この記事の要点
柱の座屈計算で必要になる「断面二次半径」は、断面がどれだけ細長いかを表す指標だ。
断面二次モーメントと断面積から計算でき、形状によって公式が変わる。
主要断面形状ごとの公式と、座屈設計への応用を整理する。
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断面二次半径の計算ツールを下記に示します。
下ツールでは下図に示すB、H、b、hを入力することで、四角形、角パイプ、H形鋼、溝形鋼の断面二次半径を算定できます。
四角形、角パイプ、H形鋼、溝形鋼は建築物の構造部材に頻繁に用いる断面です。
なお、単位はcm、mm、mと何でもよいですが、各値を入力するときは単位を合わせて値を入力しましょう。
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四角形、角パイプ、H形鋼、溝形鋼、円形、パイプの断面二次半径の公式は下記の通りです。
混同しやすい用語
断面二次半径(i)
i=√(I/A)。
単位は長さ(cm・mm)。
角パイプやH形鋼ごとに公式が異なる。
細長比(λ)
λ=lk/i。
座屈荷重の計算に使う無次元の指標。
幅 B = 100mm、高さ H = 200mm の長方形断面の断面二次半径 i を求めよ。
断面二次モーメントと断面積を求める。
$$I = \frac{BH^3}{12} = \frac{100 \times 200^3}{12} = 66{,}666{,}667 \text{ mm}^4$$ $$A = B \times H = 100 \times 200 = 20{,}000 \text{ mm}^2$$断面二次半径を求める。
$$i = \sqrt{\frac{I}{A}} = \sqrt{\frac{66{,}666{,}667}{20{,}000}} = \sqrt{3{,}333} \approx 57.7 \text{ mm}$$長方形断面では \(I/A = H^2/12\) と整理されるため、\(i = H/\sqrt{12}\) と直接計算できる。
幅 B には依存しない。
外寸 □-150×150mm、板厚 t = 9mm の正方形角パイプの断面二次半径 i を求めよ。
内寸を求める。
$$b = h = 150 - 2 \times 9 = 132 \text{ mm}$$断面二次モーメントと断面積を求める。
$$I = \frac{BH^3 - bh^3}{12} = \frac{150 \times 150^3 - 132 \times 132^3}{12} = \frac{202{,}654{,}224}{12} = 16{,}887{,}852 \text{ mm}^4$$ $$A = BH - bh = 150^2 - 132^2 = 22{,}500 - 17{,}424 = 5{,}076 \text{ mm}^2$$断面二次半径を求める。
$$i = \sqrt{\frac{I}{A}} = \sqrt{\frac{16{,}887{,}852}{5{,}076}} \approx 57.7 \text{ mm}$$同じ外寸の中実正方形断面(i ≒ 43.3mm)より断面二次半径が大きくなる。
材料を外側に分散させた効果により、角パイプは柱部材として座屈に有利な断面形状である。
H形鋼 H-200×200×8×12 を柱として使用する。
有効座屈長さ \(l_k\) = 3,500mm のとき、強軸方向の断面二次半径 \(i_x\) および細長比 \(\lambda\) を求めよ。
断面積を求める(H = 200mm、B = 200mm、ウェブ厚 \(t_w\) = 8mm、フランジ厚 \(t_f\) = 12mm)。
$$A = 2 \times (B \times t_f) + (H - 2t_f) \times t_w = 2 \times (200 \times 12) + 176 \times 8 = 6{,}208 \text{ mm}^2$$断面二次モーメントを求める。
$$I_x = \frac{BH^3 - (B - t_w)(H - 2t_f)^3}{12} = \frac{200 \times 200^3 - 192 \times 176^3}{12} = 46{,}104{,}917 \text{ mm}^4$$断面二次半径と細長比を求める。
$$i_x = \sqrt{\frac{I_x}{A}} = \sqrt{\frac{46{,}104{,}917}{6{,}208}} \approx 86.2 \text{ mm}$$ $$\lambda = \frac{l_k}{i_x} = \frac{3{,}500}{86.2} \approx 40.6$$建築基準法施行令では鋼造柱の細長比は 200 以下と規定されている。
\(\lambda\) = 40.6 は十分小さく、座屈の懸念は低い。
実務では断面表(\(i_x\) ≒ 8.62cm)と照合して確認する。
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▶ 建築士試験ではどう問われる?
この論点は建築士(構造)で出題されます。実際の問題と解き方は S造の過去問解説(分野別・全年度)(無料)で確認できます。
中空断面(角パイプ・H形鋼など)の断面二次半径の計算式を答えてください。
i=√((BH3-bh3)/12(BH-bh)) です(Bは外幅、Hは外せい、b・hは中空部分の寸法)。断面二次モーメント I=(BH3-bh3)/12 を断面積 A=BH-bh で割って平方根をとった値です。
同じ外寸でも角パイプが中実断面より座屈に有利なのはなぜですか。
材料を外側に分散させているためです。例えば□-150×150×9の角パイプの断面二次半径は約57.7mmで、同じ外寸の中実正方形断面(約43.3mm)より大きくなります。断面二次半径が大きいほど座屈に有利な柱断面となります。
細長比の式と、鋼造柱の細長比に関する規定を説明してください。
細長比は λ=lk/ix(lkは有効座屈長さ、ixは断面二次半径)です。例えばH-200×200×8×12(ix≒86.2mm)を有効座屈長さ3500mmの柱に使うとλ≒40.6となります。建築基準法施行令では鋼造柱の細長比は200以下と規定されており、λ=40.6は十分小さく座屈の懸念は低いといえます(根拠:建築基準法施行令)。
