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たわみの微分方程式は?導出、単純梁、片持ち梁のたわみの微分方程式と境界条件

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たわみの微分方程式は「d2y/dx2=-M/EI」です。Mは曲げモーメント、Eはヤング率、Iは断面二次モーメントです。


よって、たわみは曲げモーメントの式を2重積分すれば算定できます。今回は、たわみの微分方程式、導出、単純梁、片持ち梁のたわみの微分方程式と境界条件について説明します。


たわみ、梁のたわみを求める方法の詳細は下記が参考になります。

たわみとは?1分でわかる意味、求め方、公式、単位、記号、計算法

梁のたわみを求める方法

たわみの微分方程式は?導出は?

たわみの微分方程式


たわみの微分方程式1


です。Mは曲げモーメント、Eはヤング係数、Iは断面二次モーメント(E、Iは定数)です。


よって、曲げモーメントの式を2重積分すれば、たわみyを算定できます。では、前述に示した「たわみの微分方程式」を導出します。


たわみを求める微分方程式は曲率と曲げモーメントの関係からなります。下図に示すように曲げモーメントのみ作用してたわみが生じる梁を考えます。


たわみの微分方程式2


梁の一部を取り出して拡大すると、梁は下側で伸び上側は圧縮されます。このとき「平面保持の仮定」より図のAB断面、CD断面は変形後も平面かつ中立軸と直交すると考えます。


たわみの微分方程式3


上図に示すような微小部分の梁の長さ(A'-D間)をdxとします。さらに、長さdxや伸びは曲線ですが微小であるため直線とすれば、図のような変形図として示されます。


中立軸から任意の点yにおける伸び量をΔdxとするとき、元の長さdxからΔdxの伸びが生じるときのひずみは


たわみの微分方程式4


です。相似の関係より上式は曲率半径ρ、たわみyを用いて


たわみの微分方程式5


です。また 応力度σとひずみεの関係より


たわみの微分方程式6


となり、点yにおける微小断面dAに上式の応力度σが生じることになります(下図)。


図のように曲げ応力度は中立軸(応力度が0となる軸)を境に上側に圧縮応力度、下側に引張応力度が生じます。


たわみの微分方程式7


さて、梁には曲げモーメントMのみ作用しており軸力Nは0だから、力のつりあいを考えると下式の全断面積についてΣH=N=0が成り立ちます。


たわみの微分方程式8


Eとρは定数なのでN=0のとき∫ydA=0となります。つまり、断面一次モーメント(∫ydA)が0であることを意味します。


図心周りの断面一次モーメントは0なので、上式が成り立つとき中立軸と図心軸は一致します。逆にいえばN≠0の場合、中立軸は図心と一致しません。


さらに、曲げモーメントMは中立軸における応力度によるモーメントの総和に等しいので


たわみの微分方程式9


となります。∫y2dAは断面二次モーメントなので


たわみの微分方程式10


が得られます。1/ρは曲率を意味するので上式を曲率について整理すると


たわみの微分方程式11


となり、前述の式は曲率と曲げモーメントの関係を示します。さらに曲率を表す式との関係を整理すると


たわみの微分方程式12


が得られます。上式のようにたわみ曲線を求める微分方程式(たわみの微分方程式)が導出できました。

曲率を表す式と理論式の誘導

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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単純梁、片持ち梁のたわみの微分方程式と境界条件は?

前述した「たわみの微分方程式」を用いて梁のたわみを求めます。梁のたわみを求める手順を示します。


1.曲げモーメントを求める

2.曲げモーメントを微分方程式に代入し積分を行う

3.支持条件を与えて積分定数を求める

4.たわみの最大値を求める


なお、梁の曲げモーメントを求める方法は解説済みなので省略します。下図に示す梁のたわみを求めます。


梁のたわみを求める手順13


曲げモーメントは下記の通りです。


[0から L/2の区間]

Mx = Px /2

[L/2から Lの区間]

Mx =P (L-x)/2


上記の区間について微分方程式を解きます。まず、0から L/2の区間について下式に曲げモーメントを代入すると


梁のたわみを求める手順14


上式の両辺について1回積分すると


梁のたわみを求める手順15


となります。上式はたわみ角を表します。上式をさらに1回積分すると


梁のたわみを求める手順16


です。


次にL/2から L区間について求めます。微分方程式に曲げモーメントを代入すると


梁のたわみを求める手順17


L-x=uと置き換えると


梁のたわみを求める手順18


となるので両辺を積分すると


梁のたわみを求める手順19


また、同様の手順でさらに1回積分すると


梁のたわみを求める手順20


を得ます。


積分定数(未知数)が4つあるので境界条件(支持条件)と連続条件(関数の連続性)を用いて解きます。まず、支点にはたわみは発生しないので境界条件は以下のように、


x=0、y1=0(0からL/2の区間)

x=L、y2=0 (L/2からLの区間)


です。以上の条件より


梁のたわみを求める手順21


です。連続条件は荷重より左側のたわみy1と荷重より右側のたわみy2に共通した条件です。いずれの場合も長さL/2とき、たわみ、たわみ角ともに同様の値です。


x=L/2、y1= y2より


梁のたわみを求める手順22


x= L/2、θ1=θ2より


梁のたわみを求める手順23


となります。以上よりA、Cを含む2式の連立方程式を解くと


梁のたわみを求める手順24


です。さらにAおよびCを代入すると、たわみ曲線の式は


梁のたわみを求める手順25


となります。

たわみとは?1分でわかる意味、求め方、公式、単位、記号、計算法


さて、梁に生じるたわみの最大値はどの位置になるかは、数学の極大値、極小値を求める方法を使います。下記に手順を示します。


1.たわみの式を1回微分する。

2.1回微分して得られた式=0としてxの値を計算する。


y1のたわみを1回微分すると


梁のたわみを求める手順26


上記よりx=L/2の地点で最大のたわみが発生します。たわみ曲線の式にx=L/2を代入して、たわみの最大値を求めると


梁のたわみを求める手順27


です。


次は図に示す片持ち梁のたわみを求めます。


梁のたわみを求める手順28


0からLの区間に生じる曲げモーメントは


梁のたわみを求める手順29


です。式に曲げモーメントを代入すると、


梁のたわみを求める手順30


式の両辺を積分すると


梁のたわみを求める手順31


です。支点のたわみは0なのでx=0、y1=0となり固定端では回転はしないためx=0、θ1=0になります。よって


梁のたわみを求める手順32


になります。以上より、たわみとたわみ角は


梁のたわみを求める手順33


です。x=Lのたわみ及びたわみ角は最大となるので


梁のたわみを求める手順34


です。片持ち梁のたわみの導出方法は下記が参考になります。

片持ち梁のたわみを求める方法

まとめ

今回は、たわみの微分方程式について説明しました。たわみの微分方程式は「d2y/dx2=-M/EI」です。


Mは曲げモーメント、Eはヤング係数、Iは断面二次モーメントで、EとIは定数です。よって、xの関数である曲げモーメントの式を二重積分すれば、たわみyが算定できます。


たわみの意味、梁のたわみを求める方法の詳細など下記も勉強しましょう。

たわみとは?1分でわかる意味、求め方、公式、単位、記号、計算法

梁のたわみを求める方法

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