ」とさせる作用がプレストレスです。PCはたわみも少ないので、橋梁などの梁部材では支間を大きく取ることができ、大規模構造物に適しています。

混同しやすい用語

PC構造(プレストレスト・コンクリート構造)

あらかじめ圧縮力(プレストレス)を与えたコンクリート構造。引張に弱いコンクリートの欠点を補い、大スパン・薄肉化が可能。

RC構造(鉄筋コンクリート構造)

鉄筋でコンクリートの引張力を補強する一般的な構造。プレストレスは与えず、鉄筋が引張力を負担する。PC構造と比べてスパン制限が大きい。

試験での問われ方|管理人の一言

一級建築士試験では、PC構造のプレストレス導入の目的(引張亀裂防止・大スパン化)と、プレテンション工法・ポストテンション工法の違いが頻出です。「プレストレスにより、荷重時にコンクリート全断面が圧縮状態に保たれる」という原理を理解しておくと、複数の選択肢を素早く絞り込めます。

プレストレスト・コンクリート 計算例

条件
断面幅 b300 mm
断面高さ h600 mm
プレストレス力 N600 kN(コンクリートへの圧縮力)
曲げモーメント M54 kN・m

断面積:A = 300×600 = 180,000 mm2

断面係数:Z = bh2/6 = 300×6002/6 = 18,000,000 mm3

プレストレス圧縮応力:σ? = N/A = 600,000/180,000 = 3.33 N/mm2(圧縮)

曲げ応力:σM = M/Z = 54,000,000/18,000,000 = 3.0 N/mm2

上端(圧縮+曲げ圧縮):3.33+3.0 = 6.33 N/mm2(圧縮)

下端(圧縮+曲げ引張):3.33-3.0 = 0.33 N/mm2(圧縮) → 引張が生じないためひび割れなし

PC・RC・S構造 特徴 比較表

構造種別引張への対応大スパン性ひび割れ
PC構造プレストレスで全断面圧縮維持◎(大スパン向き)原則なし(設計で管理)
RC構造鉄筋が引張力を負担○(中スパン)引張側に微細ひび割れ許容
S構造(鉄骨)鋼材全断面が引張対応◎(超大スパン可)なし(金属疲労に注意)

よくある誤解

一問一答

Q. PCが「大スパン梁」に適している理由を構造力学的に説明せよ

A. プレストレスにより荷重時の下端引張応力が相殺されて全断面圧縮状態を維持できるため、引張ひび割れが生じない。断面を有効に活用でき、大スパン・薄肉断面が実現できる

Q. プレテンション工法とポストテンション工法の最大の違いは?

A. プレテンションはコンクリート打設前にPC鋼材に引張力を与えて硬化後に解放する。ポストテンションはコンクリート硬化後にシース管内のPC鋼材を緊張・定着してプレストレスを導入する

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