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構造力学の教科書をみると、『ラーメン構造』や『トラス構造』の解き方は書いてあるのに、ブレース構造の解き方は書いていません。
それは、とても簡単だから、という理由でしょうか。又は、トラス構造の解き方が書いてあるから説明不要、ということでしょうか。
鋭い人は、トラス構造とブレース構造が同じこと、と気づくかもしれません。しかし、僕が初学者だった時のように、『専門用語』が1つ違うだけで、これは違う構造だと思ってしまうのです。
今回は、そんなブレース構造の解き方について紹介します。※構造形式の種類、トラス構造の仕組みは、下記が参考になります。
構造形式とは?1分でわかる意味、種類、ラーメン構造、トラス構造
ブレース構造とは、ラーメン構造に次いで採用されている構造形式です。ラーメン構造が、柱と梁を剛強に接合して地震や長期荷重に耐え構造に対して、
ブレース構造は、『ブレース』と呼ばれる斜め部材で地震力を負担させ、合理的に部材断面を使うことができます。
※ラーメン構造も合わせて知りたい方は、下記を参考にしてください。
ラーメン構造とは?1分でわかる意味、特徴、由来、メリットとデメリット
なぜ、ブレース構造が合理的かというと、ブレースには軸力しか作用しないからです。
それは、トラス構造をみると良くわかるように、柱と梁、ブレースによって三角形が造られるからです。
曲げモーメントでは少ししか荷重を負担できない部材でも、軸力なら沢山の荷重を負担できます。
軸方向力とは?1分でわかる意味、読み方、軸力との違い、求め方、圧縮軸力と引張軸力
物理的なロジックは片隅において考えます。細い棒は手で簡単に曲がりますが、引張って、変形させようと思っても、中々難しい。
つまり、軸力で力を伝達することは、小さな部材で大きな力を伝達できる方法なのです。
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ブレース構造で留意する計算項目は3つあります。下記の通りです。
上記の3点について、それぞれ説明します。
まず、ブレースの応力算定で注意が必要な点は、水平力がベクトル分、割増されること。水平力の方向は、XかY方向です。
この方向は、どちらも水平な力です。しかし、対するブレースは斜め部材なので、α=斜め長さ/水平長さだけの割増が地震力に掛かってきます。
次にブレースの断面算定です。一般的にブレースは引張力にだけ効かせます。
どういうことかといと、先ほど書いたようにブレースは細い断面で大きな荷重を負担できます。
しかし、地震力は正負で作用するので、必ず引張、圧縮力の両方が作用します。しかし、部材を細くすると、『座屈』し、とても荷重を負担できるものではありません。
よって、ブレースは普通『タスキ掛け(バッテンのブレース)』にするのです。
こうすれば、正負両方の地震力が作用しても、引張力が作用するブレースを設計すれば良いのです。
もちろん、座屈に耐えうるブレースにすれば、片側だけブレースを配置してもOKです。
例えば、アングル材とかチャンネル材とか、座屈耐力のある部材は正負両方向に耐えられます。但し今回は、引張ブレースのみを話題にしましょう。
※アングル材、チャンネル材の特徴については、下記が参考になります。
また、ここで言うブレースは、あくまでも地震力に耐えるブレースのことを言います。一般的にブレースは耐震要素です。
長期荷重は負担させないのが普通なのです。※地震力については、下記が参考になります。
さて、引張ブレースの断面算定でも注意点があります。それは、断面積と有効断面積を間違えないこと。
有効断面積とは、断面積からボルト穴や偏心曲げの影響を考慮して、断面積を小さく見積もるのです。
場合によっては、断面積の半分程度まで有効断面積が小さくなることも。必ず有効断面積により検討を行いましょう。
ブレース材の有効断面積の考え方については、下記が参考になります。
これはブレース材の全強よりも接合部耐力が上回るようにする設計法です。詳細な計算は下記が参考になります。
下図に示すブレース構造の応力算定を行いましょう。
まず、反力を算定します。水平力Pが作用しています。片側はローラー支点なので、反力はPです。
また、鉛直反力ですが、P×L/L=Pが求められます。外力として鉛直荷重は作用していないので、
鉛直荷重がトータルで0になるためには、鉛直反力=『P又はーP』です。
いまブレースに作用する軸力は支点に作用する反力と釣り合います。左側の支点に着目すれば、水平反力―P、鉛直反力―Pです。
つまり、この合力はP×√2です。よって、釣り合う軸力は、√2P=1.4Pです。
但し、こんなに丁寧に反力を求めなくても作用する水平力Pに対して、ブレースに発生する軸力は、N=P×αです。
α=H/L(Hは構造物高さ、Lは構造物スパン)。
あとは断面算定をするのですが、有効断面積に関しては、下記が参考になります。
今回は、ブレース構造について説明しました。ラーメン構造と比べると、注意すべき点が多くあります。特に接合部の設計は間違えやすい項目ですから、注意しましょう。
ラーメン構造とは?1分でわかる意味、特徴、由来、メリットとデメリット
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