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外力の仕事とは?1分でわかる意味、公式と求め方、内力の仕事、ひずみエネルギー

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外力による仕事とは、物体に外力Pが作用し距離δだけ移動するときの「P×δ」のことです。外力による仕事の意味はこれだけです。さて部材に外力が作用するとき「内力(応力)」が生じます。応力は、外力に抵抗し外力による変形を元に戻そうと働きます。これを内力の仕事や「ひずみエネルギー」といいます。


今回は外力の仕事の意味、公式と求め方、内力の仕事、ひずみエネルギーについて説明します。内力の仕事(ひずみエネルギー)については下記が参考になります。

内力とは?1分でわかる意味、外力、応力との違い、求め方、単位

ひずみエネルギーとは?1分でわかる意味、公式の求め方、せん断との関係

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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外力の仕事とは?

外力の仕事とは、物体に外力Pが作用し距離δだけ移動するときの「P×δ」をいいます。外力と変位の掛け算が仕事です。外力の仕事の意味はこれだけです。簡単ですよね。


下図をみてください。物体がPという外力を受けて、AからA'に移動しました。


図 外力の仕事


このとき、Pという外力はA点からA'点に向かって徐々に増えているのではなく、変位0のA点からPという外力を加えています。「当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、後々、異なる考え方を紹介しますので分けて考えます。


こういった外力の加え方と変形の関係を下図に示します。


図 外力の仕事とエネルギー


縦軸が外力、横軸が変位です。仕事=Pδなので、仕事は四角形の面積だと分かります。


さて、なぜ「外力の仕事なんて考える必要があるのか?」と思うかもしれません。静定構造物は外力=反力、外力=応力という考え方(力のつり合い)で問題が解けました。


ところが不静定構造物は不静定力があり、鉛直・水平・回転方向の力のつり合い式だけでは問題が解けません。そのため「エネルギーのつり合い」などを考えて問題を解きます。不静定構造物の解き方の1つに「仮想仕事の原理(かそうしごとのげんり)」という方法があります。


この考え方を理解するためには、まずは「外力の仕事」を理解する必要があるのです。

仮想仕事の原理

外力の仕事の公式と求め方

外力の仕事を少し発展させて考えましょう。前述の説明では、荷重を作用させるとき変位0の状態から急に全荷重を加えました。このような外力をステップ外力といいます。※ステップ外力は部材が振動を起こすような外力です。下記をご覧ください。

ステップ外力の理論解を求める


しかし、実際には急に全外力Pを加えてδ変形するのではなく「外力は0⇒Pに向かって徐々に増加し、外力と変位はつり合いながら徐々に増える関係」にあります。


「はかり」をイメージすると良いでしょう。はかりの上に物を載せると上の皿が沈んで0の目盛りが増えます。10kgの物をはかりの上にのせると、目盛りは急に10kgを示すわけでは無く、「0から順に増加し10kgに増えます(0⇒1⇒2⇒3⇒…)」



あるいは下図のようなバネばかりに重り10kgをつけると、バネの変形は徐々に増え10kgに対応する変形に達します。


これらと同じことです。外力と変形の関係は徐々に、部材がつりあいながら生じます。下図をみてください。梁に外力Pを作用させます。


図 外力の仕事と公式、求め方


このとき、Pとδの関係を下式に示します。


P'=P×x/δ


P'は梁の変形に対応して変化する外力の変数、Pは外力、δは変形量、xはP'に対応して変化する変形量です。


少し難しい式になったと感じるかもしれませんが簡単です。要するに前述した0⇒Pに増える時0⇒δとなる関係を表しています。


変数xに0、δ/2、δを代入すると、


x=0 ⇒ P'=P×0/δ=0

x=δ/2 ⇒ P'=P×δ/2/δ=P/2

x=δ ⇒ P'=P×δ/δ=P


となります。これをグラフに表すと下図のようになるでしょう。


図 外力の仕事と公式


P'=Pのとき、x=δです。仕事は外力と変形のグラフの面積で算定できました。今回は三角形の面積を求めれば良いので、


W=Pδ/2


となります。これが外力の仕事の考え方です。思っている以上に簡単だったと思います。この考え方はモーメント荷重にも使えます。モーメント荷重Mが作用するとき、梁にはたわみ角θが生じます。この仕事Wは


W=Mθ/2


です。


図 モーメントの外力と仕事


また、せん断力の作用する場合は、



で表すことができます(※τはせん断力、rはせん断変形)。


以上、外力の仕事を教科書的に求めますと、下図のような微小たわみdxを0~δまで積分します。



当然、結果は同じでPδ/2です。


内力の仕事とひずみエネルギー

部材に外力が作用するとき部材は変形します。変形するのですが、部材は「弾性」という性質を持っており、外力を取り除くと元の状態に戻ります。


仕事に着目すれば「内力による仕事が、元の状態に戻した」とも言えます。外力Pによる変形量をδとするとき、内力もPです。内力により元の状態に戻るので、内力により戻った変形量もδです。


つまり


外力による仕事=内力による仕事


と言えます。また外力が作用するとき、部材には「元の状態に戻そうとするエネルギーがたまっている」といえます。よって、内力による仕事を「ひずみエネルギー」ともいいます。


ところで内力(応力)の種類は3つありました。軸力・曲げ・せん断ですね。つまり、内力による仕事(ひずみエネルギー)も、軸力・曲げモーメント・せん断力による3種類があります。各ひずみエネルギーの詳細は下記が参考になります。

ひずみエネルギーとは?1分でわかる意味、公式の求め方、せん断との関係

曲げモーメントによるひずみエネルギーの求め方は?公式の誘導

せん断力によるひずみエネルギーの求め方は?公式の誘導

まとめ

今回は外力の仕事について説明しました。意味が理解頂けたと思います。仕事やひずみエネルギーの理解は、不静定構造物を解くための第一歩です。構造力学の基礎が理解できているなら、そんなに難しくないはずです。次は「ひずみエネルギー」について勉強しましょう。下記が参考になります。

ひずみエネルギーとは?1分でわかる意味、公式の求め方、せん断との関係

曲げモーメントによるひずみエネルギーの求め方は?公式の誘導

せん断力によるひずみエネルギーの求め方は?公式の誘導

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