この記事の要点
外力の仕事Wは「力×その力の方向への変位」で求まる。W=(1/2)×P×δ(荷重が徐々に増加する場合)。
外力の仕事はひずみエネルギーUと等しくなり(W=U)、これが仮想仕事の原理やカスチリアーノの定理の基礎となる。
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外力による仕事とは、物体に外力Pが作用し距離δだけ移動するときの「P×δ」のことです。
外力による仕事の意味はこれだけです。さて部材に外力が作用するとき「内力(応力)」が生じます。
応力は、外力に抵抗し外力による変形を元に戻そうと働きます。これを内力の仕事や「ひずみエネルギー」といいます。
今回は外力の仕事の意味、公式と求め方、内力の仕事、ひずみエネルギーについて説明します。内力の仕事(ひずみエネルギー)については下記が参考になります。
内力とは?1分でわかる意味、外力、応力との違い、求め方、単位
ひずみエネルギーとは?1分でわかる意味、公式の求め方、せん断との関係
外力の仕事とは、物体に外力Pが作用し距離δだけ移動するときの「P×δ」をいいます。
外力と変位の掛け算が仕事です。外力の仕事の意味はこれだけです。簡単ですよね。
下図をみてください。物体がPという外力を受けて、AからA'に移動しました。
このとき、Pという外力はA点からA'点に向かって徐々に増えているのではなく、変位0のA点からPという外力を加えています。
「当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、後々、異なる考え方を紹介しますので分けて考えます。
こういった外力の加え方と変形の関係を下図に示します。
縦軸が外力、横軸が変位です。仕事=Pδなので、仕事は四角形の面積だと分かります。
さて、なぜ「外力の仕事なんて考える必要があるのか?」と思うかもしれません。静定構造物は外力=反力、外力=応力という考え方(力のつり合い)で問題が解けました。
ところが不静定構造物は不静定力があり、鉛直・水平・回転方向の力のつり合い式だけでは問題が解けません。
そのため「エネルギーのつり合い」などを考えて問題を解きます。
不静定構造物の解き方の1つに「仮想仕事の原理(かそうしごとのげんり)」という方法があります。
この考え方を理解するためには、まずは「外力の仕事」を理解する必要があるのです。
外力の仕事を少し発展させて考えましょう。
前述の説明では、荷重を作用させるとき変位0の状態から急に全荷重を加えました。このような外力をステップ外力といいます。
※ステップ外力は部材が振動を起こすような外力です。下記をご覧ください。
しかし、実際には急に全外力Pを加えてδ変形するのではなく「外力は0⇒Pに向かって徐々に増加し、外力と変位はつり合いながら徐々に増える関係」にあります。
「はかり」をイメージすると良いでしょう。はかりの上に物を載せると上の皿が沈んで0の目盛りが増えます。
10kgの物をはかりの上にのせると、目盛りは急に10kgを示すわけでは無く、「0から順に増加し10kgに増えます(0⇒1⇒2⇒3⇒…)」
あるいは下図のようなバネばかりに重り10kgをつけると、バネの変形は徐々に増え10kgに対応する変形に達します。
これらと同じことです。外力と変形の関係は徐々に、部材がつりあいながら生じます。下図をみてください。梁に外力Pを作用させます。
このとき、Pとδの関係を下式に示します。
P'=P×x/δ
P'は梁の変形に対応して変化する外力の変数、Pは外力、δは変形量、xはP'に対応して変化する変形量です。
少し難しい式になったと感じるかもしれませんが簡単です。要するに前述した0⇒Pに増える時0⇒δとなる関係を表しています。
変数xに0、δ/2、δを代入すると、
x=0 ⇒ P'=P×0/δ=0
x=δ/2 ⇒ P'=P×δ/2/δ=P/2
x=δ ⇒ P'=P×δ/δ=P
となります。これをグラフに表すと下図のようになるでしょう。
P'=Pのとき、x=δです。仕事は外力と変形のグラフの面積で算定できました。今回は三角形の面積を求めれば良いので、
W=Pδ/2
となります。これが外力の仕事の考え方です。思っている以上に簡単だったと思います。
この考え方はモーメント荷重にも使えます。モーメント荷重Mが作用するとき、梁にはたわみ角θが生じます。この仕事Wは
W=Mθ/2
です。
また、せん断力の作用する場合は、
で表すことができます(※τはせん断力、rはせん断変形)。
以上、外力の仕事を教科書的に求めますと、下図のような微小たわみdxを0~δまで積分します。
当然、結果は同じでPδ/2です。
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部材に外力が作用するとき部材は変形します。変形するのですが、部材は「弾性」という性質を持っており、外力を取り除くと元の状態に戻ります。
仕事に着目すれば「内力による仕事が、元の状態に戻した」とも言えます。
外力Pによる変形量をδとするとき、内力もPです。内力により元の状態に戻るので、内力により戻った変形量もδです。
つまり
外力による仕事=内力による仕事
と言えます。また外力が作用するとき、部材には「元の状態に戻そうとするエネルギーがたまっている」といえます。
よって、内力による仕事を「ひずみエネルギー」ともいいます。
ところで内力(応力)の種類は3つありました。軸力・曲げ・せん断ですね。
つまり、内力による仕事(ひずみエネルギー)も、軸力・曲げモーメント・せん断力による3種類があります。
各ひずみエネルギーの詳細は下記が参考になります。
ひずみエネルギーとは?1分でわかる意味、公式の求め方、せん断との関係
混同しやすい用語
外力の仕事(W)
外部からの力が構造物を変形させるときにする仕事。W=(1/2)Pδ(荷重が0から徐々に増加する場合)。外力が一定の場合はW=Pδ。
内力の仕事(ひずみエネルギー U)
構造物の内部に蓄えられる弾性エネルギー。外力の仕事と等しい(W=U)。U=∫M²/(2EI)dx(曲げの場合)。
仮想仕事(δW)
仮想変位または仮想力に対して計算される仮想的な仕事量。仮想仕事の原理では、外力の仮想仕事=内力の仮想仕事が成立する。
実際の仕事と仮想仕事の違い
実際の仕事は実際の力と実際の変位の積。仮想仕事は仮想(仮定した)力または変位を用いる。試験では両者の区別を問われることがある。
| 概念 | 定義 | 公式 |
|---|---|---|
| 外力による仕事 | 外力Pが距離δだけ移動するときの仕事 | W = P×δ(一般)/W = Pδ/2(弾性変形) |
| ひずみエネルギー | 外力により部材内部に蓄えられるエネルギー | U = ∫σε/2 dV |
| 等価関係(エネルギー保存) | 外力の仕事=ひずみエネルギー | W = U |
今回は外力の仕事について説明しました。仕事やひずみエネルギーの理解は、不静定構造物を解くための第一歩です。
構造力学の基礎が理解できているなら、そんなに難しくないはずです。次は「ひずみエネルギー」について勉強しましょう。
ひずみエネルギーとは?1分でわかる意味、公式の求め方、せん断との関係
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
外力の仕事とひずみエネルギーの等価関係(W=U)は、カスチリアーノの定理や最小仕事の原理の基礎。一級建築士試験の応用問題では「仕事」の概念を正確に理解していることが前提になる。まずW=Uを体感的に理解しよう。