この記事の要点
構造解析とは構造部材のあらゆる部分に生じる応力・変形などの力学性状を明らかにすることで、線形モデルによる構造計算より高精度な手法であり、建築では時刻歴応答解析・固有値解析・有限要素解析(FEM)が主に用いられる。
FEM(有限要素法)は構造解析の代名詞的手法で、部材を微小要素に分割して詳細な応力状態・変形性状を把握するために使用し、鉄骨接合部の応力集中解析や大規模建造物の挙動把握などに不可欠である。
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構造解析とは、構造部材のあらゆる部分に生じる応力、変形などの力学性状を明らかにすることだと考えます(※当サイトの定義です)。
似た用語で、構造計算があります。建築でいう構造計算は、部材の応力や変形を求めることで、詳細な力学性状まではわかりません。
構造解析の方が、構造計算よりも高級な手法と考えています。今回は、構造解析の意味、建築で使う手法、目的、femとの関係について説明します。※femについては下記の記事が参考になります。
構造解析とは、構造部材のあらゆる部分に生じる応力、変形などの力学性状を明らかにすることです。
構造計算は、線形モデルした部材の応力、変形を求めるだけです。一方、構造解析では、部材の断面をそのままモデル化し、線形モデルではわからない力学性状まで明らかにします。
構造解析の方が、構造計算よりも高級な手法だと考えてよいでしょう(※ただし、優劣は無いです)。
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構造解析の目的は、下記です。
などです。例えば、鉄骨部材の接合部の力学性状を知りたいとき、FEMにより構造解析を行います。
線形モデルでは、応力集中の状況、微小な変形が把握できないためです。※応力集中については下記の記事が参考になります。
また、スカイツリー建設など国家的なプロジェクトでは、より実状に即した応力、変形性状を把握するため、構造解析が必要です。
ちなみに私は、鉄骨造の接合部に関する研究をしていました。接合部の応力集中、ボルトのすべり、孔壁とボルトとの接触など、FEMを使った構造解析により行いました。
構造解析といっても、建築で使う手法は限られています。主に下記の構造解析があります。
時刻歴応答解析は、建築独自の構造解析です。建物は地震の影響を一番に受けます。
地震により、「どこに力が集中するのか」「揺れ方はどうか」など、実際の地震波を考慮して計算します。下記の記事が参考になります。
固有値解析も、振動の影響を解析する手法の1つです。固有値解析は下記が参考になります。
有限要素解析は、部材のある部分や、接合部など、詳細な力学性状を解析する際、用いる手法です。
最近では、コンピューターの計算速度が上昇し、架構全体をFEMでモデル化した事例もあるでしょう。
構造解析の代名詞が、fem(有限要素法)です。元々、建築ではなく航空分野(機械分野)で開発された解析手法です。
現在は、実務でも良く使う手法です。有限要素法については下記が参考になります。
混同しやすい用語
構造計算と構造解析
構造計算は線形モデルした部材の応力・変形を求める手法であり、応力集中や微小変形の詳細把握には限界がある。
構造解析は部材の断面をそのままモデル化し、応力集中・接触・非線形挙動など詳細な力学性状を明らかにする高精度な手法で、FEMを主なツールとして用いる。
時刻歴応答解析と固有値解析
時刻歴応答解析は実際の地震波(デジタルデータ)を入力し、建物の時間ごとの応答(変位・加速度)を逐次計算する動的解析手法で、建築独自の構造解析として位置づけられる。
固有値解析は建物の固有周期と振動モードを求める手法で、地震応答の大きさを把握する前段階として用いられるが、地震波を直接扱う時刻歴解析とは目的・手順が異なる。
構造解析を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 時刻歴応答解析 | 実際の地震波を入力し建物の時間ごとの応答を計算する動的解析 | 建築独自の解析手法。変位・加速度を逐次計算 |
| 固有値解析 | 建物の固有周期と振動モードを求める手法 | 時刻歴解析の前段階として用いられることが多い |
| 有限要素解析(FEM) | 部材断面をそのままモデル化し詳細な力学性状を解析 | 接合部の応力集中など構造計算では把握困難な挙動を解析 |
今回は、構造解析について説明しました。意味が理解頂けたと思います。
構造解析の方が、構造計算よりも詳細に力学性状が把握できます。建築で使う解析手法を覚えてくださいね。
特に、FEMは研究や実務でも使う機会がありますよ。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では「FEMが用いられる場面(接合部の応力集中、詳細な変形挙動の把握)」や「構造解析と構造計算の違い」が概念問題として出題されることがある。
「構造解析はFEMを主要ツールとし、構造計算より詳細な力学性状を把握できる」という位置づけと、建築で使う3つの解析手法(時刻歴・固有値・FEM)の役割を整理しておくと得点しやすい。