この記事の要点
静定アーチとは静定構造物のアーチであり、支点反力をつり合い条件のみで求めることができ、軸力によって力を伝達するため曲げモーメントが梁より小さくなる特徴がある。
半円アーチの部材力を求めると曲げモーメントやせん断力が大きくなる場合があり、形状によってアーチとしての利点(軸力支配)が活かしにくいケースもある。
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静定アーチとは、力のつり合い条件だけで反力を求められるアーチ構造です。
アーチ構造は部材を曲げて曲率を持たせ、圧縮力により力を伝える構造形式です。
アーチの概念や説明は「アーチ構造の仕組み」からどうぞ。
ここでは、静定アーチについて反力や部材力を求めてみます。
さて、アーチの形状(曲線)には半円、二次曲線、双曲線、カテナリー等、様々なものがあります。この問題では簡単のために、半円アーチの部材力を求めます。
静定構造物なので、釣り合い式から反力を求めることができます。外力は分布荷重wが作用していますので、反力は
となります。梁と同様に、曲げモーメント、せん断力、軸力を求めます。つまり、ある任意の点での曲げモーメントの釣り合いと、部材力の釣り合いを考えます。まずは、軸力とせん断力について、
以上に示した図のように、力の釣り合いを求めます。
次に、半円という形状の特徴を考えて、xの値を求めましょう。円の中心をOとすると、任意の点SとOの長さSOはl/2ですから、
となります。よって、
です。これも用いて先ほどの釣り合い式を書きなおすと、
以上の釣り合い式から、連立方程式より軸力とせん断力を求めます。
釣り合い式を変形して
せん断力は、
です。次に、曲げモーメントを求めます。
となります。つまり、アーチの曲げモーメントは任意の点までの距離ではなく、中心の点から任意の点までの角度がパラメータとなっているわけですね。
ところで、この曲げモーメントの式を、もう一度、xで表してみましょう。
ですね。ここで、梁に分布荷重が作用したときの曲げモーメントを考えてみましょう。
計算過程は省略します。曲げモーメントは
です。勘のいい人は気づかれたかもしれません。そう、梁の曲げモーメントとアーチの曲げモーメントが同じ式になりました。アーチと梁では、本質的に異なりますが、例えば、中央に作用する曲げモーメントは全く同じになります。
梁は曲げモーメントによって鉛直力を水平に伝える構造機構です。それと比べてアーチは軸力によって、力を伝達する構造機構なので、部材断面を効率的に使用できる等の利点があります。
しかし、半円アーチの部材力を確認すると、大きい曲げモーメントやせん断力が作用しているため、半円アーチは、アーチとしての利点をあまり活かすことのできない構造形式と言えるでしょう。次は、カテナリーについて求めてみます。
混同しやすい用語
静定アーチ
支点の拘束条件が釣り合い条件式の数(3式)と一致しており、反力をつり合い式のみで解くことができる静定構造のアーチ。
不静定アーチ(支点反力が釣り合い条件だけでは解けない)と異なり、余分な拘束がないため解析が容易だが、冗長性がない分外力変化に敏感な構造でもある。
アーチと梁の違い
梁は主に曲げモーメントによって荷重を支えるのに対して、アーチは軸力(圧縮力)によって荷重を伝達し、断面を効率的に使用できる。
ただし、アーチの形状(カテナリー曲線など)が荷重分布に適していない場合は曲げモーメントが生じ、梁との優位性の差が小さくなることに注意が必要。
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