この記事の要点
有限要素法のコードを実装しようとすると、BマトリクスとDマトリクスを自力で組み立てる必要が出てくる。
どちらも応力計算の中継役だが、役割が違うので混同しないよう整理しておく必要がある。
この記事ではBマトリクスとDマトリクスの定義・有限要素法での役割・剛性行列との関係を解説する。
FEMの手順は「要素分割→変位関数の仮定→Bマトリクス作成→Dマトリクス作成→要素剛性マトリクス定式化→支持・外力条件を適用して解く」という流れであり、BとDの役割を区別して理解することが重要である。
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FEM(有限要素法)とは対象とする領域を有限の要素 に分割し、1つ1つの要素について比較的単純な関数を解くことで、全体の挙動を明らかにしようとする数値解析の手法です。日本語では 有限要素法ですね。
ここでは、有限要素法の概念を数式から勉強し、一般的な定式化について説明します。その後、具体的な要素(定ひずみ三角形要素)について剛性マトリクスの定式化を行い、簡単な解析モデルについてFEMを実行してみましょう。
まず、有限要素法の定式化を行う手順を示します。
1.連続体を「要素」と呼ばれる節点で連結したもので分割する。
1つ1つの要素ごとに方程式を組み立て、これらを重ね合わせることで全体的な挙動を明らかとする。
まずは、要素内の変位場を節点変位で仮定する。
例えば、三角形要素や四角形要素でそれぞれの形状関数を仮定する。
2.要素内の変位関数を与えたら、その変位関数を、歪-変位関係におとしこみ、「Bマトリクス」の作成を行う。Bマトリクスは歪と節点変位の関係を表している。
3.次に、応力ひずみ関係より物体の材料特性を表す「Dマトリクス」の作成を行う。Dマトリクスは、応力歪関係で表した時の「弾性係数のマトリクス」にあたる。
4.以上より、要素内の剛性マトリクスの定式化を行う。
5.支持条件や外力条件より、歪及び応力を求めることができる。さらに、重ね合わせを行い、全領域について解く。
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連続体を有限個の要素として離散化を行います。その要素を取り出して歪と変位の関係について考えてみましょう。
今回はたまたま平面で考えましたが、三次元について考慮するときも大して変わりません。z方向の変位が増えるだけですから。
さて、それぞれの節点についての変位は上図のように表すことができますね。
また、今回の要素は4節点でしたが、より一般化した問題として扱うためにn節点のものと考えても構いません。これを、x,y方向に変位について節点について纏めると次式となります。
上式を纏めると、
となりますね。この式を変位関数と呼びます。具体的にどんな変位関数があるかは、それぞれの要素について勉強する必要がありますね。
次に、歪と変位の関係は次式でBマトリクスは、
となります。
Dマトリクスとは、物体の材料特性を表しています。応力ひずみ関係より
![]()
です。
混同しやすい用語
BマトリクスとDマトリクス
Bマトリクスは変位場の微分演算子と形状関数から導かれる「ひずみ-節点変位関係」を表す幾何学的な行列で、要素の形状・節点座標のみで決まる。
Dマトリクスは材料の弾性係数(ヤング率・ポアソン比)から構成される「応力-ひずみ関係」を表す材料定数の行列で、要素の形状には依存せず材料特性のみで決まる。
等方性と直交異方性のDマトリクス
等方性材料(等方弾性体)のDマトリクスはヤング率Eとポアソン比νの2パラメータで表せる対称行列であり、方向によらず同じ弾性特性をもつ材料に適用される。
直交異方性材料(例:木材・積層板)ではDマトリクスの独立成分が増え、繊維方向とそれに直交する方向で異なる弾性係数が必要になるため、より多くのパラメータを用いる。
BマトリクスとDマトリクスを整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| Bマトリクス | ひずみ{ε}と節点変位{d}の関係({ε}=[B]{d}) | 要素の形状・節点座標から決まる幾何学的行列 |
| Dマトリクス | 応力{σ}とひずみ{ε}の関係({σ}=[D]{ε}) | ヤング率Eとポアソン比νから構成される材料定数行列 |
| 剛性マトリクス[K] | [K]=[B]T[D][B]×V | BとDの積から導出。節点力と節点変位を関係づける |
今回は、有限要素法の定式化に必要なBマトリクスとDマトリクスについて説明しました。
実際には、それぞれ具体的な取り扱いをする場合、三角形要素または四角形要素でBマトリクスの誘導は異なりますし、直交異方性と等方性の弾性係数は違ってきます。分からない人はそれぞれ、当サイト材料力学の応用から勉強してください。
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