この記事の要点
横補剛材は大梁の横座屈を防止するための部材で、専用部材を設ける場合と大梁に接続する小梁を兼用する場合があり、横力・偏心モーメントに対して設計する必要がある。
横補剛材の必要本数は鋼材の種類(400級・490級)に応じた細長比の式から算定し、均等配置か端部配置かによって計算式が異なる。
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横補剛材(よこほごうざい)とは、大梁(変形能力の確保を要する梁)の横座屈防止のために必要な部材です。
横補剛のための部材を設けることもありますが、大梁と接続する小梁を横補剛材として用いることも多いです。

一般に、大梁と小梁の天端は揃っていることが多いです。また、床を鉄筋コンクリート造のスラブとすることも多く、
この場合、鉄骨梁上端にスタッドを打ち、スラブと一体化させます。
つまり、大梁上端の移動はこれらの部材で拘束されているため、大梁の横座屈は「大梁下端」で生じる恐れがあります。

大梁に横座屈が起きるとき横に力が作用します。この横力Fに対して横補剛材が耐えられるか(ボルト、ガセットプレートも含む)を設計します。
なお、横補剛材の検討方法は建築センターによせられた質問回答(日本建築センター:「ビルディングレター」(2010 年 8 月))が参考になります。
さて、大梁下端の横座屈に伴う横力Fは下式で算定します。

σyは大梁の降伏強度、Aは大梁の断面積です。つまり、大梁の全断面積の1/2の2%が横力として作用すると考えます。
上式の横力により、横補剛材には下記の応力が作用します。
・横力による軸力(圧縮力または引張力)
・横力と横補剛材芯までの偏心距離分の付加曲げモーメント
小梁が横補剛材を兼ねている場合、小梁には床荷重だけでなく上記の応力を追加して断面算定を行います。さらに、大梁と横補剛材を接合するボルト、ガセットプレートには下記の応力が作用します。
・横力によるせん断力
・大梁下端からボルト群芯までの偏心距離による付加曲げモーメント
ボルトに生じる付加曲げモーメント(によるせん断力)は、ボルトの許容耐力に対して大きく、横補剛材の検討でボルト本数を増やすことも多いです。
ガセットプレートは付加曲げモーメントに対して、必要な厚みが確保できているか断面査定します。
なお、小梁に配置できないほどボルトが必要になる場合、下図のように大梁下端と小梁下端の間に方杖を設置して、
横座屈による横力をそのまま方杖で負担する方法も考えられます。力の伝達方法としては非常に明快です。

また、横補剛材の検討では"横補剛材の剛性が確保されているか"確認します。適切な剛性が確保されてなければ、
横座屈による横力を横補剛材が負担できないからです。横補剛材としてのみ使用する場合と、小梁を横補剛材として使う場合で計算式が下記のように変わります。
・横補剛材としてのみ使う場合の剛性の検討式 ⇒ K=2・Ab・E/L>5.0σy・A/(2lb)
σy:大梁の降伏強度(N/mm2)
A:大梁の全断面積(mm2)
lb:横補剛区間長さ(補剛間隔)(mm)
Ab:横補剛材の全断面積(mm2)
E:横補剛材のヤング係数(N/mm2)
L:横補剛材の部材長(mm)
・小梁を横補剛材として使う場合の剛性の検討式 ⇒ K=F/δ>5.0σy・A/(2lb)
δ=θ・e+F・L/(E・Ab)
θ=M・L/(3E・I)=F・e・L/(3E・I)
K:補剛材の剛性(N/mm)
θ:補剛材の回転角
δ:大梁の横たわみ(mm)
σy:大梁の降伏点強度(N/mm2)
A:大梁の全断面積(mm2)
Ab:横補剛材の全断面積(mm2)
lb:横補剛区間長さ(補剛間隔)(mm)
E:横補剛材のヤング係数(N/mm2)
I:横補剛材の断面2次モーメント(mm4)
L:横補剛材の部材長(mm)
e:偏心距離(mm)
さて、大梁の横座屈防止のための横補剛材は所定の計算により必要本数を求めます。
このとき"横補剛材を均等配置する場合"と"端部に横補剛材を配置する場合"の2つについて検討を行ってよいです。検討方法を下記に示します。
①はり全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合
・λy ≦λ=170 + 20n(400ニュートン級炭素鋼のはりの場合)
・λy ≦λ=130 + 20n(490ニュートン級炭素鋼のはりの場合)
・λy =L/iy
横補剛材を等間隔に割り付けるとき、横補剛数は上式を変形して算定できます。必要本数nが「等間隔に並ぶ」ように横補剛材の必要間隔を算定します。
400級の鋼材を用いた場合の必要間隔は
・Lb=iy×(170+20×n)÷(n+1)
です。iyは断面二次半径です。490鋼材を用いるときは、170を130に変更して計算します。
分母で梁長さを逆算し、分子で横補剛の必要本数nが入ったときの床面数を表しています。
Lbを超えたスパンにはできないので、そもそも横補剛材が均等間隔に配置できない場合は注意が必要です。
梁の端部に近い部分に横補剛材を設ける場合の計算式は下記の通りです。
②主としてはり端部に近い部分に横補剛を設ける場合
・lbmax = min( 250・(Af/h) , 65・iy )(400ニュートン級炭素鋼のはりの場合)
・lbmax = min( 200・(Af/h) , 50・iy )(490ニュートン級炭素鋼のはりの場合)
混同しやすい用語
横座屈
大梁が面外(弱軸)方向にはらみ出す座屈現象で、梁下端で生じやすく、横補剛材によって防止される。
軸力による柱の座屈(オイラー座屈)とは異なり、横座屈は曲げモーメントを受ける梁で生じる現象であり、弱軸方向の変形拘束が対策となる。
横補剛材の剛性
横座屈による横力Fに対して梁が変形しないよう拘束する能力で、「K=2Ab・E/L>5.0σy・A/(2lb)」で確認する。
横補剛材の必要本数(強度)とは別に剛性の検討も必要であり、本数が揃っていても剛性が不足すれば横座屈を防止できない点が異なる。
横補剛材を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 目的 | 大梁の横座屈を防止する | 変形能力確保に必要な部材 |
| 横補剛材の種類 | 専用部材または大梁と接続する小梁を兼用 | 小梁兼用が一般的 |
| 必要横力 | F=0.02・σy・A/2 | 強度と剛性の両方の検討が必要 |
今回は横補剛材の意味、検討方法について説明しました。横補剛材(よこほごうざい)とは、大梁(変形能力の確保を要する梁)の横座屈防止のために必要な部材です。
横補剛のための部材を設けることもありますが、大梁と接続する小梁を横補剛材として用いることも多いです。
横補剛材の間隔の計算例、横座屈の詳細は下記が参考になります。
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試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では横補剛材の目的(横座屈防止)、大梁に作用する横力F=0.02・σy・A/2、小梁兼用の可否などが出題される。
横補剛材には強度(必要本数)と剛性の両方の検討が必要なことを理解し、小梁兼用時は床荷重に加えて横力・偏心モーメントも算入する手順を押さえておこう。