この記事の要点
柱の座屈設計で両端固定と両端ピンでは座屈長さが大きく違う。
両端固定は有効長さが実長の0.5倍になるため、同じ長さでも座屈荷重が大きくなる。
支持条件の違いを理解しておかないと設計が安全側になり過ぎたり危険側になったりする。
この記事では両端固定柱の座屈荷重の計算式・オイラー式の導出方法・両端ピン柱との比較を解説する。
両端固定は最も座屈しにくい支持条件の一つで、片持ち柱(lk=2L)と比べると16倍の座屈荷重が得られる。
固定端の数が多いほど座屈強度が高くなる関係を整理しておくことが重要。
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さて、次の図を見てください。この長柱に圧縮荷重を作用させた場合の状態です。この柱は座屈を起こし、yの変形をおこしているとします。この状態で弾性曲線式を解き、座屈荷重を求めましょう。また、この図では下方向を正のy、右方向を正のxとしています。
この場合、赤点での曲げモーメントは、
です。
弾性曲線式は以下のように示されます。
曲げモーメントは
です。よって、
計算を行いやすくするために、
とします。このような微分方程式(斉次方程式)を解く場合、解のyを以下のように仮定して解きます。既に、解き方は示しているので(オイラー座屈)ここでは計算過程を省略しますね。一般解は、
さて、目的は座屈荷重を求めることです。まずは境界条件によって定数を求めましょう。境界条件は
です。以上より、
このままでは、yが決定されません。しかし、x=l,y=0=dy/dxなので、
です。よって、以上の式を満たすklは次のように
ですから、座屈荷重は
以上の式が、両端固定の座屈荷重です。基本的な計算過程は両端ピンの場合と同じですが、曲げモーメントや境界条件等が異なってきます。比較的簡単な計算なので、自分で解いてみてくださいね。
混同しやすい用語
両端固定の座屈(固定-固定)
両端が完全固定の柱。
有効座屈長さ lk=L/2(部材長の半分)で、座屈荷重は両端ピンの4倍。
反曲点が柱の中間に2か所生じる形で座屈する。
両端ピンの座屈(ピン-ピン)
両端がピン支持(回転自由)の柱。
有効座屈長さ lk=L(部材長と等しい)で、座屈計算の基本形。
他の条件と比較する際の基準として用いられることが多い。
| 条件 | 値 |
|---|---|
| 縦弾性係数 E | 2.0×10⁵ N/mm2(鋼材) |
| 断面二次モーメント I | 1,000 cm⁴ = 1.0×10⁷ mm⁴ |
| 部材長 L | 4,000 mm |
| 端部条件 | 両端固定(lk = L/2) |
有効座屈長さ:lk = L/2 = 4,000/2 = 2,000 mm
座屈荷重:Pe = π2EI/lk2 = π2×(2.0×10⁵)×(1.0×10⁷) / (2,000)2
= (9.87×2.0×10¹²) / 4.0×10⁶ ≒ 4,935 kN
参考:同条件で両端ピン(lk=L=4,000 mm)の場合は Pe ≒ 1,234 kN → 両端固定は 4倍 の座屈強度
| 端部条件 | 有効座屈長さ lk | Pe(両端ピン比) |
|---|---|---|
| 両端固定 | L/2 | 4倍 |
| 一端固定・他端ピン | 約0.7L | 約2倍 |
| 両端ピン(基準) | L | 1倍(基準) |
| 一端固定・他端自由(片持ち) | 2L | 1/4倍 |
Q. E=2.0×10⁵ N/mm2、I=500 cm⁴、L=3,000 mm の両端固定柱の Pe は?
A. lk=L/2=1,500 mm。Pe=π2×(2.0×10⁵)×(5.0×10⁶)/(1,500)2 ≒ 4,386 kN
Q. 上記の柱を両端ピンに変えると Pe はどう変わるか?
A. lk が 1,500 mm から 3,000 mm(2倍)になるため Pe は 1/4 倍 → 約 1,097 kN になる
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