この記事の要点
テンソルとは座標変換に対して一定の変換法則に従う量の総称であり、スカラー(0階)・ベクトル(1階)・応力やひずみ(2階)・弾性係数(4階)などがテンソルとして表現される。
3次元の応力状態はベクトルだけでは表現できないため、2階テンソル(9成分の行列)を用いる。テンソルの概念を理解することで弾性力学の方程式と有限要素法の基礎が一貫して理解できるようになる。
この記事では、テンソルとは何かを整理します。
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弾性力学は材料力学で勉強した内容を3次元に拡張したものです。材料力学で用いた理論は、ベクトルによる表示が多かったわけですが、3次元の問題では
ベクトル表示だけでは、応力や変位等の情報を表現することができません。そこで、テンソルという概念を用いて、三次元問題の方程式に拡張します。ここでは、
テンソルの定義やベクトル及びスカラーとの関係について勉強しましょう。
1階テンソルの定義を2つの指標をもつ9個の成分を持つ量に拡張します。
すなわち、座標系xiにおいて9個の成分Tijを、別の座標系x'iにおいても9個の成分T'ijをもち
のように変換されるとき、Tijのことを2階のテンソルといいます。
同様に、たとえば、4個の指標をもつ81個の成分SijklとS'mnstが
なる変換法則に従うとき、4階のテンソルといいます。
また、一般にn階のテンソルはつぎのように定義することができます。
2階のテンソルに代表されるのは「応力」や「ひずみ」です。例えば、物体の応力は切断面によって値が変わってきますね。
つまり、応力は絶対的な値を持っているわけではなく相対的に表すものです。テンソルで表しておけば、
その成分をひとまとめに書くことができて便利ですよね。ちなみに、4階のテンソルは弾性係数です。
座標系xiについてただ1つの成分φをもち、
また別の座標系x'iについても1つのφ'をもち、座標変換をおこなっても
のようにその値が変わらないとき、φのことをスカラーといいます。例えば、質量がそうですね。
座標系を変えたとしても物体の持つ質量は変化しません。
座標系xiについて3つの成分viを、
また別の座標系x'iでも3つの成分v'iをもち、座標変換によってその成分が
のように変化するとき、viのことをベクトルといいます。ベクトルに代表されるのは力です。
外力は大きさと向きで表現されますね。
さて、ある座標系で何らかのテンソル方程式が得られたとします。
これを書き換えて
とおくとき、明らかにPj1j2…in = 0ですね。よって、別の座標系x'iへこれを変換すると、
P'i1i2…in = 0、すなわち
を得ます。このことは、ある座標系で得られた方程式を座標変換することによって、別の座標系でも同じ形の方程式が容易に得られることになります。
このような性質をテンソルの座標不変性といいます。
混同しやすい用語
スカラー vs ベクトル vs テンソル
スカラーは大きさのみを持つ量(0階テンソル、例:質量・温度)。
ベクトルは大きさと方向を持つ量(1階テンソル、例:力・変位)。
2階テンソルは方向に依存して9成分をもつ量(例:応力・ひずみ)。
階数が増えるほど成分数が増える。
2階テンソル(応力・ひずみ)vs 4階テンソル(弾性係数)
応力σ??とひずみε??はそれぞれ2階のテンソルで9成分をもつ。
弾性係数C????は4階のテンソルで81成分をもつ。
これらはフックの法則σ??=C????ε??の形で関係づけられる。
座標変換 vs 座標不変性
テンソルは座標系が変わっても所定の変換法則に従って成分が変換される。
この性質をテンソルの座標不変性という。
物理現象は座標系の選び方によらないため、テンソルで表すと方程式が座標系に依存しない形で書ける。
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