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座屈は、急激に部材の耐力低下を引き起こす現象です。今回は、座屈の意味や座屈の種類について説明します。
よく知られている座屈の1つが「オイラー座屈」です。オイラー座屈の意味は、下記が参考になります。
プラスチック製のものさしを手でつまんで、力を加えます。すると急に「ぐにゃ」と曲がります。簡単に言うと、これが座屈です。
専門的にいえば、「部材が圧縮力を受けるとき、急に面外にはらみ出し、材料強度より遥かに小さい値で耐力低下を起こす現象」です。
下図をみてください。左は細長い柱で、右は太い柱です。両者とも材質、強度は同じと考えます。
一度専門的なことは忘れて、矢印の方向に力を加えたとき、「どちらが先に壊れるか」想像してください。
いかがでしょうか。明らかに、細長い柱の方が壊れやすいですよね。その直感は正しいです。座屈とは圧縮強度に関係なく、細長い柱ほど起き易いのです。
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細長い部材が座屈しやすいことは理解しました。では、具体的に何が座屈に関係しているのでしょうか。今回は、オイラー座屈(棒の曲げ座屈)を例に説明します。
後述しますが、一言で「座屈」と言っても種類があります。細長い部材(柱や梁)の座屈は、オイラー座屈といい、座屈荷重は下式です。
Pcrは座屈荷重(座屈耐力ともいう)Eはヤング係数、Iは断面二次モーメント、Lkは座屈長さ(Lk=α×Lで、αは境界条件に応じた係数、Lは支点間距離)です。
単位はNまたはkNです。本式の導出や、Lkの詳しい意味は下記の記事が参考になります。
座屈荷重は、「この荷重までは座屈が起きない」ことを意味します。例えばPcr=50kNであれば、49kNまでは座屈しません。
式をみてわかるように「π2」の定数を除けば、座屈荷重の大きさは「部材の剛性そのもの」です。
材質が固い材料を使えば座屈荷重は大きくなります。さらに、断面が大きくて、短い部材の方が座屈荷重は高くなります。
また、境界条件の違いも座屈荷重に大きく関係します。両端ピンの柱と、片持ち柱では、
柱の長さ、材質が同じでも座屈荷重は違います(この場合、前者の方が座屈荷重が4倍以上大きいです)。
さて、改めて座屈荷重の式をみてください。
この式に、材料の圧縮強度は一切関係ありません。「座屈は、材料の圧縮強度に無関係に決まる値」です。大切なポイントですから、覚えておきましょう。
もう1つ大切な式を説明します。それが「座屈応力度」です。文字通り、座屈により生じる圧縮応力度を表す値です。座屈応力度は、下式で計算します。
ここで断面二次半径i=√I/Aだから、
です。σcrは座屈応力度、λは細長比といいます。細長比については下記の記事が参考になります。
実は、構造設計の実務では、わざわざオイラー座屈荷重を計算しません。それよりも「細長比」を計算します。理由は、細長比が分かれば「座屈応力度が決まる」からです。
座屈応力度の式をみると、変数は細長比λしかありませんね(建物の構造材料が決定すれば、Eのヤング係数も定数です)。
細長比が大きいほど座屈応力度は小さく、細長比が小さいほど座屈応力度は大きくなります。
下図は、細長比の値に応じた柱の見た目です。細長比が大きくなるに従って、頼りない柱になること(座屈応力度が小さい)が分かって頂けたと思います。
これまでオイラー座屈の話題を中心に説明しましが、実は座屈は様々な種類があります。
前述した細長い棒(柱など)の座屈です。オイラー座屈荷重の計算は、下式で詳細に説明しています。
鉄骨部材は、細長い柱の座屈のように部材全体が座屈をする他に、「部材の一部分が局部的に座屈を起こす」こともあります。
そのような座屈を局部座屈(板の座屈)といいます。局部座屈は、鋼材の板厚が部材幅に比べて小さいとき起き易いです。
前述した理由より、部材幅と板厚による比率で局部座屈の置きやすさを判断します。これを幅厚比(円形部材の場合は径厚比)といいます。幅厚比については下記の記事が参考になります。
オイラー座屈荷重を大きくしても、局部座屈しては意味がありません。よって、部材の選定は2つの座屈に対して安全であるよう設計します。
横座屈は、曲げ応力が作用する部材に起きる座屈です。代表的な部材である梁は、中立軸を境に引張側、圧縮側の応力度が作用します。
この圧縮側の力により、フランジが面外に飛び出す座屈を「横座屈」といいます。横座屈については下記の記事が参考になります。
横座屈は梁で起きやすく、防止するには横補剛材(横座屈を防止する小梁あるいは方杖)を一定区間に入れます。横補剛材については下記の記事が参考になります。
いかがでしたか。学校の授業では、オイラー座屈しか気にしないと思いますが、他にも2つの局部座屈や横座屈があります。
この3つの座屈について、建物は安全であるよう当たり前に設計しています。オイラー座屈だけで満足せずに、残りの座屈についても学びましょう。
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