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ブレース構造とは何か?

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構造力学の教科書をみると、『ラーメン構造』や『トラス構造』の解き方は書いてあるのに、ブレース構造の解き方は書いていません。


それは、とても簡単だから、という理由でしょうか。又は、トラス構造の解き方が書いてあるから説明不要、ということでしょうか。


鋭い人は、トラス構造とブレース構造が同じこと、と気づくかもしれません。しかし、僕が初学者だった時のように、『専門用語』が1つ違うだけで、これは違う構造だと思ってしまうのです。


今回は、そんなブレース構造の解き方について紹介します。※構造形式の種類、トラス構造の仕組みは、下記が参考になります。

構造形式とは?1分でわかる意味、種類、ラーメン構造、トラス構造

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ブレース構造の仕組み

ブレース構造とは、ラーメン構造に次いで採用されている構造形式です。ラーメン構造が、柱と梁を剛強に接合して地震や長期荷重に耐え構造に対して、


ブレース構造は、『ブレース』と呼ばれる斜め部材で地震力を負担させ、合理的に部材断面を使うことができます。


※ラーメン構造も合わせて知りたい方は、下記を参考にしてください。

ラーメン構造とは?1分でわかる意味、特徴、由来、メリットとデメリット


なぜ、ブレース構造が合理的かというと、ブレースには軸力しか作用しないからです。


それは、トラス構造をみると良くわかるように、柱と梁、ブレースによって三角形が造られるからです。


曲げモーメントでは少ししか荷重を負担できない部材でも、軸力なら沢山の荷重を負担できます。

トラス構造とは?1分でわかるメリット、デメリット、計算法

軸方向力とは?1分でわかる意味、読み方、軸力との違い、求め方、圧縮軸力と引張軸力


物理的なロジックは片隅において考えます。細い棒は手で簡単に曲がりますが、引張って、変形させようと思っても、中々難しい。


つまり、軸力で力を伝達することは、小さな部材で大きな力を伝達できる方法なのです。

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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ブレース構造で留意する点

ブレース構造で留意する計算項目は3つあります。下記の通りです。

上記の3点について、それぞれ説明します。

ブレースの応力算定

まず、ブレースの応力算定で注意が必要な点は、水平力がベクトル分、割増されること。水平力の方向は、XかY方向です。


この方向は、どちらも水平な力です。しかし、対するブレースは斜め部材なので、α=斜め長さ/水平長さだけの割増が地震力に掛かってきます。


次にブレースの断面算定です。一般的にブレースは引張力にだけ効かせます。


どういうことかといと、先ほど書いたようにブレースは細い断面で大きな荷重を負担できます。


しかし、地震力は正負で作用するので、必ず引張、圧縮力の両方が作用します。しかし、部材を細くすると、『座屈』し、とても荷重を負担できるものではありません。

座屈とは?座屈荷重の基礎知識と、座屈の種類

引張、圧縮とは?1分でわかる意味、違い、符号、強度の関係


よって、ブレースは普通『タスキ掛け(バッテンのブレース)』にするのです。


こうすれば、正負両方の地震力が作用しても、引張力が作用するブレースを設計すれば良いのです。


もちろん、座屈に耐えうるブレースにすれば、片側だけブレースを配置してもOKです。


例えば、アングル材とかチャンネル材とか、座屈耐力のある部材は正負両方向に耐えられます。但し今回は、引張ブレースのみを話題にしましょう。

※アングル材、チャンネル材の特徴については、下記が参考になります。

アングル材の規格が丸わかり!等辺山形鋼のサイズと断面性能

溝形鋼の規格が丸わかり!溝形鋼のサイズと断面性能


また、ここで言うブレースは、あくまでも地震力に耐えるブレースのことを言います。一般的にブレースは耐震要素です。


長期荷重は負担させないのが普通なのです。※地震力については、下記が参考になります。

ブレースの断面算定

さて、引張ブレースの断面算定でも注意点があります。それは、断面積と有効断面積を間違えないこと。


有効断面積とは、断面積からボルト穴や偏心曲げの影響を考慮して、断面積を小さく見積もるのです。


場合によっては、断面積の半分程度まで有効断面積が小さくなることも。必ず有効断面積により検討を行いましょう。


ブレース材の有効断面積の考え方については、下記が参考になります。

断面積と有効断面積ってなに?ブレースの断面算定

ブレースの保有耐力接合

これはブレース材の全強よりも接合部耐力が上回るようにする設計法です。詳細な計算は下記が参考になります。

接合部の保有耐力接合と計算方法

ブレース構造の応力算定

下図に示すブレース構造の応力算定を行いましょう。


まず、反力を算定します。水平力Pが作用しています。片側はローラー支点なので、反力はPです。


また、鉛直反力ですが、P×L/L=Pが求められます。外力として鉛直荷重は作用していないので、


鉛直荷重がトータルで0になるためには、鉛直反力=『P又はーP』です。


いまブレースに作用する軸力は支点に作用する反力と釣り合います。左側の支点に着目すれば、水平反力―P、鉛直反力―Pです。


つまり、この合力はP×√2です。よって、釣り合う軸力は、√2P=1.4Pです。


但し、こんなに丁寧に反力を求めなくても作用する水平力Pに対して、ブレースに発生する軸力は、N=P×αです。


α=H/L(Hは構造物高さ、Lは構造物スパン)。


あとは断面算定をするのですが、有効断面積に関しては、下記が参考になります。

断面積と有効断面積ってなに?ブレースの断面算定

まとめ

今回は、ブレース構造について説明しました。ラーメン構造と比べると、注意すべき点が多くあります。特に接合部の設計は間違えやすい項目ですから、注意しましょう。

筋交いとは?1分でわかる役割、効果、寸法、ブレースとの違い

ラーメン構造とは?1分でわかる意味、特徴、由来、メリットとデメリット

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