この記事の要点
屋根勾配は使用する屋根材によって最低限の勾配(最小勾配)が決まり、勾配が不足すると雨漏りリスクが高まります。
勾配は意匠(デザイン)面でも建物の印象を大きく変えるため、屋根材の制約を守りながらデザインを検討します。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
屋根の形状を決めたら、次は屋根勾配を決めないといけません。もちろん、専門家が決めるのが普通ですが、
屋根勾配は外観んも影響するので勝手に決められたくありませんよね。そこで今回は、屋根勾配の決め方や外観の違いについて特集します。
屋根勾配には、大抵決まりがあります。細かく角度を測って決めているわけではありません。
例えば、10:3の勾配や10:4と表記します。つまり、高さが3に対して長さが10になる勾配を意味するのです。
角度で表記すると、現場で職人さんが決めることができません。その点、上記のような屋根勾配の決め方だと、職人さんも直接部材の長さを図って勾配を合わせることができるのです。
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
屋根勾配は単に水を流す角度を決めているわけではありません。大きな変化は外観に現れます。
例えば、屋根勾配をきつくすると、外観上もスッキリした印象になります。切妻屋根で屋根勾配をきつくすると、
先端のとんがり部分がとがってみえるので、モダンな印象です。一方、普通の住宅のように屋根勾配を緩くすると、
どこか野暮ったい平凡なイメージになります。屋根勾配をなくすと、陸屋根といって、どこにでもあるマンションのようになります。
屋根勾配は外観を決めるといっても、一番の理由は雪や水の流れをよくするために決めています。
そして、雪や水は地域によって降る量に差がありますから、屋根勾配も変わってきます。
定性的に言われているのは、雪国は屋根勾配がきつくなることです。その理由は、雪が流れやすいからです。
屋根に雪が積もると、雪の荷重がどんどん増えて屋根をつぶす可能性があります。
そのため、自然と雪が落下するように、屋根勾配をきつくしているのです。
先に述べたように雪国では屋根勾配はきつくなります。角度が60°以上場合もあります。
また、屋根勾配をきつくした最たる例が、岐阜県の白川郷でしょう。白川郷は屋根勾配をきつくするだけでなく、
屋根を地面までおろして壁と同じ同一化させたのです。これで、雪は直接地面に落下します。
一方、屋根勾配をきつくすると、風圧力を受けやすいというデメリットもあります。平たい屋根なら当然風を受けません、
屋根が壁のようになるので、風を受けますよね。しかし、雪国では雪荷重が顕著なので、白川郷は合理的な方法です。
実は、屋根勾配は屋根材によって決まっていることを知っていましたか?屋根材には必要最低限の屋根勾配が決まっています。
例えば、金属屋根の場合1:10の屋根勾配が最低限必要です。つまり、フラットな屋根にはできないという意味ですね。
もし、0:10までOKなら、金属屋根は勾配無しでもOKということです。瓦屋根は4:10が最低の屋根勾配です。
雪国でない一般的な地域だと、この屋根勾配が多いです。他にもスレート屋根なら3:10という決まりがあります。
雪国は屋根勾配がキツイことを説明しました。屋根勾配をきつくすることで、雪を落下させやすくして、
屋根がつぶれないようにする目的でしたね。では、屋根勾配を逆に緩くするとどんなメリットがあるのでしょう。
これは、逆に雪荷重を受けやすくなります。しかし、雪が積もらない地域では関係ありません。
しかし、風を受ける面積が減るので台風が多い地域では屋根勾配を緩くした方がメリットがあります。
以上のように、屋根勾配は業者さんに勝手に決めてもらうと、自分のイメージと全く違う建物になってしまいます。
屋根勾配は少し変わるだけで外観を大きく変えるので、工務店やメーカーに依頼して立体パースを造ってもらいましょう。
もちろん、最低限の屋根勾配は守る必要がありますが、きつくしてはいけない理由はありません。
自分の思い通りのデザインになるように試行錯誤して決めたいですね。
混同しやすい用語
屋根勾配(やねこうばい)
屋根面の傾斜の角度・割合。「寸法勾配(10分の○勾配)」や「角度(度)」で表す。屋根材によって必要な最小勾配が異なる。勾配が大きいほど排水性が高まるが、施工コストも上がる傾向がある。
屋根材(やねざい)
屋根の仕上げ材料(瓦・スレート・金属板・アスファルトシングルなど)。種類によって最小勾配が決まっており、平板瓦は4寸以上、金属板は1?2寸程度が一般的。勾配を決めるうえで屋根材の選定が先行する場合が多い。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
一級建築士試験(計画・施工)では屋根材の種類と特徴、適切な勾配が出題されることがあります。「金属板葺きは低勾配が可能」「粘土瓦は急勾配が一般的」など材料ごとの特徴を整理しておきましょう。また勾配不足による雨漏り・防水不良は施工上の重大な問題となるため、最小勾配を守ることの意義も覚えてください。