この記事の要点
スランプ試験とはフレッシュコンクリートの軟らかさ(流動性)を測る試験で、スランプコーンを引き上げた後のコンクリートの沈下量(cm)をスランプ値という。
スランプ値が大きいほど軟らかく施工性が良いが、水セメント比が高くなると強度(Fc)が低下するため、適切な範囲での管理が重要。
この記事では、スランプ試験とは何か、スランプ値はどう読み取るのか、スランプコーンの使い方はどのようなものかを整理します。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
コンクリートの品質を確認する試験に「スランプ試験」があります。
このスランプ試験は、コンクリートを打設する前、必ず行います。
今回はスランプ試験とはなにか、スランプコーンやスランプ値、設計基準強度Fcとの関係について説明します。
似た用語にスランプフローがあります。下記が参考になります。
スランプフローとは?スランプとの違い・許容値・測定方法を解説
コンクリートの品質を確認する試験の1つに、スランプ試験があります。では具体的に、スランプ試験で何の品質が確認できるのか。それは、
ワーカビリティ
コンクリートの均質性
です。
ワーカビリティとは、施工のしやすさ(作業性)を意味します。ご存じのように、コンクリートは固まる前、粘性のある流動体です(以降、生コンという)。
これを型枠に流し込んで、固めるわけですが、配筋されているので、生コンが全体に行き届くよう職人さんが作業します。
しかし、粘性が強い生コンは、全体に行き届かせるよう作業するのが難しくなります。
型枠を抜いたとき、万が一にも「コンクリートが無い部分があって鉄筋が剥き出しになった」なんて在ってはいけません。
逆に生コンの粘性が弱い、つまり流動性の高い生コンなら放っておいても、生コンは全体に行き届くでしょう。
以前までは、この「ワーカビリティ」を重視し過ぎていました。とにかく現場の職人さんが作業しやすいよう、流動性の高い生コンだったのです。
さらに、現場で作業しやすいよう、生コンに水を加えて、品質を度外視した行為も横行していました。
ワーカビリティ、生コンは下記が参考になります。
ワーカビリティとは?スランプとの関係・AE減水剤・コンシステンシーとの違いを解説
フレッシュコンクリートとは?性質・スランプ試験・品質管理を解説
次にコンクリートの均質性について説明します。コンクリートはセメント、粗骨材、細骨材、水を混ぜた材料です。
元々はバラバラの材料を1つに繋ぎ合わせる役目の材料が「セメント」です。
前述したように、施工性を重視した流動性の高いコンクリートは、「水が多く、相対的にセメント量が少ない」ので、
コンクリートの均質性(セメント、細骨材、粗骨材の一体性)が失われ、それぞれが分離しやすくなります。
前置きが長くなりましたが、スランプ試験とは前述したワーカビリティ、コンクリートの均質性を確認します。では、どのように確認するのでしょうか。
セメント、粗骨材は下記が参考になります。
セメントとモルタル、コンクリートの特徴、違いを知るたった1つのポイント
骨材とは?粗骨材と細骨材の違い・コンクリートの配合割合と品質基準
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
前述した2つの品質は、生コンの流動性が関係しています。そのために、下図の道具を使います。「スランプコーン」というものです。
スランプコーンは、上図のように100~200mmの円筒になっています。100mm部分の孔から生コンを入れるためです。
下図のように、スランプコーンが満タンになるよう生コンを詰めます。
その後、ゆっくりとスランプコーンを引き抜きます(実際には、試験方法が細かく規定されています。これは後述します)。
生コンは粘性があるため、スランプコーンを引抜いた後も、円筒の形状を若干保持します。
スランプ値とは、スランプコーンの天端から、引抜いた後の生コンの天端までの距離です。
生コンの粘性が高いほど流動性が低いので、スランプ値は小さくなります。
逆に、流動性の高い生コンは、スランプコーンを引抜くと、形状を保てず流れるでしょう。この場合、スランプ値は大きい値です。
つまり、スランプ試験とは前述した2つの品質を、スランプ値で規定するものです。
スランプ値は、大きすぎても、小さすぎても問題です。但し、高性能AE減水剤の開発など、
