この記事の要点
実務でRCスラブのたわみを確認するとき、毎回計算式から解くことはほとんどなく、RC基準の図表を参照するのが普通だ。
ただ、図表の背景にある計算の意味を理解していないと、値の妥当性を判断できない。
この記事ではRCスラブのたわみ計算の考え方・RC基準の計算図表の使い方・算定手順を解説する。
4辺固定スラブのたわみ係数は梁のたわみ公式(δ=wL⁴/384EI)をベースに、スパン比λによって変化する。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
皆さんRCスラブの応力やたわみを計算するとき、大体が計算図表を引いて4辺の支持条件にそれぞれ合致するモデルを選んであとはスパンを入力して計算していると思います。
 こちらの本が説明が分かりやすくておすすめです。
 では、計算図表の床のたわみはどのようにして算定されているのでしょうか?
実は、そんなに難しい式を使っているわけでもなく、単純な梁モデルから計算されているのです。
さて、上図のような床スラブを右のようにX,Y方向それぞれの梁としてモデル化します。
なぜこのようなモデル化が妥当か?ということについて本来は議論するべきなのでしょうが、今回は省略してこのモデルで問題を解いていきます。
このようなモデル化を行ったとき、X,Y方向にそれぞれwx,wyの荷重が作用しますが、中央の点でのたわみはδx=δyとなります。
次に、両端固定の梁について、たわみの公式は、
ですから、
となります。
中央のたわみはx、y方向どちらであろうが同じなので、δx=δyという式に当てはめて整理します。
また、荷重の関係式を考えると、x、y方向の荷重を足し合わせたものが全体の荷重となるはずです。以上から、
となります。
よって、
となります。
まず、wxをwyの形にします。さらに、wyをwの形に変形すると、一番右の項となります。納得できない人は一度誘導をしてみましょう。
少々、複雑な式となりましたが、ここで何がしたかったのかというと、wx,wxの式に未知の変数を入れたくなかったからです。
当たり前のことなんですが、計算する上で「荷重w」という存在は既知です。
で、求めようとするRCスラブのスパンも既知となりますから、これらからwx,wyが求まると、とても都合が良いわけです。
さて、今誘導しているモデルは単位幅当たりを線材置換して計算しました。よって、幅b=1(m)です。よって、断面二次モーメントIは、
となります。Wxをwの形にすると、
以上より、x方向のたわみは、
となります。
これが、スラブの4辺固定等分布荷重作用時のたわみとなります。
では、本当にこの式がRC基準の計算図表と同じものなのか考えます。
例えば、λ=2.0のとき(λとはLxとLyとのスパンの比です。λ=Ly/Lxで、Ly:長辺、Lx:短辺です。)
LxとLyは、それぞれ2mと1mとしましょう。
となります。かなり式が簡単になってきて、0.03という係数が現れてきました。
RC基準の計算図表を引いてみると、確かにλ=2.0のときのδの係数は0.03となっていますので、誘導の妥当性が確認できました。
4辺固定されたスラブと、両端固定梁との比較を行います。
いつもは分数で表示してあって少数での表し方になれないですが、両端固定等分布荷重が作用した場合の梁のたわみは、
δ=wL4/384EI
です。単位幅で考えれば、I=bh3/12=h3/12です。よって、
δ=wL4/32EI=0.03125wL4/EI
となります。
4辺スラブの係数は0.030303・・・となるので、梁のたわみのほうが大きいことがわかります。
ただし、これはλ=2.0の場合です。
λを変化させていけば、たわみの係数も変化してくるでしょう。
たわみの結果だけ見ると、λ=2.0の場合では、梁と力の流れは変わらないように見えますね。
混同しやすい用語
たわみ(δ)
荷重によって部材が変形する量(変位量)のこと。
単位はmやmmで表される。
「たわみ角(θ)」は変形の傾きを表す角度であり、たわみ量そのものとは区別される。
一方向スラブ vs 二方向スラブ
一方向スラブは短辺方向のみに力が流れるスラブ(スパン比λ≧2)で、たわみ計算は梁と同様に扱う。
二方向スラブはX・Y両方向に力が流れるスラブ(λ<2)で、たわみ係数はスパン比によって変化する。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。
