この記事の要点
脆性破壊とは耐力が突然失われる破壊形式で、せん断破壊と座屈が代表例であり耐震設計上最も危険とされる。
靭性のある曲げ破壊と対比させることで、脆性破壊が「なぜ危険なのか」を理解できる。
この記事では、脆性破壊とは何か、種類と延性破壊とどう違うのか、脆性的な破壊とは何か、脆性的とは何かを整理します。
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脆性破壊の意味をご存知でしょうか。脆性破壊は、建物の壊れ方を意味し、建物の耐震性に直結する重要な概念です。今回は、そんな脆性破壊について説明します。
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脆性破壊とは、言葉の通り「脆い性質の破壊」です。なぜ、こんな用語があるかというと、逆に「脆くない破壊」もあるからです。脆性に対して「靭性」といいます。下記が参考になります。
靱性(じんせい)とは?意味・靭性のある材料と建物の耐震性・脆性との違い
脆性破壊の特徴は、「突然、耐力が低下する破壊」といえます。例えば、床を支えている梁が何らかの拍子に床の荷重を支えられず崩壊しました。このとき、梁は脆性破壊を起こしたと判断できるでしょう。
一方、靭性のある壊れ方(靭性破壊とは言わないので、あえて違う書き方をしています)の1つが曲げ破壊です。曲げ破壊は、ある梁が曲げモーメントを伝達できない状態に陥ることです。
しかし、曲げモーメントを伝達できなくとも、鉛直および水平力を伝達できるのなら構造的に成り立ちます(構造的に言えば、ピン支点の状態)。ですから、「突然、耐力が低下する破壊」では無いのです。
※下記の記事で詳細に説明しています。併せて参考にしてください。
塑性ヒンジってなに?1分でわかる塑性ヒンジの意味と、建物の靱性
実は脆性破壊には、いくつか種類があります。代表的な脆性破壊を2つ紹介しましょう。
1つめはせん断破壊です。対になる破壊として曲げ破壊があります。せん断破壊は、主に鉄筋コンクリート造で起きる脆性破壊です。部材に斜めのひび割れ線が一直線に入るような壊れ方をします。
せん断破壊は、部材のせん断耐力に対して作用するせん断力が大きいとき起きます。終局状態では、Qmu>Qsuになると、せん断破壊が先行するため好ましくありません。
過去の地震で、せん断破壊の起きた建物は部材が荷重を支えきれず、倒壊した事例もあります。せん断破壊を防止するには、部材の断面を大きくすることが有効です。鉄筋コンクリート造ならせん断補強筋を十分に入れることで防止することも可能です。
※せん断破壊の詳細は下記が参考になります。
座屈は、主に鉄骨造で起きる脆性破壊です。座屈に関しては下記が参考になります。
簡単に言えば、部材が圧縮力に耐え切れず、ぐにゃっと曲がってしまうような破壊です。せん断破壊と同じく危険な破壊です。
混同しやすい用語
脆性破壊
変形をほとんど伴わずに耐力が突然失われる破壊形式。せん断破壊と座屈が代表例で建物倒壊に直結する。
靭性のある破壊形式(曲げ破壊)が変形しながらも力を伝達し続けられるのに対して、脆性破壊は予兆なく急速に崩壊する。
せん断破壊
部材のせん断耐力を超える力が作用して斜めひび割れが貫通し、急激に耐力が低下する脆性破壊の一種。
座屈が圧縮力による面外変形で生じるのに対して、せん断破壊は主にRC造部材で斜め方向のひび割れとして現れる。
| 項目 | 脆性破壊(せん断破壊) | 延性破壊(曲げ破壊) |
|---|---|---|
| 破壊の特徴 | 前触れなく突然破壊(危険) | 変形しながら徐々に破壊(安全) |
| 発生条件 | せん断耐力 Qsu が曲げ耐力 Qmu より低い | 曲げ耐力 Qmu が先に達する |
| 設計上の対策 | 帯筋・スターラップを増やしせん断耐力を確保 | 塑性ヒンジを梁端に生じさせる |
今回は脆性破壊について説明しました。脆性破壊の意味をよく理解しましょう。また、今回説明した2つの破壊形式は覚えておきたいですね。関連記事として、オイラー座屈の式や座屈耐力は構造設計でも良く使います。理解しておきましょう。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では「脆性破壊と延性破壊(曲げ破壊)の違い」や「耐震設計でせん断破壊を先行させない理由」が頻出。
「Qmu>Qsuでせん断破壊先行→危険」という不等式とその理由をセットで理解しておくと記述問題にも応用できる。