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構造物の安定性を表す用語に「静定、不静定(静定構造物、不静定構造物)、安定、不安定」があります。名称は似ていますが意味が全く違うので複雑に思う方も多いようです。
また、建築士試験でも静定、不静定、不安定、安定の問題は出題されており、建築業界の方なら1度は目にする用語だと思います。
そこで今回は
について解説します。
安定構造物とは?1分でわかる意味、反力数、静定状態、確認方法
私たちが目にする構造物は、もちろん全てが力学的に安定したものです。このような構造物を安定構造物と言います。
逆に、力学的につり合いがとれていないような構造物を不安定構造物と言います。
さらに安定構造物を力学的に分類すると静定構造物と不静定構造物の2つの種類に分けられます。では、静定構造物と不静定構造物の違いと特徴は何でしょうか。
静定構造物、不静定構造物、安定構造物、不安定構造物についてそれぞれ解説します。
静定構造物は安定構造物の1つです。
力のつり合い条件式(ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0)を解くだけで、支点に作用する反力を求められる構造物のことをいいます。
力のつり合い条件式から3つの等式がつくられます。
よって、一般に支点の反力数の合計が3つ以下の安定構造物は静定構造物です。
たとえば、静定構造物の例として単純梁、片持ち梁があります。
単純梁では支点の反力の合計は3つ、片持ち梁の反力の合計は3つなので静定構造物ですね。
静定構造物は簡単に支点反力を計算できる一方で、実際の建物を静定構造物とする際は注意が必要です。なぜなら、静定構造物には「構造的な冗長性(余裕)が無いから」です。
静定構造物は、構造物が安定するために必要最小限の支点で成立しています。よって、静定構造物の支点が1つでも壊れたら、即座に「不安定構造物」になるのです。
簡単にいうと、ギリギリ不安定にならない、余裕の無い構造とも言えます。
教科書で問題を解く分には静定構造物は楽ですが、実際の構造物には「静定構造物を採用しないことが多い」のです。
不静定構造物は、力のつり合い条件だけで反力を求められない構造物です。
力のつり合い条件式のみでは3つの等式しかつくれないので、反力の数が3を超えると、未知数の方が多くなります。
簡単にいうと、支点が沢山ある構造物です。
よって、不静定構造物を解く場合、力のつり合い条件だけでは無く、変形やエネルギー等の条件式も必要です。
不静定構造物には支点が沢山あるので、1つの支点や部材がダメになっても力学的にすぐ不安定になりません。
言い換えると、構造物に余力があるということです。
なお余談ですが、不静定構造物の中でも、反力が余分な外的不静定構造物と、部材が余分な内的不静定構造物があることは、頭の片隅に入れておきましょう。
静定構造物と不静定構造物の違いと特徴私たちが目にする構造物は、もちろん全てが力学的に安定したものです。このような構造物を静定・不静定構造物と言います。
また、前述の考え方を「梁」で考えると、「静定梁」「不静定梁」に分けられます。静定梁の計算方法は下記の記事を参考にしてください。
下図の梁を不静定梁といいます。
前述したように、不静定梁はつり合い条件式ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0よりも未知数が多いので、方程式を解くことはできません。
不静定梁の計算方法は、下記の記事が参考になります。
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安定構造物は、外力が作用してもすぐに壊れたりしない力学的に安定した構造物です。
当然ですが身の回りにあるほとんどの建物は歩いたり物を置いても壊れたりしません。つまり安定構造物といえます。
これを専門的に言い換えると、外力で移動や回転をしない構造物とも言えます。
さらに安定構造物は
があることを覚えておきましょう。
繰り返しますが、静定構造物、不静定構造物も安定した構造物です。
安定構造物とは?1分でわかる意味、反力数、静定状態、確認方法
では力学的にどうすれば構造物は安定するでしょうか。
大切なポイントは支点です。下図のようにピン支点が1カ所しか無い場合、梁は簡単に回転します。
ここに支点を1つ増やしてみると、どうなるでしょうか。
梁は回転しないで安定します。
簡単にいうと、支点が多いと構造物は安定する。
支点の種類にもよりますが、ピン支点であれば最低でも2つは支点が無いと安定しません。
ただし固定支点だと1つでも安定する。
以上を専門的に言い換えると「最低限、力のつり合い条件を満たす構造物」が安定構造物と言えます。
なお、力の釣り合い条件とは、物体に力が作用しても物体が静止する(移動も回転もしない)ときの条件です。
物体に力が作用しても物体が静止するとき「力がつりあう」といいます。力の釣り合い条件は「ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0」の3式からなります。
不安定構造物は安定構造物の逆の意味です。
いつも使う家を押すと動いたり、物を置くと建物が傾いたりしたら危ないですね。
現実社会にそういう建物はほぼ存在しませんが、そのような構造物を不安定構造物といいます。
たとえば図の梁は両側がローラー支点になっています。
ローラー支点は水平方向に自由に移動する。そのため、水平の力を加えるとスケートみたいに、すーっと滑っていきます。
これは明らかに不安定構造物ですね。
不安定構造物とは?1分でわかる意味、判別法、反力との関係、安定構造物との違い
さて、安定・不安定、静定・不静定の意味をおさらいします。建築士試験では構造物の安定・不安定、静定・不静定を問う問題の出題もあるため理解しましょう。
それぞれ図のような関係性があります。
各用語の意味は下記の通りです。
また、静定、不静定は両方とも「安定している状態」ですが
という違いがあります。
要するに、不静定の方が「より安定した状態」と言えますね。
言葉の語感から、何となく
と思いませんでしたか。全く逆なので注意しましょう。より安定した状態の「不静定」の方が良いに決まっていますね。
これまで安定、不安定、静定、不静定の構造物を解説しましたが、公式を使って、構造物がどの状態に該当するか判別できます。
後述する判別式を使えば下図のような構造物でも、機械的な計算で判別可能になるのです。
公式は下記の通りです。
n:反力数
s:部材数
r:剛接接合材数(部材が剛接合として繋がっている部材数)
k:節点数
上記の判別式を計算して、0より大きい、小さい、または同じになるかで、構造物の状態を判定できます。
また、不静定構造物のときの m の値を不静定次数といいます。ちなみに、稀に判別式が使えない構造物もあるから注意しましょう。
今回は、静定構造物と不静定構造物の違いと、特徴について説明しました。
今後、構造力学を勉強するなら、まずは静定構造物の計算方法から進めましょう。下記の記事が参考になります。
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