水以外でワーカビリティを改善する方法がある現在では、スランプ値は小さい方が良いでしょう。
現在、スランプ値の標準は
18cm以下
とされています。
なお、スランプ値は荷卸し時の値です(生コン工場から現場まで配送し、現場で打設する前)。
よって、運搬中の影響を考慮すべきで、試し練で確認するコンクリートの目標スランプは、
発注するコンクリートの目標値よりも、やや大きくすることが望ましい、とJASS5に明記されています。
※スランプ値の詳細、生コンは下記が参考になります。
コンクリートのスランプ値とは?18cmの根拠と許容値・規定を解説
フレッシュコンクリートとは?性質・スランプ試験・品質管理を解説
前述したように、特別の理由が無い場合は、18cm以下が標準です。
ワーカビリティは、スランプが大きい方が良いですが、スランプが過大になると、粗骨材の分離に繋がります。
ブリーディングなど、問題のあるコンクリートになるのです。
以前までは、施工性を重視するあまり、強度や耐久性が度外視される傾向がありました。以前もスランプ値の上限はありましたが、戦前は24cmです。その後、JASS5の改定と共に、スランプ値は次第に小さくなります。
※コンクリートのスランプ値、JASS5は下記が参考になります。
コンクリートのスランプ値とは?18cmの根拠と許容値・規定を解説
① スランプコーンは、水平に設置した剛で水密性があり平滑な平板上に置いて押さえ、試料はほぼ等しい量の3層に分けて詰める。
② 各層は、突き棒でならした後、25回一様に突く。この割合で突いて材料の分離を生じるおそれのあるときは、分類を生じない程度に突き数を減らす。各層を突く際の突き棒の突き入れ深さは、その前層にほぼ達する程度とする。
③ スランプコーンに詰めたコンクリートの上面をスランプコーンの上端に合わせてならした後、直ちにスランプコーンを静かに鉛直に引き上げ、コンクリートの中央部において下がりを0.5cm単位で測定し、これをスランプとする。
※スランプコーンにコンクリートを詰めはじめてからスランプコーンの引き上げ終了までの時間は、3分以内とする。
混同しやすい用語
スランプ値
スランプコーンを引き上げた後にコンクリートが沈下した高さ(cm)で、コンクリートの軟らかさ(コンシステンシー)を表す。
スランプフローに対して、スランプ値は主に普通コンクリートで用い、流動性の低い一般的なコンクリートの管理指標となる。
スランプフロー
スランプコーンを引き上げた後にコンクリートが広がった直径(mm)で、高流動コンクリートの流動性評価に用いる。
スランプ値に対して、スランプフローは自己充填性コンクリートなどスランプが大きすぎて測定できない場合に使用する。
スランプ試験を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 試験目的 | コンクリートのワーカビリティ(軟らかさ)の確認 | 打設前に実施 |
| スランプ値 | スランプコーンを引き抜いた後の沈下量(単位:cm) | 大きいほど軟らかい |
| 強度との関係 | 水セメント比が大きい(水が多い)ほど強度が低下 | スランプ大=強度小 |
今回はスランプ試験、スランプ値について説明しました。設計者が直接スランプ試験をチェックする機会は少ないと思います。
細かな試験方法は覚えなくても良いですが、コンクリートの、どんな品質をチェックするのか、ざっくりとした概念は覚えておきましょう。
スランプフローとは?スランプとの違い・許容値・測定方法を解説
ワーカビリティとは?スランプとの関係・AE減水剤・コンシステンシーとの違いを解説
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
スランプ試験で確認するコンクリートの品質は?
ワーカビリティ(施工のしやすさ・作業性)とコンクリートの均質性。コンクリート打設前に必ず行う。
スランプ値とは何か。流動性との関係は?
スランプコーンを引き抜いた後の生コンの沈下量(cm)。流動性が低い(粘性が高い)ほどスランプ値は小さく、流動性が高いほど大きくなる。
現在のスランプ値の標準と、水セメント比・強度の関係は?
標準は18cm以下。水セメント比が大きい(水が多い)ほど強度Fcが低下する(スランプ大=強度小)。
